コンクリートジャングルより、愛を込めて

こんにちは、Natsumeです。
最近はリングフィットアドベンチャーというゲームにドハマりして卒論の空き時間にそれを行い日がな一日を過ごしています。
つれずれなるままにひぐらし、リングフィットアドベンチャーを起動しスクワットをキメる。
スクワットが楽しくなるリングフィットアドベンチャーを皆さん買ってください。あなたの筋肉も喜びたかっていますよ。

さて今回の内定者課題noteは地方創生を巡る現状と課題についてです。

地方過疎の現状

現在日本は2つの点で先進国といわれています。
1つは高齢化、1つは地方過疎化です。

高齢化はかなり有名な話ですが、地方過疎化は知らなかったのではない方が多いと思います。
かくいう私も、つい先日友人の卒論で聞かされるまでそんなこと知りませんでした。

下グラフは各国の国土交通省が平成26年に発表した「国土のグランドデザイン2050」にて公表した主要各国の首都圏集中の割合を表したものです。

無題

2位3位のイギリス、イタリアと大きく差を開き圧倒的数値で首位独走をしています。

さらに次のデータも見ていきましょう。
以下のデータは農林水産省が発行している農村白書にて発表されている高齢者の割合です。

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高齢化が進んでいることは言うまでもなく、現在の日本では若年層~中年層の都市集中が進んでいます。

つまり、「地方のすさまじいスピードでの高齢化」が進んでいるのです。
若者が都市に集中し、地方に取り残された高齢の方々が増加しているということ、つまりはこう言い換えることができます、日本では今「すさまじいスピードでの限界集落化」が進んでいる、と。

これらが進むと何が問題になるのでしょうか見ていきたいと思います。

……。

と、ここまでは一般論の話ですね。社会・公民の教科書に載っている「国に求められ」「社会に求められる」回答や思考ではないでしょうか。

内定者の課題も「地方創生」に関する「現状」と「課題」なのですから、地方を創生することを私たちは求められ、過疎が進んでいる現状が課題であるという問題意識の刷り込みが行われているのが分かるでしょう。

物事は多角的にとらえてなんぼ!
せっかくですからここは斜に構えた見方をして別方向からこの「問題」ではなく「事象」をとらえてみましょう。

コンクリートジャングルから見る地方過疎


私はずっと関東に住んでおり、引っ越しもしたことのないコンクリートジャングル生まれ・コンクリートジャングル育ちです。
コンクリートゴリラはどうもこの地方創生に対して危機感を持っておらず、地方過疎はコンクリートゴリラ的常識ではむしろ受け入れていくべきなのではないかと思う節もあります。
コンクリートジャングルの常識とは、「効率と合理が人間の経済にとって最も重要」という事です。

エリートコンクリートゴリラはこの「都市に人が集中する様」を「地方過疎」としてとらえるのではなく、「都市集中」として物事をとらえます。
都市集中が行われると土地を効率的に使用できるよう居住スペースは上に伸びていき、規模の経済を有効に利用するために産業を集約し、そこで極地的に生産する事により1単位あたりにかかるコストを抑えられる、経済にとって非常に効率の良いモデルとなります。
なんと素晴らしく合理的・効率的な現象なのでしょうか!

都市に人が集中すると、税金を都市に集中して使えるので大変効率的です。
地方の道路を整備することも、民間で電気や水道、ガスなどのライフラインの整備を行わなくて良くなり、コストが削減できます。
一人当たりにかける国からの経費が少なくなるのです。
コストという観点から見ていくと機能を一点に集中させることによるメリットが見えてきたのではないでしょうか?

では何故こんなにも「地方創生」が叫ばれているのか、それは地方創生を行うことによって過疎の時に起きていたデメリットが少なくなるからではないでしょうか?

