見出し画像

ポスター制作力向上道場

◆参考文献を読む

―90分や120分という長尺の中から、その映画のポイントとなる部分やエッセンスはどのように見つけていくのでしょうか?

大島:見どころ自体がネタバレになる場合が多いので難しいのですが、ネタバレになりそうな部分を見せずにエモーショナルなところや、その映画が持っているムードを残していくことですかね。近年ではポスターを数種類つくるケースもあるのですが、基本的に映画のポスターというのはメインビジュアル1つに踏襲し、「これがこの映画の顔ですよ」となるようにつくっていきます。

1本の映画の中にはものすごくいろんな要素があり、どこがこの作品のポイントと感じるのかも人それぞれです。また、映画を観る人の中には、コアな人もいれば、そこまで詳しくない人もいるので、映画の全てを集約して1枚のビジュアルにするというのは、僕個人としては不毛なことではないかなと思っています。

●ムードを残すことで、見どころを隠す

・ネタバレになりそうな部分を見せずにエモーショナルなところや、その映画が持っているムードを残していく

●伝えたいことは、1つに絞る

・映画を観る人の中には、コアな人もいれば、そこまで詳しくない人もいるので、映画の全てを集約して1枚のビジュアルにするというのは、僕個人としては不毛なことではないかなと思っています。

―たしかに複数種類のポスターを見る機会が増えましたね。映画ポスターの世界も変化しているんでしょうか。

大島:海外では、「モンドポスター」とも呼ばれるようなファンアートもあります。ファンがいろんなビジュアルをつくっていて、それがフックアップされてそのまま公式ポスターになったケースもあるんです。

そういう動きを見ていると、メインビジュアルはもちろん、その他にも多層なビジュアルやポスターをつくり、それぞれにフィットする人たちが見るようになればいいのではと思いはじめてきていて……。複数のビジュアルをつくって、インターネット上でニュースにしたり話題を盛り上げて、ポスターやビジュアルで仕掛けていく形が少しずつ増えてきていると思います。

●映画を観る客層が変われば、ポスターの使い方も変わる

・メインビジュアルはもちろん、その他にも多層なビジュアルやポスターをつくり、それぞれにフィットする人たちが見るようになればいいのではと思いはじめてきていて……。複数のビジュアルをつくって、インターネット上でニュースにしたり話題を盛り上げて、ポスターやビジュアルで仕掛けていく形が少しずつ増えてきている

―それは、日本版のポスターデザインを考える際のプレッシャーになりませんか?

大島:プレッシャーではなく、モチベーションになります。やっぱりいいものをつくりたいと思っているので。最近は、欧米やヨーロッパ、韓国などのビジュアルのクオリティーがすごく上がっていて、韓国のデザイン会社「propaganda(プロパガンダ)」さんのつくるポスターはいつもハッとさせられます。

●韓国のデザイン会社「propaganda(プロパガンダ)」さんのポスターが秀逸

・欧米やヨーロッパ、韓国などのビジュアルのクオリティーがすごく上がっていて、韓国のデザイン会社「propaganda(プロパガンダ)」さんのつくるポスターはいつもハッとさせられます。

―そのハッとする部分とは、どんなところに感じるのでしょうか?

大島:僕らは「この映画はどういうものか」という総合的なイメージを1つにまとめて、いろんな要素が集合しているということを表していくことが多いのですが、韓国のpropagandaさんのグラフィックは、「こんなシーンあったっけ?」というシーンを抽出して1場面だけを切り取り、写真とロゴだけですごくシンプルかつ大胆なイメージにしているんです。

●ポスターをみるであろう人に合わせた切り口でなくてもいい

・韓国のpropagandaさんのグラフィックは、「こんなシーンあったっけ?」というシーンを抽出して1場面だけを切り取り、写真とロゴだけですごくシンプルかつ大胆なイメージ

―映画作品のように、多くの意見にさらされてつくられることを肯定されているわけですね。

大島:一方で、僕個人としては、もっともっとアートポスターのような狭い層に刺さるデザインもしていきたいとは思っていますね。だから、より広い層に届けるメインビジュアルと、アートポスターの2つがあるといいと思っています。そうすると、宣伝としての役割はメインビジュアルで果たして、自分のクリエイティビティーやその映画に対しての解釈はアートポスターで掘り下げることもできるので。

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(ウディ・アレン監督 / 2019年)は、メインビジュアルは他の方が担当されていて、僕はアートポスターだけを担当しているんです。僕にできることは『ミッドサマー』や『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のようなアートポスターの成功例をつくり、地道に実績を増やしていくこと。それが受け入れられていけば、徐々にデザインの可能性も広がっていくのではないでしょうか。そのためにも、できるだけ自分からアートポスターを提案するようにしています。

●映画のポスターは、1枚以上あってもいい

・宣伝としての役割はメインビジュアルで果たして、自分のクリエイティビティーやその映画に対しての解釈はアートポスターで掘り下げることもできる

・メインビジュアルは他の方が担当されていて、僕はアートポスターだけを担当

―今後、大島さんが映画ポスターでやってみたいことはありますか?

大島:すごく興味があるのはモーションポスターです。

●ポスターは、静止画だけではない

・モーションポスター

ロゴで大事なコンセプトを伝えたり、
色で心をつかんだり、
字詰めや書体で何かを予感させたり。
デザイナーさんの仕事って、
実に不思議で、すごいと思うんです。

●デザイナーさんに対する敬愛と憧れ

・ロゴで大事なコンセプトを伝えたり
・色で心をつかんだり
・字詰めや書体で何かを予感させたり

──じゃ、何が突破口に‥‥。

大島 やはり、谷川さんの詩そのものでした。具体的には「自己紹介」という詩なんですけど。

──あ、あれ、すっごくいいですよね!

大島 あの詩じたいが、これ以上ないほど、大あの詩じたいが、これ以上ないほど、谷川俊太郎さんを説明していた。そこで、この20行のちいさな詩を1行ずつ切り分けて、それぞれをひとつのコンテンツとして章立てしたら、エベレストのような、宇宙のような「谷川俊太郎」の一端を、表現することができるんじゃないか。

●プロフェッショナルが集まれば、他のプロフェッショナルがヒントをくれる

・やはり、谷川さんの詩そのものでした

大島 テキスト中心だと、タイポグラフィとか、グラフィックデザインで見せるという方向に行きがちですが、それだと、遠のいちゃう気がしますしね。

──そうなんですよね。テキストを飾り立てるだけになっても、
本質が伝わらないような‥‥。

大島 大事なことを、どう伝えるかですね。変に凝ったものにするよりも、たとえば‥‥会場の中の展示物以外のテキストを、消火器の説明文さえ、谷川俊太郎さんの言葉に置き換える、くらいのほうが、谷川俊太郎展として成立しますよね。

●大事なことはなにか。テキストに踊らされていないか?

・テキスト中心だと、タイポグラフィとか、グラフィックデザインで見せるという方向に行きがち
・テキストを飾り立てるだけになっても、本質が伝わらない

◆(ちょっと寄り道)好きだと思ったイラストを感覚的に並べる

・インタビューというより、おしゃべり。担当は「ほぼ日」奥野です。

画像1

・小松とうさちゃん

画像2

・へいわとせんそう

画像3

・小箱

画像4

・みらいめがね それでは息がつまるので

画像5

◆次にやること

・参考文献を読む



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?