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カレイドスコープ

ふわふわのパジャマに包まれた真冬を口の中で溶かすとどっかいった 一ヶ月に何回かは昨年の菜の花の匂いを無理矢理記憶の中に閉じ込めることになるよね 本当は今年の、今のお花の色とかみていたいのに、永遠に追っかけてくる何かに拒まれてしまう クリームソーダは夢の中でひっくり返したまんま、ゆるゆると指をつたって爪を剥がしていく

頭の上に浮かぶ白い光を絶対に見なかったことにする どうしても喉の奥が夏を求めてしまうから、先に行かれないように必死に水を飲み込んだ 別に好きでもないくせに響きがよかったからという理由だけで買ったマーマレードジャム おそらく年下の綺麗なお姉さんがしっかり地面を蹴る 彼女の編み上げブーツのヒールは特に高い音を鳴らすこともなくて、多分これって音が脚の周りに編み上げられてるからだと思うんだよね

柔らかな髪を指でとかすごとにお腹の中に何かが溜まっていく 大切なものは誰にもみせずに死んでいきたいし、秘密があることすらも知られないままに世界中から忘れられたい だから司法解剖とかされない死に方がいいし、臓器提供は場所を選ぶよ 酷いでしょう?

私の心臓は生きたがりの女の子にあげたいし、私の瞳は現実に疲れちゃったサラリーマンにもらってほしい 骨は家族に渡さないと非道だってことになるから、道徳心のあるフリをして笑顔で手を振った 秒針が告げる世界の終わり 雑に剝がされた薄桃色の保身 夢だったのかもしれないけど永遠に忘れない温度の下がったアップルパイ 誰にでも向けられる掌を勝手に月光に晒して血液の色を調べたよ 詳細は後日、郵送にて

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