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そらの色

お盆から一週間ずらして実家へ帰省した。地元は日本海側に面している。

夕方、犬の散歩へ。田んぼの稲刈りの片付けをしているおじさんに会って、お疲れさまです。と犬の方を向きながら声をかけた。顔は知っているけど名前は知らないおじさん。

遠くにも犬が見えたため、「よし、すれ違ったら名前を聞いてみよう」と思いながら歩いた。よくよく見ると先方も同じ方向へ歩いていたので距離は縮まらなかった。遠くにみえているものを自分の都合の良いように解釈している。

走っているひとに、すれ違いざまにあいさつをした。走ってい息が上がっているのに、声をかけられて困ったかもしれない。後ろを振り返るとずいぶんと遠くにいた。

海の方を見ると夕焼けが広がっていた。

この景色をポッケに入れて持ち帰りたい気持ちが湧いてきたが、スマホは持ってきていなかった。

犬は動きをとめているのでわたしも動きをとめて、むらさきとオレンジ色のそらを眺めていた。じっと見つめても、色を記憶しておくのは難しい。

稲刈りを目前にした田んぼの真ん中、耳鳴りのように鈴虫の声がひびいている。海沿いを走る車のライトが星みたいに光っていた。

老人と呼ばれるまで死なずにいたとしても、あと何回夕焼けを見れて「きれい」と感じることができるのか。100回もないんじゃないか。

夕焼けは毎日欠かさずあるのに、そのことすら覚えて生きてはいなかった。

思い出して塗った

カメラロールに収めていたら、多分書いてない日記

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