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菜根譚 今井宇三郎訳注 岩波文庫

菜根譚という書名は、宋の汪信民(名は革、撫州臨州の人)の語に、「人よく菜根を咬みえば、則ち百事なすべし(人能咬得菜根、則百事可做)」とあるに基づく。この語は朱子の編集した「小学」の善行章末尾に収録されており、朱子も「某、今人を観るに、菜根を咬むあたわざるによって、其の本心に違うに至る者衆し。戒めざるべけんや」と注記している。菜根は堅くて筋が多いので、これをよく咬みうるのは、ものの真の味を味わいうる人物であるということを意味する。それと共に、菜根という語には貧困な暮らしというひびきがあるので、その貧苦の生活に十分耐えうる人物であってこそ、初めて人生百般の事業を達成することができるという。(p.367)

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