地方過疎のデメリット

地方過疎・都市集中はマクロ的に見るかミクロ的に見るかで見え方が変わってきます。ミクロ的に見ると先ほどのようなメリットが見えてきますが、マクロ的に見るとデメリットが見えてくるのです。

どういう事かと言いますと、都市集中は直近のコスト削減にはつながりますが、長い観点で見ると少子化や経済成長の頭打ちを引き起こします。

人間の歴史を振り返ると多くの場面で領土拡大を求めた争いが起こっていたように、土地という物は人間の生活にとって重要な物であることはいわれなくても分かるでしょう。
限界集落が増えると産業的に利用可能な土地を捨てていることになり、第1次産業に関しての成長が見込めない事や、食料に関して他国によりいっそう依存する事となり、外交の善し悪しにより食べるものが制限されていく可能性が出てきます。

次に少子化を助長するという問題点があります。

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厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」にて発表された都道府県別の待機児童数を表した物です。
確かに東京の割合が高くなっていますが、神奈川よりも埼玉や千葉が待機児童数が少ないのは説得力に欠け、「若者が多いから子供の児童が純粋に多い」と読みとれるかもしれません。
しかし、合計特殊出生率を見ていくとそうはいえません。

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これを見ると地方の方が出産に対するハードルが少なく、出産しやすい環境である事ないし都市部では出産しにくい環境があるのではないかと考えることができます。
また、児童虐待やDVなどのメカニズムを考えると核家族化がますます進んでいる都市の方がそのような問題が発生しやすいという構造を持っています。

以上2点に加え3/11に以降、この台風・火山活動・地震等災害大国ジャパンにおいて様々な機能を1カ所に集約させると経済的な打撃がすさまじいことも身を以て実感したという点も地方創生が取り上げられるようになった要因としてあげられます。


国や地方自治の取り組み

さて、地方過疎・限界集落発生によるメリット・デメリットを見てきましたが、長期的な目で見るとこれらの事象は改善された方が良いように思われ、コンクリートゴリラは取り組みに対してポジティブに見れるようになってきました。

実際に地方創生に取り組むために2014年に地方創生を推進するため、人口減少や東京圏への人口集中を食い止め、地方を活性化するための基本理念などを定める「まち・ひと・しごと創生法」が公布されました。
しかし、これは大きな枠組みで地方活性と子育て支援をしようという物であり、その具体的施策は地方自治体に求められています。
コンクリートジャングルの1つである地元の施策について見てみると、子育てに関して漠然とした環境作りに関してアプローチをかけており、家庭の基礎である労働環境や結婚に関してアプローチをしていないという印象を受けました。


また、地方創生の一環で行われている謎のアート事業であったり、ゆるキャラに関して「合理」「効率」がキーワードのコンクリートゴリラは疑問を抱かざる終えません。
盛り上がることは知名度を上げることにはつながるが、そこから実際に住み暮らしていく事に流入させて行くにはいささか弱いアプローチであると思われます。
2014年から取り入れられ今年で6年目になるにもかかわらず少子化は進んでいます。今までの取り組みと現状を考えると、子育てしやすい環境であるだとか住みやすい街の構造にしていくなどの施策を実行するのも、「地元愛」などの感情に訴えかけるだけのものも、訴求力に欠けるのではないでしょうか。

地方創生の課題

地方過疎の問題は「地方の加速度的な高齢化」にあります。地方に働き手がいない事が根本の問題です。

地方創生の根本の目的である「若者の引き留め」を行うために必要なことは「働く場所」の提供で有り「自己実現の可能性を見いだせる環境」がある事を知らしめなければなりません。

魅力的な町作りはコンパクトに利便性がある町を作ることでもなく、有名な食べ物をPRする事でもなく、ゆるキャラを優勝させることでもなく、

職業の選択の自由であったり、起業の促進であったり、良い労働環境の提供なのかもしれません。

コンクリートジャングルより愛を込めて

現在、技術の発達や普及により「リモートワーク」の存在認知や、それに対する取り組みが活性化しています。
きたる2020東京五輪間、都市の交通がどのようになるのか予想が立っていないため様々な企業で実験としてリモートオフィスの利用が行われているのです。
これは新しく多様な働き方を認知させる絶好の機会なのではないでしょうか。
地方にいながら、テクノロジーで自分のいる場所を仕事という面で「疑似都市化」する事が出来るんようになるんです。

地方創生に対しコンクリートゴリラはこう提案します。

多様な物を受け入れる現代、新しい働き方を受け入れて見るのはいかがでしょうか、と。

愛と情にあふれた地方にジェラシーを抱く「合理」と「効率」の国に住むコンクリートゴリラは淡々とそう思いました。