Life Goes On


あなた○○さん(父の名前)のお嫁さん?
いや、娘です〜
娘さん!?そうよねもうそんなになるのね、私も歳をとるわけだわ…


というお客さんとのやり取りと、Life Goes Onを聞いて思い出した話をつらつらと書いていく。
あんまりと言うか、楽しい話ではないです、ごめんね。




詳しい死因は避けたいのだけど、父は私が11歳の時に亡くなっている。
あまりにも突然だった、父はそうじゃなかったかもしれないけど。
亡くなった父を見た時、この人本当に寝てるだけじゃないかしらと思ったのだけど、結局最後まで目は覚まさなかった。
家がドタバタしていて、色んな人が来て、はじめましての人もいたけど、皆泣いていた。
当時の飼い猫だけ父の上で眠っていた。
猫もなにか感じるのかね、と母と祖母が喋っていた。
この時姉はどう思っていたかかわからないけど、準備やら何やらで一時的に祖母の家で待機していた時、一緒にわんわん泣いてくれる人がいて本当に救われた。あの時の話はしないし、これからもするつもりはないけど。

それからきっと色々したんだろうけど覚えていない。
人が骨になるまであっという間だった。
全部終わった後、もうお父さんの事で泣くのは最後だよと祖父と約束をさせられた。

大人になって、なんだかんだで地元で働いてる。
名札を見られてはよく声をかけられた。これが死ぬほど嫌だった。
未だに父のことを悪く言う人はいないけど(そりゃまぁ実の娘に悪く言える人もなかなかいないだろうけど)
本当に優しくてね…と言う言葉を聞く度、この人にとって父はもう過去の人なんだなぁと思った。
冒頭のお客さんだっていつもの、そんな中の一人に過ぎなかったのだけど、仕事終わりにLife goes onを聞いて、ふと。



父が亡くなってからしばらくの間、どうやって過ごしてたのかあんまり思い出せない。
ただ、仏壇の前でボーッとする母に何にも声をかけられなかった事はずっと後悔している。
私よりも長く父と一緒に生きてきた母、骨もそろそろ入れないとね、と笑って誤魔化していた母、父が亡くなってからカトラリーが変わったから、その話題に触れたら怒り出した母、ごめんね。
中学、高校、社会人になった今も母のおかげでのらりくらりと幸せに生きてきた。
ずっと幸せだ、私は。
ただあの日があまりにも突然過ぎたから、心のどこかで受け入れられなかったんだと思う、ずっと。
ずっと帰ってくるんじゃないかと待っていたんだと思う。
だって父のポーチ(兼財布)の中に、小さい頃紙で適当に作って渡したお守りが入っていた時の、あの感情は一生言葉に出来ない。

父の事をきちんと見送ったのに、私に抱き抱えられるくらい小さくなった父もちゃんと知っているのに。
火葬場の匂いを一生忘れられないのに。



Life goea on という曲を聞いて、ふと。
今まで意識した事なんてなかったけど、あれから気付けば12年経っているらしい、という事に気付いてしまった。
12年、11歳の時に亡くなってから12年経っている。
もう一緒に生きてきた年数より、あなたと一緒に生きてきた11年より、あなたがいない人生の方が長いんだという事に今更気が付いた。
そんな事とっくにわかっているつもりだったのに。



人間は聴覚の記憶から無くすけど、最後まで残る五感は聴覚という話、あれは本当だと思う。
もう父がどんな声だったのか、どうやって私を呼んでいたのか思い出せない。
それでも人生は続く、続いていく。
どんなに寂しくても辛くても、やめてしまいたくなっても、きっかけなんてなくても、いつの間にか何でもないフリをしなければならない、生活をしなければならない、私たちは生きているから。
生きている限り人生は続くから、もう父は帰ってこないのに。
そんなことずっと前からわかってるのに。

これが本当に父を思い出して涙を流す最後の日になると信じてる。
これからも人生は続く、どんなに寂しくても辛くても、やめてしまいたくなっても、きっかけなんてなくても、いつの間にか何でもないフリをしなければならない、生活をしなければならない、生きていかないといけない、それでも大丈夫。
Life Goes Onが沁みるね。

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