友達だった人の話。

今年に入って、LINEの整理をした。


社会人も6年目に差し掛かり、関わる人は減っていく。
学生時代には仲の良かった部活仲間やクラスメイトは関わる事が無くなった。

携帯の容量の問題もあるので、LINE内の繋がりを整理することにした。それはまるで、本当に人間関係を整理しているかのようで少し苦しい気持ちにもなった。

LINE内の整理をしてようがしてまいが、この先関わる事があるかは分からないけれど。僅かでも関わる可能性があるかもしれないのに自らの手でその可能性をゼロにしている、そんな気持ちになった。

私がLINEでの繋がりを消してしまった1人の友達の事を今日は書きたいと思う。

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その友達は、ここではミカちゃんと呼ぶ事にする。

ミカちゃんは、私が以前働いていた職場の同期。
歳は彼女が1つ上ではあったが、よく一緒にご飯に行ったりお出かけしたり、普通に仲の良い友達だった。
仕事や会社の不満、上司の愚痴。同じ職場だからこそ分かり合える事は多く、会う度に話題は尽きなかった。
20代前半の年頃の女の子らしく、ガールズトークもしたが1番はやっぱり共通の話題である仕事の話が多かったように思う。

そんなミカちゃんは、転職をする為にその職場を辞めた。
ミカちゃんと、彼女の直属の上司は少し上手くいっていないようだった。

ミカちゃんの最終出勤日にはプレゼントも渡し、ご飯にも2人で行った。
「職場が違ってもずっと仲良くしようね」とお互いに言った。
それから数日は職探しの日々を送っていたが、ミカちゃんは無事に次の仕事が見つかったようだった。

ミカちゃんはLINE以外のSNSをやっていない。
なので彼女の近況はLINE内で聞くか直接話さないと分からない。
彼女が転職してから数ヶ月の間は定期的にLINEのやり取りをしていたし、ご飯にも行っていた。
だが、次第にお互いの予定も合わなくなり、会うことは減り、LINEもしなくなっていった。

そして私自身、ミカちゃんに会いたいという気持ち自体が薄れていた。
特に嫌いになったとか喧嘩したとかじゃない。
けれど、職場が変わってからの会話は以前より話題が減っていた。共通の分かり合える話題があった事で、私達は仲良しだったのだと強く感じた。
時折LINEをしても会話の途中で数日放置されたり、スタンプだけで急に会話が終わったり。カップルじゃあるまいし友人間では怒ることもないそんな些細な事も、私の中での彼女の印象を少しずつ下げていた。
今まで何も思わなかったのは、きっとLINEがどうであれすぐ会えていたからなのだろうな。

こうして私の中での彼女の優先順位は下がっていき、特に自ら連絡することもなく月日が経った。
きっと彼女の中でも私の優先順位は確実に下がっているだろう。彼女からの連絡もなかった。

LINEの整理をする時、連絡を取り合うことはもうほとんど無いだろうと思いミカちゃんを"非表示"にした。

それからしばらく経ち。
今週、仕事で取引先から電話がかかってきた。

その取引先とは以前から関わっていたが電話口の女性は初めて会話をする人だった。
ドキリとした。私と同年代くらいのように感じられ、何より声や話し方がミカちゃんにそっくりだった。
名前が違うので確実に別人だけど、そこでミカちゃんの事を思い出した。

何となく、元気にしているかLINEしようかなという気になった。
最後に連絡したのはもう1年近く前になるだろうか。
そう思いながらLINEの非表示欄を探したが、ミカちゃんのアカウントは見つからなかった。
もしかしたら、非表示のつもりが他の人のアカウントと間違えて削除してしまったのかも。
こうして私はミカちゃんとの連絡手段を失っている事に気がついた。

LINEが無くなるだけで、今どこで何しているかも分からなくて。もう一生会うことは無いように思う。

あんなに仲良くしてくれたのに、連絡手段を無くしてしまってごめんなさい。
あの頃ミカちゃんが居てくれて、何でも話せたことで救われていた事が多かった。私も仕事でしんどい事が多かったけれど、しんどさを共有してくれたおかげで頑張れていました。
なのに関わりを断つなんて、私ってなんて冷酷な人間なのだろう。そう思うと、少し苦しくなる。

どうかミカちゃんが元気で楽しく過ごしていますように。
私の事なんて脳内で微塵も気に留めていませんように。


いつかどこかでバッタリ会えたら、LINE消しちゃったことを話して謝ることが出来ますように。

また会えたら、きっとまだ友達。
この先会えなかったら、友達だった人になっちゃうかもしれない。ごめんなさい。