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芸人特有のなんかわかんないけど泣けてくる瞬間
大人になって泣くことってなんだかんだある。
例えば結婚式。
あまりにも素敵すぎて涙が出てくる。
二人の馴れ初めVTRとかでワンワン泣く。
で、写真撮られたりとかして、後日その泣き顔ブスすぎて二度と見ないように生きる。
あとは、映画。
未だに泣ける映画でウグウグ言いながら泣く。
最近だとアイアムサムを見て「ゔー!ゔー!ゔー!」って泣いたなぁ。
あとはじめてのおつかい見ても泣いた。
はじめてのおつかいに関しては年々泣くスピードが早い。
いってきまーす!って言った時点でもうなんか泣きかけてる。
そしていま、吉本のお笑い芸人になって5年目。
まじでわけわかんない涙がいくつかあった。
その①NSC生のとき
NSCという吉本の養成所の卒業間際。
相方の三浦が同じ三浦ということでお世話になっていた(理由なぞすぎるけど)三浦マイルドさんにお誘いいただいて、ライブに呼んで頂いた。
そのライブは大阪の方や、東京の先輩などたくさん出ていて、膝が、震えを通り越して、前後にスライドしてた。
「今日はですねー!現役のNSC生も出てくれるんですよー!」
オープニングでマイルドさんがこう言ってお客さんが「ほぇー」という声を漏らしていた。
俺の膝も「ほえー」って怖い音が鳴ってた気がする。
ライブが終わり、マイルドさんと、当時ブレイブマンというコンビで現在官兵衛の伊藤さんという方と、相方の三浦の4人で飲みに連れて行っていただいた。
正直お笑い大好き人間だった僕からしたら、R-1グランプリ優勝者の三浦マイルドさんと飲みに行けるというだけでめちゃめちゃテンションが上がった。
「あのマイルドさんと飲みに、、!まじかよ夢みてぇ!」って24歳の僕は震えてた。
同時に初めて先輩に飲みに連れていっていただける機会にもなった。
その飲み会はとってもとっても楽しかった。
マイルドさんが伊藤さんをいじって、伊藤さんがツッコんで、僕らが笑って、伊藤さんが「後輩やろ!かばえや!」とか言って。
飲み会なのに大人たちが馬鹿なことを本気で楽しんでいた。
帰り道、酔っぱらったマイルドさんを伊藤さんが背中をさすりながら僕と三浦の前をふらふらしながら歩いていた。
「お前飲み会で全然おもんなかったな!」
「誰がゆうてんねん!ベロベロやないですか!」
その二人の背中を見ながらなんか知らないけど泣きそうになった。
ずっとなりたかったお笑い芸人にやっと自分が慣れたような気がして、突然グッときた。
「なんかわかんないけど、泣きそうなんだけど」
と三浦に言うと、あいつも珍しく
「わかるよ」
と言っていた。あいつもこみ上げてたみたい。
なんでこのタイミングで?ってなぜか二人ともならなかった。
今でもあのときのグッときた場所もタイミングも覚えてる。
それぐらいすごくこみ上げた。
ちなみに伊藤さんは当時めちゃめちゃツッコミ面白い人だと尊敬していたけど、今ではなんかクソザコうんこ野郎みたいな扱い受けてて切ない。
今でもずっと素敵な先輩ではある。めちゃめちゃすべるけど。
こういうよくわからない涙は他にもある。
その②大爆笑のライブ
かつて無限大ホールで「ダッシュA」という総勢30組ぐらいの芸人でやるコーナーライブがあった。
毎月行われていたライブで、この初回の時のライブが最初から最後までずっと拍手笑いの連続。
最後は先輩の入間国際宣言の千葉ゴウさん(まじでムキムキ)が上半身裸でハイパーアクロバットな特技を披露して大拍手でそのままライブが終わった。
終わったあとの楽屋で、
「今日のライブ最高だった!!!」と出てたみんなが口を揃えて盛り上がっていて、僕自身も本当に笑いすぎて、同じ気持ちだった。
