新作組踊「塩売」(マシュウヰ)について

2021年3月27日、国立劇場おきなわで新作組踊「塩売」を観た。(伊良波賢弥作)

 演出:嘉数道彦/振付:阿嘉 修/音楽:宮良康正・新垣俊道

 配役:父親・東江裕吉/塩売・上原崇弘/船頭・阿嘉 修/神司・金城美恵子/   童子・糸数彰馬

この物語の筋書きは興味深い。
古典音楽と八重山民謡が響き渡る舞台は、18世紀後半の八重山に大津波が押し寄せた歴史『明和の大津波』を背景にしている。


従来伝統組踊で幽霊(死霊)がr登場するのは「雪払い」と田里朝直の作品にあるだけだと認識している。大城立裕作の新作組踊「花の幻」では幻の中でその場に実在しない夫と浜千鳥を踊る澄子が登場する。夢の場面が登場する沖縄芝居はいくつかあり、思いつくのは平安山英太郎作「義理の兄弟」だ。能の多くが死霊が登場する夢幻能になっているのに対して組踊はほとんどが時代は異なっても現世の物語になっている。

ここから先は

1,664字

¥ 100

よろしければサポートお願いします。  サポートは今後の活動費に活かしていきたいと思います。