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生まれてはじめて119番通報しました 後編

どうも、家族全員で「川」の字ではなく「龍」の字で寝る大家族です。

それは冗談でして肝数値高男です。

今日のテキストは前回のツヅキモノなので、昨日のテキストを読んでいない方はそちらから読んでください・・・と言いつつ軽くあらすじを。
バカ暑いのでクーラーがガンガンに効いた車でドライブ中に、グッタリしている高齢男性を発見。車を降り「大丈夫ですか?」と声をかけるが応答なし。これはもしかしてもしかするとヤバイ状況じゃないのか!?と考えた俺は人生初の119番通報をすることに。

1〜2回のコールの後、電話が繋がります。
「どうなさいました?」の男性の声に「高齢の男性がグッタリしている。話しかけても返事はしない。呼吸はしている。熱中症かも知れない。」と伝えます。それに対して電話の向こうの男性は「その男性のお名前は何ですか?」という謎質問が。「いや、知らないです。」と答えるも「知り合いじゃないのですね?」と返ってきます。「たまたま道中で見かけた方です。」と返すと現在地などを聞かれて「今からそちらに向かいますので近くなったら合図をしてください」とのこと。

ピクリとも動かない男性と一緒に救急車を待つのですが、どうしたらいいのかわかりませんね。人工呼吸とかしたほうがいいのか?とも一瞬考えましたが呼吸はしているしその必要はないか。というかやり方もよくわかんないし高齢者に無闇にやっていいのかもよくわからないし。そもそも救急隊員から電話で指示なかったからいいか。
などと、あれやこれや考えているその時でした。
荷室で眠っていた男性がムクっと起きます。男性は目の前に立っている俺を見てびっくりした様子です。

「大丈夫ですか!?」と俺の問いに高齢男性少し困惑したかのような表情で「はい。」とだけ答えます。「荷室でグッタリしていて、声かけたんですけれども返事がなくて、救急車呼びました。」と男性に伝えると「あはは・・・そうですか。ちょっと畑仕事をしていて疲れて休んでいたのです。」と、男性は「グッタリしていた」のではなく「昼寝をしていた」とのこと。
「どこか具合悪くないですか?」と確認するも「大丈夫です」と、高齢男性は受け答えはしっかりできるような様子でした。
なんか・・・大丈夫そうだな。大丈夫そうだけれども救急車呼んじゃったしなぁ・・・。なんか余計なことをしちゃったのかな!?と思いつつも、でもなぁ、こんなバカ暑い日に高齢男性がバックドアの開いた車の荷室にもたれかかってグッタリしていたら、そりゃビックリしてしまうよなぁ。
俺は当たり前のことをしたまでだ、と自分に言い聞かせ、「問題なかったら、救急隊員さんに事情を説明して帰ってもらいましょう。」と伝え「はい・・・そうですね。」と高齢男性。

高齢男性と一緒に救急車を待つんですけれどもこれがびっくりするくらい全然来ないのです。まぁ・・・病院からかなり離れている郊外ではあるので仕方ないっちゃ仕方ないんですけれども、今出会ったばかりの高齢男性と、ただ救急車を待つだけのあの時間、なんか気まずかったなぁ・・・。
今すぐここから離れたい気持ちでいっぱいでしたが、通報したのは俺なのでこの場所から離れるわけにはいきません。
長い沈黙の後、高齢男性の方から「ご迷惑をかけてすみませんねぇ・・・」と言ってきます。「いえいえ、こちらこそかえって休まれているだけなのに、すみません。」と答えると「いえいえ・・・。」とニッコリ笑いその後また沈黙。

今度は俺の方から。「こちらに住んでいるのですか?」と聞くと男性は「家は街の方にあって、ここでは家庭菜園をしに来ている。」とのこと。なるほど・・・ここは「別荘」なのか。よく見ると荷室には大きなトマトと枝豆もたくさんあった。枝豆はマジで美味しそうだったなぁ・・・。地面に転がっているトマトはこの荷室から落ちたものと考えていいでしょう。
「今日は暑かったですねぇ」と俺が言うと「そうですねぇ・・・。」と男性。「こんなに暑いと我々世代の連中ら熱中症になるんですよねぇ」と若者代表発言をキメると「そうですねぇ・・・。」と、まさかの会話が弾まない返答2連発です。

そしてまた沈黙。
1分くらい経ってから今度は男性の方から「ご迷惑をかけてすみませんねぇ・・・」と言います。うわっ!それさっきと同じセリフ!!もう会話がもたない!限界だ!!!
というか救急車、早く来てくれないか!?!?!?

すると、遠くの方からサイレンが聞こえてきます。
先ほども書きましたがこの場所は郊外なので周囲は畑だらけで景色がひらけているので遠くの景色が見えます。はるか先に見えるか見えないかくらいのところにサイレンを鳴らして赤灯がチラつく救急車が見えます。
しかし、全然こっちに来ません。というか・・・あれ・・・道間違えていない!?!?

