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ケセラセラ

 これから待ち受ける色んなプレッシャーに怯えながら、わたしは今日もこの曲を聴く。
 辛いことだって山ほどあるよね。誰かに言えないことの方が多い。ゆうべ、明日やろうと決めたことを、やっぱりやめようかな、なんて日常茶飯事だし。
 出来損ないなのは分かってる。逃げたい。でもそんな弱い自分を、わたしは何よりも嫌いだ。
 将来のことが、心配になる。今を生きるのに精一杯で、これからに向けての準備なんてできる余裕がない。やらなきゃいけないことはわかっている。頭ではわかっているのに、体が動かない。どうしようもなくなって、頭が追いつかなくなる。結局なんにも成長してないじゃん。はは。渇いた笑いが溢れる。縋るようにイヤホンをつける。

ケセラセラ 今日も唱える
限界?上等。やってやろうか。

Mrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」

この曲を聴くとときどき思う。今この瞬間も、どこかで辛い思いをしてる人がいるんだろうな、って。苦しいのはわたしだけじゃないんだ、って。すれ違う人たちは気丈に見えるけど、漏れ出さないように心の中に頑張って抑えてるのかもしれない、って。
 そんなわたしを、彼らは「偉いね、よくがんばったね」って褒めてくれる。誰にも言えない苦しみを抱えるなかで、彼らだけはちょっとだけ、わたしの気持ちを軽くしてくれる。何もできてないのに、全然駄目なのに、「今日はちょっとだけご褒美を」なんて言ってくれる。こんななのに、ご褒美なんていいんですか?それに対して、すぐに答えてくれる。「だって、私を愛せるのは私だけだもん」
 ああ、またこの人(大森元貴)は。罪だよ。彼の優しい声を聞いて、自分に甘えてしまう。でも、そうするとやっと、前を向ける。
 今日もちょっとだけ頑張れる。せめて今日なら生きれる術を彼らから分けてもらう。明日も越えていかなきゃいけない。でもまたきっとその歌声が救ってくれるんだろう。

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