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文章力向上道場

読者と一緒に「寄り道」をしよう

しかし“主張”“理由”“事実”の3つのみによって構築された文章が面白みに欠けるのも、また事実だ。いっさいの「寄り道」がなく、理路整然としすぎた文章、正しすぎる文章には、つけ入る隙がない。そして付けいる隙がないほど正しい文章は、読者からすると、論の正しさは認められながらもどこか強引に説得されたような、釈然としない思いが残ってしまう。なぜなら、文章が自己完結してしまっていて、読者自身が議論のテーブルに参加できないからだ。「正しいだけ」の文章は、その正しさゆえに伝わらないのである。p.200

書き手であるあなたからすると、すでに自分の“主張”と、そこから導き出される結論が見えている。数式のように美しい論理の流れが、一本の道として見えている。だから、少しでも早くゴールにたどり着きたい。早く結論を宣言したい。ゴールまでの一本道が見えていながらわざわざ寄り道するなんて、愚行としか思えない。これはまさに書き手の論理であり、「自分の椅子」に座った考えでる。p.200

いまのあなたにとっては「ムダな回り道」としか思えない試行錯誤の道も、“素人”である読者にとっては大切な確認・検証の作業であり、楽しいステップなのである。そして何度も言うように、読者は“説得”されたいのではない。自らの頭で“納得”したいのだ。p.201

自分の文章に自分でツッコミを入れる

議論のテーブルについた読者は、常に考えながら、疑いながら、あなたの“主張”に耳を傾けている。そして少しでもおかしなところがあれば、容赦なく反論してくる。だが、反論を恐れる必要はない。もし、あなたが反論の出ないような文章を書いているのだとしたら、逆に危険信号である。あなたは自分の“主張”を述べているのではなく、とるに足らない一般論を述べているだけだと思ったほうがいい。しっかりとした“主張”には反論がでるのは当たり前だし、反論に答えることは、読者との有意義な“対話”なのである。p.202-203

どんな種類であれ、文中にツッコミが入り、そこに答えていくだけで読者の疑念は晴れていく。p.204

文中にツッコミを入れていくことは、読者に対する「優しさ」のようでありながら、同時に文書の「強さ」を高める作業でもあるのだ。p.205

①主張 高校では日本史を必修科目とすべきである

②理由 世界史が必修で、日本史が選択科目となっている現状がおかしい

③反論 一方、「国際化に対応するには世界史だ」との反対意見もある

④再反論 しかし、国際社会で自国の文化や歴史を語れないほうが問題だ

⑤事実 実際のところ、他の国々では自国の歴史教育に力を注いでいる。

⑥結論 今後ますます国際化が進むからこそ、日本史の教育が必要なのだp.205

わかったことだけを書く

取材を通じて、なにかの“答え”がわかったとしても、それをそのまま文章に書くことはできない。なぜなら、文章とは“答え”を示すものではなく、その“解き方”を示すものなのだ。p.212


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