風の向きが変わって
1月の私のメンタルは最悪だった。
石川県珠洲市に住む父方の祖父母が、年明け早々の大地震で被災した。幸い地域の人々の協力もあり避難所で1月の上旬は過ごせていた。
しかし、避難所も永続的に祖父母を受け入れてくれる訳ではなく、私の地元に住む話が着々と進んだ。隣のオンボロアパートを大家さんの好意で貸していただけることになり、早急に住めるように準備を整えた。
正直私はそんなことをしている場合ではなかった。大学生の最後の関門である卒論が待ち受けていたからだ。怠惰に怠惰を重ねた私は1月に入っても完成には程遠く、そのような中で祖父母の新居の手配や介護に終われることになったのだ。もちろん、自分の不手際を被災した老人達のせいにする気は毛頭ない。
さらには、来年度から上京の諸々の準備、自分が働く塾の生徒の受験なども同時期に重なり、自分の中の不安事がどんどん積み上がっていった。
処理できなくなるほど情報が流されると、人生に彩りが無くなることを経験した。決して五条悟の領域展開を喰らってはいない。
美味しいものを食べても味がしない。
お気に入りのボディクリームの匂いを嗅いでも心が休まらない。
好きな服を着ても気分が高揚しない。
今までこんな経験をしてこなかった。先の見えない不安に頭がもたげそうになったのは初めてだった。やらなきゃいけないことがどんどん溜まっていくのに体が動かない。
そんな中でふとある動画を観た。M-1のアナザーストーリーである。ウエストランドの井口が最終決戦でずっと悪口を言っていたアレだ。
2023のM-1は最高でアナザーストーリーも最高だった。令和ロマンとヤーレンズというツーマンライブで切磋琢磨してきた2組が最終決戦で鎬を削る様は、漫画やアニメでもやりすぎな展開であった。もちろんさや香の見せ算も、真空ジェシカの三谷後期高齢者も、マユリカのズッキンズッキンプッチンプリンにも大爆笑した。年明けまでの話だが。
精神的に参っていた私はTVerでアナザーストーリーをボーッと布団の中で観ていた。するとどこかで聴いたことのある曲がOPで流れていた。MONO NO AWAREの『風の向きが変わって』である。
ボーカルの玉置周啓とDos MonosのTaiTanがパーソナリティを務めるラジオ、奇奇怪怪(旧:奇奇怪怪明解辞典)のヘビーリスナーである私は飛び起きた。
6月のリリース時にももちろん聴いていた曲だったが、改めて聴くとメロディー、歌詞、歌声が全身に染み渡った。なんていい曲なんだろうか。全ての塩梅が良い。
得にラスサビ歌詞は何度も聴き直すほど気に入っている。
歌に元気付けられました!!みたいなクサイことを言うのは私の性には合っていないが、この曲はこの1ヶ月私の背中を押してくれた、いや背中を引っ叩いてくれた。
教授、ゼミのメンバーや友人のサポートもあり、なんとか卒論も終わり、祖父母関連のことや、私の新生活に向けても着実に準備が進められている。受験生達も続々と合格通知を私の元に持ってきてくれた。
損切りが優先される現在、先が曖昧で見通せなくても、とりあえず風向きが変わるまで進んでみることも大事だなあと思ったこの頃。
風の向きが変わって〜🎵
前髪が逆立った〜🎵
追記
M-1の決勝動画YouTubeで出すの遅すぎやろ。いまんとこ一番再生数あるの敗者復活戦のトム・ブラウンて。
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