なんと、救急車は道を間違えてしまっているのです。
うそーん!?!?!?
場所はちゃんと伝えたのに、ここ来れないの!?
確かに土地勘がないとなかなか辿り着けない場所かも知れない。
別の道に入って行った救急車。せめて次の交差点を右に曲がらないとここには来れないぞ・・・と、心の中で呟きながら遠く離れた道を走る救急車を眺めていたら、なんとその救急車、交差点をまっすぐ進んでしまいましたー!!!

「違う違う!そうじゃない!!そっちじゃない、こっちだ!!こっち側に曲がれ!!!」と、いくら心の中で強く思っても遠く離れた救急車にその声は一切届きません。どんどん離れていく救急車。そしてサイレン音。

iPhone  の着信がなります。消防署からだった。
「はい」と電話に出ると電話口の男性「あのぉ、救急隊がそちらに向かっているようなのですが、道がわかんないみたいで・・・」と言うではないですか。
そりゃそうだろうな!!!!!!!!!!

「車、見えますよ。でもそっちじゃないです。引き返してください!」と、電話の中の男性に伝えるも、この方は消防車の中に乗っているのではなく消防署で電話番をしている方です。すると電話の男性「この電話を一度切ります。その後に消防車の中の隊員から電話がいくのでそちらで連絡取り合ってください。」とのこと。俺もそのやり方がいいと思う!

電話が切れてから間も無く、携帯電話であろう番号から折り返し電話がかかってきました。ん?この電話は?仕事用の電話?それとも消防隊員の個人用の電話?非常事態だしそんなのでうでもいい!
救急隊員に今いる場所をわかりやすく説明した後に「高齢男性は意識を取り戻し会話ができるほどになったので、サイレンは止めてあげてください。」と伝え、間も無く消防車はサイレンを消し、赤灯だけ回した状態でこちらへやってきました。

高齢男性の車の横に救急車は停まり、なかから3人の救急隊員が。このクソ暑い中、防護服と N-95 マスクを着用しております。担架を出して現れましたが高齢男性が「大丈夫です、歩けますよ。」と自ら立ち上がったので担架はすぐに仕舞われておりました。
高齢男性は救急隊員に「少し休んでいただけです。大丈夫ですよ。」と話しているが、救急隊員は「救急車の中、クーラーついていて涼しいので中で少し休んでください。」と言い、高齢男性を車内へ。
で、俺は車外で細かい状況説明です。
いいなぁ〜。俺もクーラーの効いた車内に入りたかったよォ。

高齢男性を見つけて、声をかけて反応がなかったので通報。でも救急車を待っている間に高齢男性は目を覚まし、今に至るという説明を済ませた後、俺の状況説明を聞いていた救急隊員さんにの防護服を指差し「それ・・・めちゃくちゃ暑そうですね。」とついつい言ってしまいました。救急隊員はキリッと目を開けたまま「・・・暑いです。」とクールに言っていたのが印象的でした。

「最初はやばかったかなと思ったけれども、通報した後ん普通に目を覚ましたし、言葉もハッキリしていて自分で歩行できているし、大丈夫そうでしたね。なんかこんな暑いのにわざわざすみません。」と、男性隊員に伝えると「いいえ、大丈夫です。ご協力心から感謝します。」と、男性隊員。カッコよかったなぁ・・・。生まれ変わったら「将来、救急隊員になりたい!」って言おう。

サラッと状況説明をしただけで「あとはこちらで対応しますので、お帰りいただいても大丈夫です。」とのことで、俺はすぐに帰宅できることに。
高齢男性はまだ救急車の中にいるようでした。
多分、荷室で少し休んでから収穫した野菜と共に帰宅するつもりだったんだろう。俺の通報で帰りが遅くなったはずだ。なんか余計なことをしちゃったのかな・・・とも思いつつも、高齢男性がグッタリした感じで荷室にもたれかかっていたら、誰だって通報してしまうよなぁ・・・と思ったり。(2回目)

気温がバカ高く「なんて日だ!」って思ったけれども、まさか人生初の「119番通報」を経験する日になるとは。貴重な経験ができたし高齢男性もどうやら無事だったようだしええやんええやんということでよろしいのではないでしょうか。
もっと言えばあの高齢男性が実は石油王か何かで、後日「お礼」ということで封筒がパンパンになるほどの札束を持って俺の家に来ないかなぁ・・・という妄想を働かせながら今日は眠りにつきたいと思います。


というところまで書いたところで文字数が3914文字になってしまいましたので、今日はこの辺でオヒラキにしたいと思います。今日もここまで読んでくださった方、どうもありがとうございました。
この文章を読んで、僕のことをすごくキモいと思ってもらえたら幸いです。明日のコンテンツでもキモいと思ってください。よろしくお願いします。

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