私の生きる日常にナレーションはつかない
ドラマ、映画、芝居、何でも好き嫌いせず見てきたつもりでも、ミュージカルだけはしばらく苦手な時期があった。
歌に乗せて朗々と心情を表現することが、不自然に思えたからだ。ハキハキとした歌声で苦悩を打ち明けたり愛を語る登場人物の姿に、一体どうして、客席の私は白けてしまう。
「あんなふうに朗々と想いを伝えあえたら、どれだけ楽だろう」。演者たちの歌声に元気をもらいつつも、帰路にはそんなことを思っている。
なぜ私はわかりやすい演出や説明的な演出に萎えてしまうのだろうか? その答えを