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文字のみ絵本(それはもう書籍)『うじガエルとすがすがぼうず』

挿絵を描いてくれる絵師募集中です。
⚠️幼稚園生~小学1年生が読むことを想定しているためほとんどがひらがなです。漢字は脳内で変換してください。需要があれば全漢字入りも作るかも?⚠️


あるところに、うじガエルというそれはそれはかしこくてなんでもできるカエルがいました。
しかし、なんでもできるうじガエルがかつどうする日はぜんぶ雨の日でした。
ある雨の日、やねの下で雨やどりをしているとまどぎわで小さなてるてるぼうずがうしろをむいてつるされていました。
「こんにちは。どうしてうしろをむいているの?」
うじガエルがはなしかけると、なきごえがきこえました。
「うっうっ…ぼくをつくってくれた子をかなしませちゃった…きょうのゆうえんちをたのしみにしていたのに…ぼくはてるてるぼうずなんてできないんだ…うっうっ」
てるてるぼうずはかおをなみだでにじませてこっちをむきました。
これを見てうじガエルはなんとかしててるてるぼうずをえがおにできないか考えました。
「そうだ!そとのせかいをたんけんしてみない?きっときみをえがおにできそうなひみつのばしょをしっているんだ!」
「ひみつの…ばしょ?」
てるてるぼうずはにじんだかおでうじガエルを見下ろしました。
「そのまえに、きみを下ろさなきゃ。今からそっちにいくから!」
うじガエルはてるてるぼうずのあたまめがけてひとっとび。あたまのひもをササッとほどきました。
『わあ〜っ!?』
ひもがはずれたとたん2人は下へきゅうこうか!しかしうじガエルがちゃくちしててるてるぼうずをせなかにのせたのでてるてるぼうずはだいじょうぶでした。
「そういえばなまえをきいていなかったね。ぼくはうじガエル。きみは?」
「ぼくは…すがすがぼうず。なまえとちがってぜんぜんすがすがしいかおじゃないけど…」
うじガエルはすがすがぼうずをせおってはしり出しました。
「そんなのかんけいないよ。さあいこうか。ひみつのばしょはここからかなりとおいんだ。しっかりつかまってて!」

