初心者のロンカプ感想

羽生結弦選手を好きになったのは、たぶん平昌オリンピック前くらいからだと思う。アイスショーは何度か行ったことがあるけど、試合を現地で見たのは初めてのことだった。

プレミア席を入れても実質8列目くらいの席で、選手たちの表情も肉眼で見える自分にとっては神席。やはり試合は違う。独特の緊張感が会場には存在していた。

第4グループの6分間練習が始まる前は、会場中が羽生選手が出てくる瞬間を固唾を飲んで見守っているように感じられた。羽生選手は素人目にも調子が良さそうに見える。
今季初披露の衣装で現れた羽生選手は、全身から光を発しているように、きらきらしていた。水色の衣装のスパンコールが光を放っている以上に彼自身が淡く光っているような気がした。背中の大きく開いた部分にはもちろん肌色の布が付いているのだけれど、彼の肌色と完全にマッチしていて、一層彼の肌の白さを際立たせ、本当に綺麗だった。あまりにも美しくて息をのむ、という経験を初めてしたような気がする。異国の姫という言葉が頭の中に浮かぶ。中身は戦国武将だというのに。

素晴らしい演技だった。私は生涯この瞬間を忘れないだろう。


演技は、音にぴったりという言葉では表せない、むしろ、羽生選手が音であるようなそんな印象だった。後々見たテレビの映像には時差があるのではないかと感じるくらい。
競技だということを忘れてしまう、まさに彼自身の「結晶」というべき芸術作品。
さいたまスーパーアリーナ全体が、まだ演技が終わりきらないうちから、立ち上がって喝采を送りたいという雰囲気だった。彼が暗闇から光をつかみ取るしぐさをした瞬間に、そこにいた観客が一斉に立ち上がって拍手を送った。感動に包まれていた。
本当に本当の本物は、すぐにわかる。私のようなジャンプの見わけもつかない人間であっても、むしろ今日初めてフィギュアスケートを見たという人であっても、誰にでもわかってしまうと思う。
あの全日本の「序奏とロンド・カプリチオーソ」はジャンプと振り付けと音楽が一体となっていた。4Aこそ入っていないけれど、彼のスケートの完成形をみた気がした。
あのような経験は人生でそう何度もあることではないのだろう。
けれど私は贅沢にも、彼の試合での演技を今後も現地で見たいと思ってしまった。
来月の今頃、どうなっていても今後も彼を応援していきたい。


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