ずっと口々に、
「いやー、なんだろ、まじで最高だったなぁ」
と喫煙所で漏らしていた。
裸の人間が一生懸命変なことやったり、バカな奴がゲキまずドリンクをなぞに嫌がる素振り見せずに一気飲みしたり、男同士でキスしたり、そんなことで信じられないぐらい笑って。
あぁ、これが俺がずっと生きたかった世界だぁ。
って考え始めたらなんか知らないけどこみ上げてきて、まじで一人で泣きそうになってた。
帰り道の電車でその幸せを先輩に電車で熱弁してたら、めちゃめちゃキモがられた。
たまに一人だけテンションあがっちゃってキモがられるんだよなぁ。
そして一番わけわかんない涙が、
その③芸人を辞めると聞いたとき
お笑い芸人という仕事は別に会社ではないから、他人は他人、自分は自分という考えでできている。
だから他人が芸人を辞めようものなら、本来ならライバルが減るわけだし、喜ぶべきことのはず。
でも、芸人が辞めるときは絶対に誰かが泣く。
それは多分、本来は全員敵だけど目的は
「他人を笑わせたい」
っていう共通したものを持っているから。
笑わせるってなると、自分一人じゃどうにもできないときがある。
前に出てすべってる人がいたら、それを見て誰もが
「助けたい」
と思う。
だからそのすべってる人にかぶせて同じことやったり、ツッコんだりして笑いをなんとか生もうとする。
裏に帰ってきて、
「まじ助かったありがと!!!」
「いやいや、僕もめちゃめちゃ緊張しました、危なかったー」
なんて会話はまじでめちゃくちゃある。
敵なのに。
で、ライブでめちゃめちゃ面白かったところは、楽屋でも、
「あれまじおもしろすぎた!」
とか
「いや素晴らしすぎた!拍手!」
って言ってみんなで拍手してその人が少し顔を赤らめるなんて場面も良くある。
他人は他人で自分は自分だし、チームプレイだってする必要ないのに、みんな自らの意思で「協力」しようとする。
ただ、笑わせたいってだけで。
だからまじでめちゃめちゃ仲が良い敵キャラがいっぱいできる。
ルパンと銭形みたいな。
アンパンマンとバイキンマンみたいな。
マリオとクッパみたいな。
あとは、えーっと…
ハットとキャップみたいな!!!
敵だけどご主人様に被ってもらいたい気持ちは同じみたいな!
ギリギリ出た。危なかったー。1人だったから怖かったー。
まぁとにかくみんな仲が良い。
だから辞めるって言われると「ライバル減るじゃん」と思う傍ら、
「もう一緒に永遠の大学生みたいなことできないのかぁ」と一気にこれまでの思い出が蘇ってきてグッとくる。
一年半前に、死ぬほどお世話になった先輩が一身上の都合で芸人を辞めたことがあり、辞めた後にLINEで
「一緒にライブでたかったし、できないのは悔しいし寂しいな!M-1でひっくり返してこいよ!楽しみにしてる!」
ああ、本当に辞めちゃったんだ。とめっちゃ切なくなって、楽屋の喫煙所で誰にもバレないようにボロボロ泣いた。
他人だし、自分に関係ないからどうでも良いはずなのにね。
でもそれぐらいお笑いは人に対して温かくなる。
てかそもそも涙ってなんで出るんだろう。まじ意味不明。
調べたいけど、なんか頭で理解したら泣けなくなりそうだから辞めとこう。
涙活したいとき鬱陶しいから。
これは芸人やっててなんか泣けてきたエピソードですけど、きっと皆さんもなんかわかんないけど泣けてくる瞬間って今まであったと思います。
それを思い出して、人としての温かみをこの自粛期間にもう一度再燃してみてください。
ちなみに僕は最近幼稚園児がパレードやってる動画で謎に泣きました。これはまじでなんでかわかんなかったなぁ。
お世話になった先輩を空港まで送り届けたとき!良い写真!
終わりたますぃー!
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