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染色と紡ぎと織のこと

染色にはまりはじめたときには、その先になにがあるのか考えたこともありませんでした。家にあった白い布は製品でもただの布でも手当たり次第に染めてしまって、やがて染めるものがなくなりました。

手芸店や生活用品店、リユースショップなどあたって、とにかく白い布を探すのですが、それらを染めてみてわかったのは、染めの結果は素材に左右される、というよりもむしろ、素材がすべてなんだ、ということでした。

私がほしい素材は、少なくともご近所のお店やデパートには売っていない。そのことがわかるようになって、素材を探すようになりました。

素材を求めてさまよっていたその頃に、古くからの友人の紹介で、代々続いている藍染工房とのご縁を得ました。当主である先生としばらく染色のお話をさせていただくことができました。雑用でもなんでもやりますので通わせてくださいとお願いしたところ、染色については今まで通り独学でやりなさい、かわりに糸紡ぎを教えてあげましょう、と先生にいっていただきました。

糸紡ぎなどやったことも、やるということを想像したこともなかったのですが、自分から「なんでもやります」みたいにいったわけですので、もちろん、やることになりました。

最初はウールの紡ぎから。最初の糸は本当にぼこぼこで、今、その糸を取り出して眺めると、むしろ、愛おしい。先生も、「この最初の糸はとっておいてくださいね。最初はこれだったんだっていう記念に。」とおっしゃってました。

ウールの次は綿の紡ぎを教わりました。マシンというか、器具のようなものもウールと綿では違って、でも、私は、ウールより綿のほうが楽に紡げたような気がします。

というか、なぜこんなことを書いているかというと、春にある大きなイベントで、少し今つくっているものを販売してみたら?と友人に勧められました。私はほかに生活のための職業をもっているので、大量の制作はできないし、もしかしたらひとつも売れないかもしれない。でももし仮に誰かがそれを買ってくださったとしたら、これをどうやってつくっているのか、きちんと説明できるようにどこかに書いておきたいな、と考えて、このnoteを書くことにしました。こんなふうにつくるようになって、こんなふうにつくっています、ということを、お会いすることはできないかもしれないけど、私のつくったものを求めてくださる方が仮におひとりでもいらっしゃるとしたら、その人に、伝えたいと思って。



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