ミセスを抱きしめてあげたい。

 コロンブスのMVが出た翌日、多数の視聴者や音楽関係者などがその演出について批判の意見を寄せ、現在Mrs.GREEN APPLEは公開を停止している。トレンドにはミセス炎上というワードが入り、鎮火するにはもう少し時間がかかりそうだ。またコロンブスはMagicに続き、コカ・コーラとのコラボソングとして作られた曲だが、コカ・コーラ社は現在コロンブスを使ったCMの配信を停止しており、その声明文に困惑と失望の声が多く見られている。私はMrs.GREEN APPLEが大好きで、冗談抜きで聴かない日はない。それだけ毎日私の背中を押してくれる大切な存在だ。稚拙な文章だけど許してほしい。複雑な感情を突発的に文字に起こしているので。

コロンブスMVを見た時の感想

 まずはじめに、私がコロンブスのMVを見てどう感じたのかをここに残しておく。リズムがとても好きな曲だったのでMVは5回ほど見返している(もっと見ておけば良かった)。正直に言うと、歴史的な観点でアウトなのでは?という批判的な見方はできなかった。最初はポップでミニチュアなリゾートの雰囲気から始まったので現実感から離れているし、メンバーのコスプレが可愛くて見ていて楽しかった。フェーズ1のPARTYを思い出した。何よりキャラクターがみんな楽しそうだったので、わちゃわちゃしている舞台裏を見たいとまで思っていた。でもそれは叶わなかった。

SNSでの反応

 コロンブスのMVが出て、楽しそうな雰囲気にコメントを寄せる人がいる一方で、MVに登場する猿のキャラクターを「先住民」に喩えていると解釈できることから、猿にピアノを教えたり人力車をひかせたりするシーンが奴隷制度を想起させる、人種差別ではないかと批判の声が上がった。色々な著名人がそう言った意見をSNSに投稿したことで瞬く間に拡散し、炎上してしまった。さらに、炎上に便乗するかたちでミセスの曲やメンバーに対する誹謗中傷、私のようにMVに差別的な解釈をしなかった人への厳しい言葉がたくさん投稿される事態になった。

問題への対応

 一連の騒動を受け、Mrs.GREEN APPLEは該当MVの公開を停止した。さらに同日、ボーカルであり今回のMVのディレクションを行った大森元貴さんは、公式サイトに謝罪文を載せた。ミセスのサポートメンバーであるベースの森夏彦さんは「本人が出したメッセージが全てだと思います。これ以上は余計な考察や思い込みはやめましょう。あと、「批判」は受け止めるべきだ。けど「悪意のある非難」、特に件とは関係ないものはなんの生産性も産まない。そんな言葉で自分を汚さず大切にして欲しいなぁと思います。」とコメントした。また、ドラムの神田リョウさんは「本当の悪魔とは巨大に膨れ上がったときの民意だよ。自分を善人だと信じて疑わず薄汚い野良犬が溝に落ちると一斉に集まって袋叩きにしてしまう。そんな善良な市民たちだよ。って古美門先生の言葉を思い出す」とコメント。SNSを利用する人に向けてメッセージを送った。
 一方で、コラボ企業のコカ・コーラは声明文を発表し、コロンブスを用いたCMの配信停止を決めた。この対応に対し、ミセスファンからは「曲に罪はないのに」「事前にMVを宣伝していたのに、何も知らなかったはおかしくないか」と落胆する声が上がった。

私が今一度思うこと

 ここからは私の個人的な意見なので、反対意見もあることを承知で書いていく。
 まず、シンプルにつらい。ただただつらい。私はもっくん(大森元貴さん)が普段どれだけ楽曲に対して真摯に向き合っているかを知っている。今回の曲だって、リズムもメロディーもあんなに軽やかなのに、歌詞はすごく重たい。初めから重たい。ラスサビ前の「あなたとの相違は私である為の呪いで 卑屈は絶えないが そんな自分を 本当は嫌えない」のフレーズなんて、どうやって生み出すんだろう、凡庸な私には到底分かり得ないけど、とにかくもっくんは心の中の言語化できなかったモヤモヤを言葉にするのが本当に上手い。Soranjiの歌詞は、自分を極限まで追い詰めて書いたと言っていた。そんなアーティストを私は知らない。今回の曲もきっと自分の暗い心内と向き合いながら、私たちのために書いてくれたんだと思う。だからこそつらい。ファンならわかると思うけど、気丈に見えてとても繊細な心の人だから。一番つらいのはもっくんだろうな。そう考えると私もつらい。
 謝罪文で当初から差別的観点は懸念していた、その上で、パフォーマンスに注意しながらMVを作った、それでも配慮が足りなかったと述べていた。彼が無知で考えなしにあのMVを出したわけではないのだ。森さんも言うように、本人がコメントをしているのだから、それが全て。それ以上でもそれ以下でもない。もっくんは過ちを認めているし、対応を取ったのだから、それ以上追及するのは野暮だ。
 差別的な見方ができる、という意見は尊重すべきだと思う。世界は広いし、どう思うかなんて十人十色。でも、私のように純粋にMVを楽しんでいた人もいたということをわかって欲しい。私たちは学ばないといけない。
 そして、炎上に乗っかるように誹謗中傷を書く心無い人たち、今すぐそのコメントを消せ。私はSNSの言葉が人の人生を歪めることを知っている。それは絶対に許せない。「口から不意に出た言葉で人は悲しくなってしまうらしい」。
 私は変わらずミセスが好きだし、これからも聴いていく。自分を大切にして、また素敵な曲を届けて欲しい。こんな奇跡がずっと続けばいいのにな。

私の好きなミセス

 暗い話ばかりだと気が晴れないので、私の好きなミセスの曲を何曲か紹介する。
①ツキマシテハ
 今一番刺さる曲。自分を正当化すること、一方的な考え方の怖さを歌う曲。
②ケセラセラ
 私はこの曲に毎朝救われている。確証はないけど、きっとなんとかなると前を向ける。
③ナハトムジーク
 今は自分を抱きしめてあげてほしい。元気な姿がまた見たい。
④パブリック
 これも刺さる。今は少し、この曲に身を委ねていたい。

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