『性格が悪い』は優しさの才能

 SNS上で「親戚の集まりに出席したら、大して関係性もないおじさんに結婚を急かされた」というような話を頻繁に目にする。個人的には「結婚は人生の墓場だ……」と愚痴っているおじさんよりかはいくらかマシだが、求めてもないのに各々の人生に介入しようとしてくるなや、とは当然思う。「人それぞれ」とか「みんな違って」という言葉は誰かを肯定する為に使われがちだが、他人を否定しない為にも念頭に置きたい。
 しかし、そのおじさんが嫌なヤツかと言えばそうではない。殆どの場合、その原動力は大いなる親切心であり、寧ろいいヤツに分類される人間だと思う。わたしなんかよりもよっぽどいいヤツだ。だからといって、別に許す必要はない。寧ろたまにぶん殴られるぐらいが治安維持の為にはちょうどいい。マルチだって怪しい宗教だって大抵は本当に良いと思って、親切心で誘っている。積立NISAや楽天お買い物マラソンの話ですら「うぜぇ~」と思って聞いている人がかなりいるというのに。
 きっと金メダルを噛んだ市長だってめちゃくちゃいいヤツだと思う。国民から糾弾されるだなんて、一切思っていないあの笑顔。全員が自分の味方であるかのように他人を疑わない清い心。いいヤツでしかない。学生時代、コンビニで500円のタバコを買いながら「俺、お金ないねん」とか言っている友達を責めることなく牛丼やサイゼや鳥貴族奢ってくれてそう。

 一方でそういう「いいヤツ」を見逃さず嫌な目線を向け続けるわたしたちの性格の悪さったら。
 

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