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100%の幾田りらの「手」

2022年5月20日22:00。
「THE FIRST TAKE」プレミア公開。
幾田りら「スパークル」。

レポとまではいかないが、少しばかり書いてみようと思う。


水色の衣装に身をまとった彼女は大きく息を吐いた。

お願いします。

手を握り、彼女の一発撮りが始まる。


煌めいて消えてった ひとひらの恋の結末は─

どこか歌声に優しさというか温もりを感じる。だが力強く迫力がある。

のぼせた頬を夜風に任せて 冷やして─

左後方のカメラの映像に切り替わる。彼女の左頬を橙色のネイルを爪にした左手がなぞった。のぼせた頬をつたう冷たい涙だろうか。

煌めいて消えてった ひとひらの恋の結末は─

左右の手のひらを握りしめ、自分で綴った歌詞に想いを込める。これが彼女の100%。

再び両手が映し出された。


2番へと進む。
ここまで聴いて、ふと「この女性は誰なんだ」という疑問が浮かんだ。その答えはもちろん幾田りらである。だが頭ではそう理解してるつもりなのに、どうにもパッとしない。

20分前にインスタライブをしていた幾田りらじゃない。恋愛相談をするりら姉でもない。武道館で歌い上げていたikuraでもない。ANNXのikuraちゃんでもない。

たどり着いた答えは、シンガーソングライター幾田りらだった。僕のはじめて見る、僕の知らない彼女の姿が映し出されていた。もちろん配信されている彼女の楽曲は知っている。けど(うまく表せないけど)その彼女とはどこかが違う。はじめて見た100%の幾田りらは美しかった。


いつの間にか終盤を迎えていた。

左右の手のひらを握りしめ、歌手として「"片想い"の混じり気のない素敵な気持ち」を伝える。

落っこちていくような 心地がしたのは
目と目が合った時でした ほんの一瞬のこと─

歌声の余韻の中、彼女の左右の手はかすかに震えていた。そのかすかな震えから彼女の歌に対する想いが伝わってくる。

何年もの間様々なことを乗り越えながらマイクを握り続けてきた手。ただのファンの1人である僕にはわからないであろう高い壁を乗り越えてきた手。映し出された幾田りらの手は美しく見えた。


幾田りら - スパークル / THE FIRST TAKE


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