【戦国武将討死列伝(自害・刑死アリ)】26山縣昌景

列伝其の二十六『山縣昌景<ヤマガタマサカゲ>』

(1575年)設楽ヶ原に於いて勝頼様は織田・徳川連合軍との戦に及んだ。三方ヶ原で徳川家康に痛打を与えた武田の精鋭部隊が織田の究極の鉄砲戦術の前に散々に打ち負かされた。
「勝頼様。このままではいたずらに兵を失い将も失いまする。撤退のご決断を。」
 儂は恥を忍んで進言した。が、勝頼様の言葉は余りにも酷いものだった。
「どうした山縣?百戦錬磨のお主でも命が惜しいか?」
「さればわが命使います故、潔く撤退なさりませ。最後のご奉公にござる。」
 口に軍配を銜え織田・徳川の陣めがけて猛突進した儂にめがけて銃弾が雨の如く放たれた。

『山縣昌景』討死