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代わりの誰かは大切な存在【当事者体験】

利用者に信頼され辞めることをやめた介護職員

1.      「私にとってあなたの代わりはいない」

 Twitterにて、安い給料を理由に退職を考えた介護職員が一番好きな利用者さんにそのことを伝えると「あなたにとっての代わりはいるけれど、私にとってあなたの代わりはいないのよ。そのことを覚えておけよ。」と怒られて退職を取りやめたという話が流れてきました。

 これについては賛否両論あるとのことでした。

 皆さんは、どのように感じて、どのように考えますか?


2.      人間的な繋がりの上にある支援

 もちろん、良い支援ができなければ、利用者からそこまでの信頼を得ることはできないでしょう。

 また、その介護職員から見てもその利用者に対して、人間的な強い繋がりを感じていたのでしょう。

 福祉の支援はサービス業で仕事の1つと言っても、無機質な関係性では支援は成り立ちませんし、利用者にしても支援者にしても、人間的な温かみのある繋がりを覚え人間的な喜びを覚えるものです。

 なっつん自身も発達障がいの利用者として「この支援者だからこそ打ち明けられる」という経験もあります。
 一方で福祉の支援者として「一生懸命関係性を築き自分の支援がしっかりと利用者に届くようになって嬉しくやりがいも感じる」という経験もあります。
 そのため実際その通りで人間の温かみというのが支援の上であると思ます。


3.      誰か1人との関わりの中だけで生きるわけではない

 一方で、利用者が特定の職員を信頼し過ぎるというのも考えものです。

 利用者さんと職員のマンツーマンの関係で見た場合、その職員が異動や退職する場合、あるいは急病等により支援の関係が終わる時、どのようなことになるでしょうか?

 その特定職員への信頼が大きければ大きいほど利用者にとっては精神的なダメージとなるのではないでしょうか? いつまでも同じ職員が同じ人に支援できるわけではありません。出会いがあれば別れもあります。


4.      施設の中でみる特定職員の有能さ

 利用者と施設という関係で見た場合、ある利用者がある職員に偏った信頼関係を持っているというのは、施設的には良し悪しの両方があると思います。

 良い点としては特に利用開始初期など施設や支援に慣れ安定するまでの期間は、信頼感の強い支援者の存在は利用と支援の継続に活かすことができます。一方で悪い点は、その職員がその施設から離れることになった時、その職員が担っていたことを急に他の職員が担うことが難しいです。また、特定の職員だけが利用者に信頼されることは、施設内の職員の支援スキルのムラや関係性の築き方に大きな差異があるということでもあります。


5.      適度にいろんな人に

 年齢や障がいや境遇に関わらず、人は誰かに大なり小なり頼り頼られながら生きています。

 誰かを信頼することが悪いというわけではありません。大切なのは適度な距離感の関係をいろんな人にすることです。

 バランスよくいろんな人との信頼関係を作ることで、仮に頼っている1人との別れが来ても、生活を安定させやすくなります。


6.      最初は人でも少しずつ人を増やす

 なっつんの発達障がいの利用者としての経験からも、適度にいろんな人に頼れるようになることは大切だと感じています。

 最初は1人でもいいですが、少しずつ信頼できる人を増やすことが大切ですし、利用者のその力を高める支援ができる職員や施設が、良い職員・良い施設だと思います。

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