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ポスター制作力向上道場

◆やること

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◆やったこと

映画の世界観をそのままA5サイズに落とし込み、ガジェット的に楽しめるパンフを作るのが大島流

●世界観を、紙媒体に落とし込む

A5サイズに落とし込み、ガジェット的に楽しめるパンフ

1910年から2000年代まで世界各国の映画ポスターを芸術、商業的視点から俯瞰していく書籍『映画ポスターの歴史』

●『映画ポスターの歴史』は、世界各国の映画ポスターをまとめている。1910年〜2000年が対象。芸術・商業的な視点で考察

登壇者は本書を監修してくれた国立映画アーカイブ主任研究員の岡田秀則さんと数々の映画ポスターを手がける人気グラフィックデザイナーの大島依提亜さん

●世界各国の映画ポスターに詳しいのは、岡田秀則さん

本書を監修してくれた国立映画アーカイブ主任研究員の岡田秀則さん

1929年制作。本書ではP46左下に掲載_210214

これはロシア構成主義…ロシア・アバンギャルドの時代のポスターなんですけれども、革命家レーニンは、ソビエトという新しい国は新芸術である映画を大事にしようと言ったので、映画の宣伝美術にも当時の第一線のアーティストが携わるようになりました。ステンベルク兄弟はその代表と言えますが、この本の中にも彼らのページがあります。

これはインハウスで作られたものですか?

岡田:ステンベルク兄弟の工房が作ったものです。ポスターには彼らのサインも入っています。摩天楼を下から撮ると、円形の文字列や反り返っている女性と、摩天楼の遠近法の中心が合っていないですよね。こういうのはかっこいいなと思います。

●円形に並んだ建物の中心は、反り返る女性の中心をずらす。円形を重ねても、中心はずらす。

摩天楼を下から撮ると、円形の文字列や反り返っている女性と、摩天楼の遠近法の中心が合っていないですよね。

1946年制作。本書ではP106右下に掲載_210214

岡田:いいですよね。シンプルなのに「なんでこんなにかっこいいんだろう」って。

大島:映画の中では歌ってるシーンですよね? なんとなく黒いサテンのドレス…モノクロなんで実際の色はわからないんですけど。黒々としたドレスを、ポスターではすごい色鮮やかな着色してて、この時代ってそういう傾向ありますよね。

岡田:そうですね。主演のリタ・ヘイワースという女優は1940年代を代表するセックスシンボルで、当時のハリウッドスターのなかでも色気のある人です。『ショーシャンクの空に』(1994年)という映画があったじゃないですか? あの映画のなかで、刑務所の囚人たちが映画を見せてもらうシーンがあって、そこで上映されているのが『ギルダ』。リタ・ヘイワースが出てきた瞬間に男たちが騒がしくなるんです。

大島:なんかそんな感じする。これ床の処理もいいですよね。ちょっと炎っぽいっていうか。

●モノクロ映画だからこそ、ポスターはカラーにする

モノクロなんで実際の色はわからないんですけど。黒々としたドレスを、ポスターではすごい色鮮やかな着色

●無機質な線ではなく、炎のような加工をすることで、何か含みを持たせる

これ床の処理もいいですよね。ちょっと炎っぽい

1999年制作。本書ではP251右に掲載_210214

岡田:これは公式の英語バージョンともやや違うバージョンだと思います。俳優の名前もほとんど書かれてなくて…

大島:この本ね、ちょっとずつズレてるんですよ。王道のポスターじゃないほうが載ってたりして。

岡田:オリジナルのスペイン版、アメリカ版両方とも、担当しているのはオスカル・マリネというイラストレーターで、グラフィックデザイナーです。映画以外でもありとあらゆる仕事をしている人ですが、なんといっても太い線で描いた人物像が印象的です。

●女性のイラストを、あえて太いマッキーペンのようなブラシで書いている

なんといっても太い線で描いた人物像が印象的

1955年制作。本書ではP121右下に掲載_210214

大島:僕もそう思った(笑)。真似したくなるようなグラフィックなんですよね。僕自身もソール・バスの影響っていうのはなんだかんだですごく大きくて。例えば、この色彩? 青系統・紫系統でまとめるとか。単純な色を使ってるんだけど同系色の鮮やかな色でまとめるとすごく決まりやすいとか。

岡田:『シャイニング』とかもそうですか? 背景は黄色一本なんだけど、文字の中から怖い顔が出てくるポスター。

大島:そうそう。そういうのがいいんですよね。この時代ってモノクロの映画なんだけど、写真を人工着色して着彩しちゃうものもあるんですけど、モノクロの映画でありつつ、ちゃんと映画のポスターとしての鮮やかさや艶やかさをキープしてるところがソール・バスの持ち味ですよね。

●同系色の鮮やかな色でまとめると、決まる

青系統・紫系統でまとめるとか。単純な色を使ってるんだけど同系色の鮮やかな色でまとめるとすごく決まりやすい

●写真を人工着色するのではなく、映画のポスターとしての鮮やかさと艶やかさを保つ

この時代ってモノクロの映画なんだけど、写真を人工着色して着彩しちゃうものもあるんですけど、モノクロの映画でありつつ、ちゃんと映画のポスターとしての鮮やかさや艶やかさをキープ

大島さんが持参してくれた紀文のはんぺんとクリネックスのティッシュ_210214

大島:ソール・バスって映画ファンの間では「映画ポスターの巨匠」としてお馴染みなんですけど、(徐にビニール袋から取り出して)紀文のはんぺんあるじゃないですか? このマーク、ソール・バスなんですよ。あとね、(さらにボックスティッシュを取り出し)「Kleenex(クリネックス)」という文字もそうなんです。あとはコーセーとかミノルタとか。だから、実は日本の生活に根ざしたプロダクトのロゴを手がけていて。大企業のロゴタイプや広告なんかもかなりやっているんです。確かに映画の仕事がメインなんだけど、グラフィックデザイナーとしてもかなり巨大な存在だなと思ってます。

●『ソール・バス』は、映画のポスター以外も手がけている。紀文のはんぺんのマーク、『Kleenex(クリネックス)』という文字、『KOSÉ(コーセー)』の文字、『MINOLTA(ミノルタ)』の文字

紀文のはんぺんあるじゃないですか? このマーク、ソール・バスなんですよ。あとね、(さらにボックスティッシュを取り出し)「Kleenex(クリネックス)」という文字もそうなんです。あとはコーセーとかミノルタとか。

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