東武亀戸線の話

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私は鉄道オタクですが、好きな路線の一つに東武亀戸線があります。しかし、その理由は「でんちゃかっこいい」的なオタク心とは少し違います。
なぜ私があの路線を好きなのか、少し書いていきたいと思います。

東武亀戸線は東武スカイツリーライン曳舟駅とJR総武線亀戸駅を結ぶ5駅3.4kmの短い路線です。2両編成の電車が行ったり来たりしている、下町のローカル線とでも言うべき存在です。
この路線の一番の魅力は、利用客つまり地域住民との“近さ”だと思っています。乗換駅である両端の2駅以外は駅舎も小さく、駅前の目の前に改札があって改札のすぐ向こうにホームがあるような昔ながらの簡素な構造です。そしてそういう物理的な距離だけでなく、地域住民たちが近所に乗り換えや買い物に行くのに気軽に乗り降りする、『ゲタ電』のような使われ方をしているのもまた親しまれているのを感じます。地域の日常に溶け込んでいる風景が、亀戸線の素敵なところだと思います。
そんな亀戸線ですが、実は東武鉄道の中でも2番目に古いかなり長い歴史を有しています。開業は1904年で、かつては総武線と直通して東武鉄道の本線として活躍していました。本数の割に今も複線なのはそのためです。とはいっても今は昔、現在は一支線としてのんびり走っています。

亀戸線が地域住民に近い距離で親しまれている理由の一つに、その歴史の長さもあると私は思っています。100年以上もの間亀戸線はそこにあり続け、色々な時代を経験しながら、地域の足として使われてきました。そうした長い歴史があるからこそ、人々の間に深く根ざして親しまれているのだと感じています。
亀戸線は必ずしも利用客が多い路線ではありません。東武スカイツリーラインや総武線が10両編成で行き交う横を2両でこまごまと走っているのが亀戸線です。コストカットのためにワンマン化もされています。でも、それを引け目に感じることは無いと私は思います。魅力という意味では利用者数が多いことこそが必ずしも正義ではありませんし、そうではないからこそ亀戸線は利用者と近い距離で親しまれているのだと思います。

黎明期を支えた長い歴史を持ちつつ、今は必ずしも数的シェアは大きくないかもしれませんが、その代わり人々に愛着を抱かれ近い距離で親しまれている、そんな心安らぐ雰囲気が他にはない素晴らしい魅力です。これからもそんな存在であり続けてくれたら嬉しいな、と一ファンとして願っています。

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