TRPGの嗜好の話

どうも、酔っ払いです。
前々からTRPGはプロレス的だと公言しておりますが、プロレスで新日には新日の流儀、全日には全日の流儀があるように、団体毎、あるいは個人毎に重視するポイントがあります。

大きく分ければ、ウォーゲームとストーリープレイの部分ですが、僕は更に「茶番」という軸を加えたいと思います。

・ウォーゲームとは?
簡単に言えば戦闘における数字的なビルドと運用です。僕もこういった構築は好きです。というか、これは例えば実社会だとすれば、どの資格をとれば就職しやすいかとか、どの能力を尖らせて活躍していきたいか、みたいなところなので、大いにやればいいと思います。
ただ、「誇示」するのは正直「ダサい」と思ってます。和マンチの皆さんすみません。僕は「これが強い」という話ではなく、「こうすると楽しい」という話が聞きたいんです。だってゲームだし。そして僕は、敵を一方的に蹂躙することを「楽しい」とは思えなくなっております。

・ストーリーとは?
これは、GMとして一番バランスを悩むところです。
日常で考えてみましょう。例えば広告でさっと目にとまるのは、イラストやせいぜい四コマ漫画です。ですが、ではそのイラスト1枚や四コマ漫画で、背景の情報なしでどれだけの感動や共感、情動が引き出せるでしょうか。必然、浅いです。ですが、例えば京極夏彦の書籍をポンと渡され、前情報なしにすぐ「読もう!」と思えるのかという話です。なので、長編を読ませたい場合は、布石を打って四コマから導入して長編に行くような導入や、あるいはその本を読んだ方がいい理由をプレゼンして、要は主体的動作を引き出すことで、受動ではない体験としての感動を引き出そうとすると思います。インタラクティブがゲームの強味ですし。マーケっぽい手法をちゃんと使いましょうという話でもあります。
でも正直、箱庭化させて、「さぁ、ここに素敵な庭があるから堪能してくれ」型が主流になりつつあるのではないかと思います。「箱庭」の定義としては、「個々のキャラクターの意思決定が弱い」と定義します。個々でモチベーションを構築して「面白がれ」という話ですね。
その設定された環境や条件が極限状態(脱出ものなど)であれば、自ずとそこに「我」が出るのでいいですが、そうでなければ皆が理性の衣を着たまま、日常生活のような気遣いと判断をしていくこととなります。何故なら、意思決定の根拠を欠くからです。
もちろん、なまじ設定を詰めてしまうと、設定に適合するキャラクターが絞られて不自由が生じる、等のリスクはありますが、正直それは「リターン(感動させたり感銘を与えたりカタルシスを与えたりすること)に自信がない」ことの現れなのではないかと思います。
キャンプをやったことがある人はキャンプを思い浮かべて欲しいのですが、様々な事前準備を行ってするキャンプと、全てが整った状態で不自由なくするキャンプとでは、圧倒的に前者の方が楽しいわけです。
労力を割くことの楽しさをまず、伝達するところから、コンセサスをとっていかねばならないと思います。

・茶番とは
「やりたいこと」を上手く参加者全員に伝達できず、自分だけ、あるいは一部の人間だけで消化することです。このこととストーリーとは、明確に分けたいと思っています。もちろん「やりたいこと」には、ウォーゲーム的な要素も含みます。
茶番的なことを周囲の人にも上手く伝えてストーリーの一部化するということを、できる人たちはしていて、結果絶対にその方が、皆楽しんでいると思います。集団でゲームをしているのに、それが自己満足の持ち寄りとか、それなんて地獄? って話です。
とはいえ、「やりたいこと」を発揮する道筋を示せなかったり、あるいは「そのやりたいことは無理」と言えない側にもよくない点はあるかと思います。話し合いましょう。もし初対面であれば綿密に。なんなら酒も酌み交わしましょう。

最近では、何でもとりあえずハードルを下げて、間口を広げて導入したうち、歩留まり率がこのくらいだから、歩留まり率の改善よりもPVを上げましょうみたいなのが多いように思います。要は、コンテンツの改善よりも宣伝を強化することで、みたいな話ですね。そういうのはホントによくないと思っていて、「これに適合する人間だけが楽しめばいい」みたいなのは、今どんどん排除されていく傾向にあるはずです。
そして、これは非電源ゲームに限らずでもあるのですが、「人が作っている」「人がやっている」ということを決して忘れてはならないと思うのです。人は一人で生きていけるかもしれませんが、TRPGは一人では絶対にできません。人を喜ばせ、また自身も喜ぶ道筋とは? みたいな、日常の哲学や労働の哲学めいた話でもありますが、皆さん幸せについて真剣に考えましょうよという話でもあります。
TRPGというゲームが今後も末永く続いていくゲームでありますように。

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