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先生は、ピルを飲んでいます


「生理痛が重くてピルを飲んでます。ピルのおかげで元気に働いてます」

 こういうことが気軽に言える世の中にならないかなと、常に思っています。女性の体質管理の一つとして、ピルを服用していることが抵抗なく言えるようになり、ピルの効能についての理解がもっと進んでほしいと切に願います。
 「ビタミン剤を飲んでて~」くらい、ある意味、ピルを飲んでいることに興味を持たれないというか、わりと多くの女性が飲んでいるものだという認識が進めばいいなと。「何のために飲んでるの?!」と大げさな疑問を持たれないような世の中が理想だと思っています。

 「ピルを飲んでいる」と言うと、「避妊のため?」「彼氏とナマでするの?」などと、まだまだ多くの人は、性的なことに結び付けて質問をしがちです。「性に奔放な人が飲んでいる」というレッテルも貼られがちで、その反応に何度も悲しい思いをしてきました。(筆者は性的に奔放な面があることは否定しないのですがw)

 毎月訪れる生理という苦しみを、少しでも軽減してくれるのがピルで、「※生理痛を抑えること」や「※PMSを抑えること」などの、女性が生活しやすくする効果がピルにはあり、そのために服用する人がとても多いです。女性が活躍できる社会をつくるには、なくてはならない薬だと思います。


「ピルについて、正しい知識やイメージを持つ人が増えて、傷つく人と悩む人を減らしたい。」

 だから、教育の現場でもピルの有用性について、少しでも語れる場面があればいいなと思うのです。「教師」からのアドバイスというより、「身近な大人」の生き方の一つの例として、ピルを活用している姿を知ってほしいという思いがあります。

 今まで多くの生徒を見てきて、生理痛が重い生徒の対応もしてきました。鎮痛剤でさえも、自然なことでないから許さない保護者もいらっしゃったことを記憶しています。そんな状況なので、「先生がピルを薦めた。何を考えているんだ」とクレームが入るのも、現段階の日本の状況では容易に想像ができてしまいます。

 しかし、わたしはいつか、こんなセリフを学校で言える日を夢見ています。

「先生はピルのおかげで働けています」
「学生の頃から、生理痛が辛くて辛くて生理が来る度泣いていました。同じような思いをしている人がきっといる思うんだけど、わたしはピルを飲んで人生が変わったから、もしかしたらあなたたちも心配しなくていいかもしれません」
「いつか赤ちゃんが産めたらいいなとも思う。それまでしっかり働きたいし、安定をもたらしてくれるパートナーができるまでは、ピルを飲んで元気に過ごしたい」
「ピルを飲んでいない頃、気を失うほどの生理痛が来る時が、数ヶ月に一回は必ずあった。病院に行っても異常はなかった。こんなのが一生続くのかと思うと、生理の度に正直自殺を考えていたよ。お腹を包丁で切り裂きたいくらいの、今すぐ子宮を取り出したいくらいの強烈な痛み。手術したら治るわけでもないし、向き合わないといけない。ピルがなかったら、本当に生きてないかもしれなかった」
「先生がピルを飲まなかったら、もっとイライラしてみんなを怒っていたかもね。ピルはPMSも防いで、精神を安定させる効果も持っています。生理前などにいつもの自分らしくなくなっちゃうときないかな。人生、イライラしてる回数が多いと、素敵だなと思っている人やパートナーに嫌われちゃうよ!でもね、男の子側にも、女の子はそういうことがあるんだって理解してほしいんだよ」
「ピルを飲むことで避妊効果があるっていうのは、保健の授業で習うけどね、病気の感染は防げないから、きちんとコンドームを使うんだよ。ピルを飲むのも、ゴムをつけてもらうのも、全部自分の意思でやるの、女は」
「ピル飲んでるって聞いて男子はどんな反応するの?別に男のために飲んでるわけじゃないんだから、余計な反応せずほっといてほしいんだよ。たまに、『飲み忘れてない?』くらい気遣ってくれたら最高だよ」
「ピル飲んでるからって、『ナマでできるじゃん!』と言ってくる男がいたら、将来考え直そうな。先生の言うことに間違いはないからな」
「ピルを飲むのもいいことばっかりじゃないんだけど、副作用とかさまざまな病気のリスクもあるから、年に一回は血液検査を受けたり、婦人科系の病気にかかってないかも病院で確かめた方がいい。ピルを飲むことは、自分の健康と向き合うことにも繋がるよ」
「副作用は気になるよね。眠くなったり身体がだるくなったりする人もいるみたい。女性ホルモンを投与することにはなるから、ちょっと体重は増えちゃうかも。だからみんなはあと1キロくらい痩せてる姿が、本来の先生の姿だと思っておいてください」
「ピルのことが少しでも気になっているなら、自分でよく調べて、病院に必ず行こうね。自分で調べるだけでは、ちゃんとした情報は得られないから、さらに人に相談した方がいい。先生は10年以上飲んでるから何でも相談しなよ!」

 みなさんが生徒になったつもりで、先生が話している姿を想像してくれたでしょうか。もちろんすべてを本当に現場で言えるようになりたいということではないですが、わたしは常にこういう、場面指導の妄想(笑)をして毎日過ごしています。
 性的な話になると、教育の現場では口を閉ざしがち、聞こえないふりになりがちです。「わたしの経験を話して救われる人を増やしたい」という気持ちで今回の記事を書きました。このような(大胆な)ことを言って、現場の生徒を実際に救える場面はまだまだ少ないかもしれません。この記事に目に止まった方のピルへの理解が深まり、役立つ情報をもたらすことができていたらいいなと思っています。

 中学生の頃も高校生の頃も、保健室の先生は、生理痛の重さでボロボロ泣くわたしを見て、「何か悲しいことがあったの?」と聞いてくれました。生理痛で泣くにしては異常な様子だったのでしょう。しかし、「生理痛は一生女が向き合っていかなくてはいけないもの」という結論でいつも終わりました。
 あの頃もし、「ピル」という存在を早く知ることができていたら、学生生活の中の生理痛で苦しんだ数日は取り戻せたかもしれません。あの頃、傍にいてほしかった先生に、わたしはなりたいのです。

※ピルの効能や副作用については十分に各自でお調べください。※今回紹介した記事はあくまでも、ピルを飲んで個人が経験したことや、想像している未来を述べたものですので、あらゆる人にピルを推奨するものではありません。人によって合う合わないがあるので、病院でよく相談してください。


今回の記事が参考になったという方は、サポートや引用RTをしていただけると嬉しいです。これからも、ピルに限らず性に関する情報をたくさん発信していきたいと思うのでよろしくお願いします。

小説なども書いているので、ご一読いただけると嬉しいです


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