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大人の卒業式
お笑い芸人になってからもうすぐ6年が経つ。
6年間。
中学一年生なら大学生一年生になれる。
12歳が18歳になれる。
ランドセルを背負ってた子供が、結婚できる年齢にまでなれる。
イナズマイレブンのDVDをワクワクしながらレンタルする年齢から、女の子とイチャイチャするためだけにホラー映画のDVDをレンタルする年齢になれる。
男子と女子が普通に学校であったら「おはよー!」の年齢から、学校が終わったら毎日連絡取ってるけど周りには内緒だし、なんなら昨日あっちが先に寝ちゃってまだ返事返ってきてないし、てかまだ2人で遊んだことないから、ちょっと廊下ですれ違うの気まずいなぁ、なんか変にテンパっちゃいそうだなぁ、あ、やべ、向こうから歩いてきた…!!のときの「ういー」をやる年齢になれる。
とにかく6年間という時間は人を大きく成長させることができるということ。
はてさて、当の僕はと言うと、23歳から29歳になり、今年で30歳を迎えます。
ぱちぱちぱちー。
30th anniversary。
ターミネーター2と同い年です。
I'll be back.の言葉の年にbornしました。
大人になっての6年間はそれはそれはあっという間で、「昨日まであなたは23歳だったの、けれども今日から29歳よ」と言われても全く違和感ないぐらいに時が経つのが早くて、そして覚えてない。
12歳から18歳の6年間ってまじで忘れられない思い出ばっかりだけど、なんか大人になってからの6年間ってそんなに記憶に残ってない。
まぁ僕は芸人ってお仕事をさせていただいているので、うんこが舞台上に出てきたのかってぐらいすべったり、コンビのトークライブにお笑いライブすら初めてきた不良4人組が来て「つまんなかったら帰るわー!」って言われて地元の不良が好きそうなアウトローエピソード話しまくってなんとか1時間もたしたり、記憶に残ることはたくさんある。
けれども、やっぱり時間が経つのは早い。
これなんでだろうと、外を散歩しているときにずーっと考えていると、一つの答えにたどり着いた。
「卒業」が無いからだ。
小中高大と、必ずその終わりには「卒業」が待っている。
2年生になったとき「やば、え、もうあと2年で卒業じゃん、こわ、てかもう先輩もあと少しで部活引退じゃんか、頑張るううう!!」でしょ?
3年生になると「ああ、もう卒業かー、今年はもう悔いがないようにいっぱい思い出作ろ!」って気持ちになるじゃない?
大学に至っては四年生になったとき「やばいやばいやばい、終わる終わる終わる、大人になっちゃう、終わるなまじで、終わるなあああああああああたああああ」で毎日毎日過ごすのよ。
だから、なんだか1日1日が大切で、すごく充実していた気がする。
一方、大人になった僕は「卒業」が無いから「ああ、もう3月かー」ぐらいなもんで、ただなんとなく4月、5月と時が過ぎてゆく。
毎年、桜の美しさに心奪われることはあれど、その桜の下で卒業証書の筒を握りしめて、ゆっくり、一歩一歩、通学路を帰るというハイパーエモイベントなんか一生起こらない。
タイムリミットのない毎日は、ただいたずらに生きてしまうから、すごく早くて、なんだか薄く感じてしまう。
そんな僕に「卒業」の二文字がEXIT兼近さんプロデュースのお笑いユニット「泥水すすり隊」の中で浮かび上がった。
このユニットでは「3ヶ月連続で給料20万円を越えると卒業できる」といったものだ。
僕らは先月コンビでそれぞれ給料20万円を超えた。
つまり残り2ヶ月連続で超えると、大人になって初めての「卒業」を迎える。
まだ確定ではないけれど、このままいけば卒業じゃないかなぁ?
卒業を控えながら、確定では無い今の僕は、大学四年生のとき単位が死ぬほどギリギリで「え、本当に卒業できるよね!?できるよね!?!?!?」の毎日を送っていたあの頃に似た日々を過ごしている。
長かったようで短かった高校3年間や大学4年間は、入学した時点で意識の中に「卒業」が存在しているので、ゆっくりと思い出を作ることができる。
あれぐらいのゆったりとした思い出作りを、残り3ヶ月で急に求められている。
ああ、どうしよう、もう終わっちゃう。卒業しちゃう。ああ、ああ、何かしないと、どうしよう、もうすぐ卒業じゃんか、あれ、なんか思い残したことないかな?ああ、あああああ、って感じ。
でも、このユニットでの思い出を振り返ったり、写真を見返してみると「あれ?これ1年前!?まじで2年前ぐらいに感じるんだけど!」ってな現象が余裕で起こる。
あれ?結構思い出いっぱいあるなぁ、と感じる。
考えてみたら、入った時点で「卒業」をいつかは絶対するのが確定していたから、僕らは無意識の間に「学校」入っているのと同じ気持ちになっていたのかも。
だからこの3ヶ月間で急いで思い出作ろうとしていたけど、この学校に入ってから「卒業」をゴールにしていたから思い出を無意識に馬鹿みたいに作っていたみたい。
これはもしや、学校法人兼近立「泥水すすり隊」高校だったのかもしれない。
もしやの意味はわかんないけれど、でも、大人になってから「卒業」というイベントがあるのは、きっとすごく貴重なことな気がする。
12歳から18歳が信じられないぐらい大人になれる期間なのは、「卒業」があったから。
そんな僕もこの1年間は信じられないぐらい成長できている。
卒業まで残り2ヶ月。
学校と同じで、卒業してからが本当の自己責任になるんだから、次は「M-1予選敗退」から「卒業」することを目標って、心に「卒業」の二文字を常に持とうと思う。
そうすれば「明日から40歳よ」って言われても、「は?そんなわけねぇだろ、こんなに濃い時間過ごせてんだから、失せろゴミ」ってきっと言えるはず。
だから皆さんも、僕らの卒業式まで一緒に桜の通学路を歩いて、たくさんの思い出を作ろうジャマイカ。
よろしければサポートしていただけたら嬉しいです!明日を生きる糧になります!!是非たますぃー!!!!!