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【制作ノート】〝版〟とわたし

こんにちは。
なつのよです。

ということで、「版画」を使った
自由律俳句の作品を作っています。

今日は、どうして「版画」の制作を
するようになったのか、
〝版〟〝版画〟と私のこれまでを
振り返りながらお話ししたいと思います。

〝版〟との出会いは「プリントゴッコ」

毎年、イラストや写真を使って
オリジナルのものを作っている年賀状。

小学校の中ほどまでは、
毎年、「プリントゴッコ」で作っていました。

「プリントゴッコ」は、理想科学工業株式会社が
1977年から販売していた、家庭用簡易印刷機です。

大人になってから分かるのですが、
原理はシルクスクリーンと同じ。

自分のかいた絵が〝製版〟されて〝版〟となり、
インクを乗せ、機械の上部を下ろすことで
〝印刷〟される仕組みです。

製版のとき、ランプがバシャッと点く瞬間に
とてもドキドキしたのを覚えています。

同じ絵が何枚もできるのが不思議で楽しくて、
でも、それが〝版〟ということなのだとは
ずいぶん大きくなるまで分からないままでした。

〝版画〟の記憶

小学生になって始まった「図工」の授業でも、
何度か〝版画〟の制作を経験しました。

よく覚えているのは、「一版多色版画」。
彫刻刀を使っていたので、
高学年になってからのことだと思います。

白い紙ではなく黒い紙に刷るという課題。
絵の具に白を混ぜなかったり、
水分が多めだったりすると、
うまく写らないのが新鮮で、
面白い経験でした。

中学校の「美術」でも、一版多色版画の
作品を作ったことを覚えています。

こちらは(授業や先生の意図とは
違うのかもしれませんが……)
同じところに違う色を何度も重ねてみたり、
たっぷりの水で絵の具を溶いて乗せてみたり、
今につながる「トライアンドエラー」を
繰り返しながら取り組みました。

他にも、学校ではさまざまな版画の技法を
経験したはずです。

ただ、自分の中でそれが〝版画〟とか、
〝版〟を使った作品である、という意識は
あまりなかったような気がします。

年賀状作りで再会した〝版画〟

前述の通り、毎年オリジナルで作っている年賀状。

もともと、たくさんの人に年賀状を送る
タイプではなかったのですが、
最近では出す相手もかなり少なくなっています。

そんな中で、
イラストをかいたり写真を撮ったり、
パソコンで構成したりというのは
逆に手間がかかって大変そうで、
どうしようかなあ……、と
思っていたときに出会ったのが
「モノタイプ」と呼ばれる版画でした。

これまでの〝版画〟のイメージとは異なり、
同じものが二度とは作れない技法です。

私は、厚めのアクリル板をカットし、
そこにアクリルガッシュをのせて
はがきにプレスするという方法でやってみました。

色が混ざったり混ざらなかったり、
思うようにいったりいかなかったり。

そんなことを繰り返す中で、
「プリントゴッコ」のことを思い出し、
そうだ、あれも〝版画〟だったのだ……、と
不思議なつながりに驚いたのでした。

「スチレン版画」と「コラージュ」

さて、そんな私が今取り組んでいるのが
「スチレン版画」です。

原理としては木版画などと同じ「凸版」。
(プリントゴッコは「孔版」です)

スチレンボードに油性ペンで絵をかいたり、
フォークやペットボトルのキャップなどで
跡をつけたりして、インクを乗せて刷ります。

スチレンボードの形を簡単に変えられる
というところに魅力を感じて、
スチレン版画を選択しました。
(木版画でも版木を切ることはできますが、
わが家にその道具はないので……)

ただ、この方法のままだとどうしても、

考える→形にする=ペンでかく

の感覚(「正解」があるような気がしてしまう)が
残ってしまいます。

そこで考えたのが、「コラージュ」。

実は、「コラグラフ」という版画の技法があり、
これは〝版〟そのものがコラージュによって
作られています。

ただ、その方法だと私にとっては
上記の感覚とつながってしまうような気がして、
ちょっと違うかも……、と悩んでいました。

そんなときに思い出したのが、
『はらぺこあおむし』の絵本です。

『はらぺこあおむし』の作者、エリック・カールさんは、
さまざまな色紙を作り、それをコラージュして
あの絵本を生み出しました。

版画(でうまれた紙)でコラージュをしてみたら
どんなふうになるんだろう?

これまでに考えた自由律俳句の一覧を見ながら、
「やってみたい!」という気持ちが
むくむくとわいてきました。

〝版〟とわたしのいろいろ

さて、こんなふうにいろいろ考えていて、
「そういえば!」と思い出したことがあります。

先日、北村薫さんの小説『スキップ』を
紹介しました。

あのときは、〝文字〟との関係から紹介しましたが、
ガリ版印刷についてのエピソードも
本書には登場しており、
「印刷」「刷る」「版」といったキーワードも
深い関わりがあることが分かります。

また、同じく北村薫さんの
『ターン』という作品の主人公は、
メゾチント(銅版画)の作品を制作する版画家です。

最初に読んだのは高校生のころだったと思いますが、
メゾチント制作についての細かい描写を
興味深く読んだことを思い出しました。

まとめ

そんなわけで、これまでとは少し違う
制作を始めています。

あっという間にやめてしまうかもしれませんが、
こんなふうに、これまでの私と
深いつながり、関わりがあるということは、
「やらない」という選択肢はないな、
と思っています。

少し時間がかかるかもしれませんが、
基本的には火曜・木曜の更新を
目指したいと思っています。

引き続き、よろしくお願いします!

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