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文章力向上道場

・それにくらべて日本語の社会では、人間関係を契約書のような甲乙の関係としてとらえることをしません。いつも相手は自分より上なのか下なのか、遠いのか近いのか、親しいのか疎いのかを、込みにしてとらえ、その条件のもとでしか相互に接触ができない。そのとらえ方を敬語という形式で言語に表現しているのです。 p.162

・ヨーロッパ社会には、根柢において甲乙体制、甲乙的人間関係があった。それがヨーロッパ社会の最も根本的な条件である。日本人はそれになかなか気づかれず、また忘れてしまう。人間の行為の主体性、行為の原点を明確に表現し、相手は自分の行為の対象であり対立者であることを、形式としても明示しているのが甲乙体制で、その社会では、一人称のナやボクやテマエが二人称に転用されるというようなことは生じえないでしょう。p.163


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