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風の通り道

掃除が終わったあとkは

床に寝転がります

床はひんやりしていてとても心地が良いのです

しばらくぼんやりした時間を過ごします

すると足下の方に何かがひょっこり顔を出しているのが見えました

その何かは何なのかkには初め分かりませんでした

丁度kの足のサイズと同じこびとのようです

ひょっこり顔を出したり隠れたりしながら

kの様子をうかがっています

kは心地よい睡魔に襲われそのまま

すやすやと眠りにつきました

窓からは気持ちの良い風が吹いています

風鈴の音も聞こえてきます

やわらかな風が顔を通り

ほのかに森の香りがしています

部屋いっぱいに雨が降った後の土の匂いや

木々のさわさわとした匂いが広がり

部屋の隅っこには

真っ白なひまわりの花が咲き始めました

ふとkが目を開けると

大きなふちのさびれたラッパが見えました

ラッパをのぞくと顔を真っ赤にふくらませた

こびとが見えました

こびとは自分の顔よりも大きなラッパから

kの顔に息を吹きかけていました

ふー

ふー

ふーー

kは思わず飛び起き

こびとをはねのけてしまいました

「わあ」

こびとは壁に投げ飛ばされ

ラッパを残し

壁の中へと消えていきました

こびとの吹いていた

音の鳴らないラッパに耳をあててみると

さらさらと

風の音が聞こえてきます

ラッパを耳に当てたまま

kはまた目を閉じました

なつの午後

風のやんだ町には

雨が降り始めました

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