2人のたんけんはきけんがいっぱいでした。
水たまりでおぼれそうになったり人にふまれそうになったり…それでもうじガエルはてるてるぼうずをえがおにするためにひみつのばしょをもとめてガムシャラにはしりました。
大きなふるそうなたてものが見えてきたそのとき。
雨足がつよくなってきました。うじガエルとすがすがぼうずはびしょびしょにぬれながらたてものの中へ入っていきました。
「もうすこしでつきそうだったのになぁ」
うじガエルはざんねんそうに空を見上げます。雨はやみそうにありません。
するとすがすがぼうずはおおごえをあげてなき出しました。
「ぼくはっ…うじガエルくんまでっ…かなしませてっ…やっぱりぼくはっ、てるてるぼうずなんてっ、できなかったんだぁ〜!」
すがすがぼうずのなきごえは雨の音でかきけされてしまいます。
うじガエルはまたすがすがぼうずをえがおにするためにかんがえこみました。
そのとき、パラッパラッとあまりきかない音がきこえてきました。むこうを見ると、くろいかさがひらいたままおいてあります。
くろいかさが雨音でえんそうをしていたのです。
うじガエルがたずねました。
「いいきょくだね」
くろいかさはごきげんにこたえました。
「わたしはえんそうかだからね。このきょくはわたしがかんがえたんだ」
うじガエルはおどろき、なにかをひらめきました。
「すごい!雨音できょくがつくれるんだ!そうだ。えんそうかさん、よかったらうたってもいいですか?」
えんそうかは雨となみだでしわくちゃになったすがすがぼうずを見て、うじガエルにこたえました。
「いいよ、ずっとだれかとセッションしたかったんだ」
そしてうじガエルはえんそうかのねいろに合わせてゲコゲコとうたいはじめました。
あんなにうるさかった雨音がピアノの音ようにひびきわたります。
ないていたすがすがぼうずもなくのをわすれて2人のセッションに見入っていました。
うたがおわるとすがすがぼうずはおもわずはくしゅをして立ち上がりました。
「すごいね!きみってうたが上手なんだね!」
そのかおはおどろきとよろこびがまざったえがおでした。
うじガエルはニコッとわらって
「やっとえがおを見せてくれたね」
すがすがぼうずをだきしめました。
そとを見ると雨はよわくなり、たいようのひかりがふりそそぎました。
「雨がここまでこまかくなったいまならいけるかも!すがすがぼうず、いそごう!」
2人はかえるのせきぞうのてっぺんまでのぼりました。
そこから見えたけしきは、赤い大きなもんとおくまでひろがる町と空のようすでした。
「ここがひみつのばしょ?」
すがすがぼうずがといかけると、うじガエルはとくいげにこたえました。
「うん!いつもいっているからこの町でなにがどこにあるのかぜんぶしっているのさ!」
すがすがぼうずはひろがるせかいに目をかがやかせてかんどうしていました。
「ありがとう、うじガエル。きみがいなかったらぼくはまどぎわのせかいしかしらなかったかもしれない」
うじガエルはふりかえってえがおを見せました。
「こちらこそありがとう。きみのおかげではじめてはれた日の町を見ることができたよ」
すがすがぼうずはおどろいたかおでかえしました。
「ええっ?ぼくのおかげ?でも、あの子のだいじな日に雨をふらせちゃったし、きょうたまたま雨があがったんじゃないかな」
うじガエルはくびをよこにふってまえにむきなおりました。
「ううん。きみといたからはれたんだよ。だってきみはせかいをてらすてるてるぼうずじゃないか」
すがすがぼうずは目を円くしてまえをむきました。
「それもそうだね」
そのかおはなまえのとおり、すがすがしいえがおでした。
2人の目先にはにじがかかっています。
しかし、すがすがぼうずのしっている7いろのにじではありませんでした。
「あれ?いつものにじじゃないけどなんでだろう?」
ここでものしりうじガエルのでばんです。うじガエルはわくわくしてこたえました。
「これはだれかのねがいがかなった雨上がりしか見られない12しょくのにじだ!こんなきかいにどとないよ!」
すがすがぼうずはいきおいよくはなすうじガエルをほほえみながらにじを見なおしました。
「そうなんだ。でもだれのねがいでかかったんだろうね」
うじガエルは「さすがにぼくはそこまではわかんないや」となぜか見下ろしました。そこでは、くろいかさのえんそうかがウインクしていました。
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いっぽうじんじゃでは、2人の男の人たちがさがしものをしていました。
せのひくい男の人がいきをきらしながらかいだんをあがってきました。
「はぁ、はぁ…どこまでいくねん、くたびれたでさすがに…」
せのたかい男の人はせのひくい男の人をまっていました。
「水のあとをおっかけてきたらここまであったんや。ここにうちの子がつくったてるてるぼうずがあるかもしれへん」
せのひくい男の人はあきれながらくびをふりました。
「うじはら、おまえたまにとんでもないこというよなぁ…そんなわけないやん」
せのたかい男の人ことうじはらはなっとくのいかなそうなかおをしてせのひくい男の人にはんろんしました。
「そんならなんですがはここまできたん?そんなわけないならここまでこないはずやろ」
せのひくい男の人ことすがはためいきをついてとぼとぼあるきはじめました。
「うじはらがきけんな目にあうかもしれへんしちゃんとかえってこれるかもわからへんからついてきたんやろうが。かんしゃせぇ」
うじはらはじんじゃをあるきまわりました。
「いえぐらいちゃんと1人でかえれるわ!とにかく、てるてるぼうずをさがさないと!」
2人はじんじゃをぐるぐるまわっててるてるぼうずをさがしはじめました。
しかし、どこを見てもてるてるぼうずはおちていません。
うじはらはくやしそうにうなだれました。
「あやしいところはぜんぶ見た…のに見つからへんってどういうことや…!?」
すがはかなしいかおをしてなだめます。
「つよいかぜでどっかとおくにとんでったんちゃう?雨とか」
ばんじ休す、しかたないからかえろうとしたそのとき。
「ん?せきぞうに…」
うじはらはかえるのせきぞうをあやしみ、ちかづきました。
せきぞうの上には、なんとアマガエルが小さなてるてるぼうずをせおっているではありませんか!
うじはらはカエルをおどろかさないようにそうっとてるてるぼうずをとっていきました。
「ここにおったんかすがすがぼうず〜」
おくですわっていたすがはどんびきしていました。
「なに?おまえてるてるぼうずにもおれのなまえつけてんの?きもっ」
うじはらはてるてるぼうずをだいじそうにもってはんろんしました。
「おれはつけてないねん、うちの子や!あ〜あ、水でかおがにじんで…やからすいせいペンでかくなっていうたのに」
そのとき、カエルがこっちをむいて「ゲコ」となきました。
2人は見つかったとおどろきましたが、うじはらはなにかをさっしました。
「うじはら、このカエルどうするん?」
すががたずねると、うじはらはやさしいえみをうかべて
「このてるてるぼうずといっしょにいたいんやろな。こいつもつれてかえってうちでかうわ。はなしのネタにもなるやろうし」
とおちていたパックにカエルを入れてつれてかえりました。
「おくさんと子どもがこわがるようすがありありと見えんねん」
すがはどくづきましたが、こうしてうじガエルとすがすがぼうずはいつまでもなかよくくらしました。

おしまい

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