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フロイト 講談社学術文庫

働くことと愛すること

ある時フロイトが、「あなたの生活信条は?」とたずねられて、いともあっさりと、「愛することと働くこと」(lieben und arbeiten)と答えたのは、あまりにも有名である。そして精神分析創始の由来をさかのぼるならば、フロイトが臨床医になり、神経症の治療をその天職とするに至ったのも、ひとえに、自分自身の労働によって生計をたて、それによって恋人マルタとの愛を達成するためであった。フロイトにとっての「愛」とは、このような“自立”の上に立ってはじめて可能な成人の「愛」であった。そうであればこそ、精神分析療法における知的共同作業(ともに働くこと)もまた、患者に、そのような自立と、成人の愛の達成を可能にするに違いない。

参考文献 フロイト 小此木啓吾 講談社学術文庫 pp.43-44


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