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人生の短さについて 他2編 (光文社古典新訳文庫)

セネカによれば、多忙は人間から有意味な時間を奪い、人生を浪費させて、短くしてしまいます。われわれは人生が短いと嘆きますが、それは、われわれが時間の無駄使いをしているからにほかなりません。多忙な生活から離れ、時間を有効に活用するすべを知ることによって、われわれは人生を長くすることができるのです。(Kindle No.52-No.58)

つまり、そういうことなのだよ。われわれは、短い人生を授かったのではない。われわれが、人生を短くしているのだ。われわれは、人生に不足などしていない。われわれが、人生を浪費しているのだ。(Kindle No.79)

ところが、おまえときたら、自己に目を向けようとしたこともなければ、自己の声に耳を傾けようとしたこともない。だから、おまえがそのような義務を、他人に押し付けてよい理由などないのだ。じっさい、おまえがそんなことをしたのは、他者と共にありたかったがゆえではなく、自己と共にあることに耐えられなかったがゆえなのだから。(Kindle No.127)

記憶を呼び起こしてください。あなたがしっかりした計画を立てたことが、いつありましたか。あなたの決めた通りに物事が進んだ日は、どれほどわずかでしたか。自分を自由に使えたことが、いつありましたか。あなたの普段通りの顔つきでいられたことが、いつありましたか。あなたの心がおびえずにいたことが、いつありましたか。これほど長い生涯をかけて、あなたがなしとげた仕事は何ですか。どれほどたくさんの人たちが、あなたの人生を略奪していったことでしょう。しかもそのとき、あなたは、自分が何を失っているのかに気づいていなかったのです。いわれのない悲しみや、愚にもつかない喜びや、飽くことのない欲望や、甘い社交の誘惑が、どれだけの時間を奪っていったでしょうか。あなたに残された時間は、どれほどわずかでしょうか。ーーもうおわかりでしょう。あなたは、人生を十分に生きることなく、死んでいくのです」(Kindle No.144-No.157)

時間は、あらゆるものの中で最もすばやいものなのに、その速度を遅らせようともしない。それどころか、時間がまるで無尽蔵の資源で、いくらでも湧いて出てくるかのように、過ぎ去っていくにまかせているのだから。(Kindle No.259)


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