犬が死んだらどうしよう

昼過ぎ、映画を見に行こうと思い電車に乗ったが、映画館の最寄り駅についた瞬間にめんどくさくなって、周りを適当に散歩することにした。

20分ほどぶらぶらしたあと、以前から行きたいと思っていた総菜屋が近くにあることを思い出し、寄ることにした。

お店では、「イカのマリネ」と「ゴボウと豚肉の甘辛煮」を購入。揚げ物も買いたかったが、あり得ないほど衣が黒かったので止めておいた。

帰りの電車の中で小説を読もうとしたが、面倒くさくなって、ぼうっと外を見ていた。

いま読んでいるのは『三体』という小説で、1巻の半分ほどまで読んだ。続きは5巻ほどあるらしい。全く読み通せる気がしていない。

最近は、何かを読んだり観たりする気力が全く無い。映画を観るより散歩する方が、小説を読むより変な文章を書いている方が楽で良い。

そういえば、週末にuri gagarnとclimb the mindのライブがある。絶対に観に行きたいと思い、しっかり休みを取っているが、それも面倒くさくなってきた。大体最近は学園アイドルマスターの曲しか聞いていない。

家に着き、帰宅に気付いた犬が鳴かないようにそうっと鍵を開けて中に入った。

玄関を抜けてリビングに入っても、まだ犬は帰宅に気付かない。名前を呼ぶとようやく気付き、2回ほど吠えたあと、とぼとぼと歩き寄ってきた。

昔は、庭の砂利を踏んだ時の小さな音も聞き逃さず、帰ってくる人間を待ち構えて、玄関の扉が空いた瞬間ギャンギャン吠えていた。

しかし、老いによって犬の耳は遠くなり、最近はこんな感じだ。

私は、寄ってきた犬を四つん這いになって出迎えた。こうすると、犬が身体を擦り付けやすいからだ。

犬がお腹の下に潜り込んできた瞬間、梅雨の湿気によって強くなった犬の匂いが、鼻の奥をくすぐった。

最近、犬が死んだらどうしよう、とよく思う。別にどうしようもないんだけれど。






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