校庭で木漏れ日を、いつか君を

小学校のお昼休みは20分前後ある。あなたはこの時間を短いと捉えるだろうか。

少年少女にとってみればとても長い時間だ。校庭でサッカーをするも良し、図書室で本を読むのも良し、何をしたって自由な時間だ。

だからか、1人の少女は校庭の外れに位置する木の下で光を書いていた。木漏れ日をだ。

少女は多くの友人と遊ぶ社交的なタイプではない。しかし、仲の良い幼馴染みがいるから自分らしく過ごすことができる。

その幼馴染みは少女が絵を描く姿が好きだ。絵を描いているときの少女の瞳が好きだ。

「どうかな。上手く描けた?」
「うん、上手いと思う。」
「本当に。お世辞じゃない?」
「お世辞じゃないって。」
「そう、じゃあ今度はこの絵をパパにプレゼントしよう。漁師で昼間は陸に生える木漏れ日を見れないだろうから。」

少女は優しい心の持ち主だ。しかし忘れてはならない。幼馴染みの存在が今の少女を支えている。

また、幼馴染みも少女がいるから毎日が楽しくなる。この関係を共依存と呼ぶにはふたりの関係は繊細で美しすぎるだろう。

「あのさ、いつも私と一緒じゃない?たまには他の子と遊んでもいいよ。私は1人でも描けるし。」
「何でそういうこと言うの。絵を描いているところを見ているだけで楽しいのに。」
「変なの。」

少女は幼馴染みの答えに少し納得できないようで再度質問した。
「私さ。嬉しいのよ。いつも一緒にいて。」
「うん。」
「だけど、他の子とも遊ぼうと思えば遊べるでしょ。私に気を遣ってない?」
「そんな面倒なこと考えないよ。」
「やっぱり変なの。」

幼馴染みは少女ほど変ではないはずと自分に言い聞かせた。今度は幼馴染みからの質問だ。

「あのさ。いつも木漏れ日を描いてるじゃん?」
「うん。それがどうしたの?」
「たまには木漏れ日以外も書いてみたらどうかな?」
「どうして?私は木漏れ日が好きなんだけどな。」
「えっと。近くにいる人とか。人物画はどうかな。」
「えー。あ、もしかして私に描いて欲しいの?自分の姿を。」

幼馴染みはコクリと頷いた。
「そうだね。将来好きになったら、その時は考えてあげる。パパがいるから難しいだろうけど。」
「へー。今言ったからね。約束だからな。嘘言ったら針千本飲ますかんな。はい指切った。」

小学生がこよなく愛するおまじないで2人は約束した。幼馴染みの友達は少女を異性として振り向かせる、その意思を今日頑なにした。

少女の父親の話はこちら

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