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文章力向上道場

「わかったことだけ」を書く

取材を通じて、なにかの“答え”がわかったとしても、それをそのまま文章で書くことはできない。なぜなら、文章とは、“答え”を示すものではなく、その“解き方”を示すものなのだ。読者にゴール地点を見せるのが目的ではなく、「ゴールまでの道のり」を示すことが文章の役割なのだ。もし「ゴール地点を見せること」だけが目的であるならば、長々と文章を書く必要はない。あらゆる文章は箇条書きで事足りてしまうだろう。文章が必要で、そこにツッコミや寄り道が必要なのも、すべて「ゴールまでの道のり」を示すためなのである。p.212

仮に取材で100の話を聞いたとしても、自分の理解が60で止まっていたら、原稿には60までのことしか書けない。(中略)ライターは、取材を「聞く」だけで終わらせることなく、膨大な資料を読み込み、自分の頭で考え、自分の理解が少しでも100に近づくよう努力しなければならない。そして自分の理解が80までしか及ばなかったとすれば、正々堂々と80の範囲で書く。「わかりやすい文章」とは、きっとそういうところから生まれるのだ。p.213

目からウロコを何枚落とすか?

ぼくは「目からウロコが落ちる」要素は、全体の3割で十分だと思っている。逆に言うと、残り7割は「すでにわかっていること」でいいし、そうあるべきだと思っている。p.215

そして大切なのは、読者は1冊の本、1本のブログ、1通の企画書のなかに、これらの要素を求めていることだ。ある場面では「ええーっ!!」と驚き、別の場面では「そうそう」と頷き、またある場面では「なるほど」とメモを取りたいのだ。p.218

伝わる文章は“オレンジジュース”

一方、「なにを書かないか?」を基準に考えると、作文の内容はまったく違ったものになる。発想が“引き算”になるからだ。p.234

こうして考えていった結果、「自分の高校生活にとって、部活と恩師だけは絶対に欠かすことができない」という結論に達したなら、そのまま書いていけばいい。網羅的に書かれた“足し算”の作文とは違い、読者にも「あなた」という人間が伝わりやすくなるはずだ。なぜなら、こうして物事を“引き算”で考える作業は、最終的に「自分にとって大切なものはなにか?」「自分はどういう人間で、どんな価値観を持って生きてきたのか」を考えることにつながっていくからだ。p.235


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