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提案する力

みなさんはお仕事の中で何かを相手に提案することはありますか?

私が携わっているのは相談業務。
「相談業務」や「相談支援」または「相談」と聞くと、つい「きくこと」をイメージされないでしょうか。
ですが実は「きくこと」は必ずしも目的ではありません。相談業務には「提案すること」が常に付随するのだと考えています。
実は、というほど実はじゃないかも。当たり前、と思われたのならすみません。
ですが、福祉の人は提案が苦手、ともよく言われると思いますがいかがでしょうか。

福祉の中の「提案」

福祉、または支援というと、どうしても「自己決定」とか「本人主体」、「傾聴」という言葉が取り上げられます。
本人がどうしたいか。本人が決める。相談員はよく本人の話に耳を傾けましょう、というやつです。

一方で「提案」というと、「こうしましょう」とか「こうすることがよい」と「きく」ではなく「話す」がイメージされがちで、上記の福祉の言葉とはイメージが離れがちにも感じます。
つまり、支援者は相談内容についてどう思うかを伝えるということですね。

支援者の考えなんてどうでもいいんだよ!相手が決めたことが最優先だ!という方はおられるでしょうか。
私自身はそうは思わないのです。相談者ご本人がそう思われているのであれば、相談支援の機能は十全に果たせないなとも思えます。

私の考える提案は、自己決定をする際の情報の整理、選択肢の追加、選択方法の追加や支援だと考えます。
そこにこそ相談業務の技術が活かされると考えるので、先述した通り、提案を必要としていない方に対しては相談機能が機能しにくいと考えます。

提案するために

そのために本人のことを知ることが大事で、だからこそそこを「きく」ことが重要になってくると考えます。
つまりはアセスメントですね。
本人を知ることで、本人が気づいていない選択肢とそのメリット・デメリットを伝えられるようになります。
ここが見立てですね。

「きくこと」は提案をするための経過であり手段だと整理しています。
なので「きくこと」や傾聴は、相談支援において重要なものであるということは間違いないと思います。

相手を知るだけでは提案はできません。
提案するためには自分自身の引き出しを増やすことが必要です。
それは実際に自分自身が経験したことであったり、支援の中で同行したこと、見聞きしたことであったりします。
つまり自分自身の知識や体験では全然足りないんですよね。だから事業所の中で事例を共有して情報交換や意見交換する風土が必要なのだと思います。

また提示する際に示すメリットやデメリットについても、自分自身の確認では不足します。メリットやデメリットはどうしても自分の価値観や基準になってしまいがちです。
そう認識した上でブレインストーミング的に極端なものも含めて出して、その過程を本人とも確認することが大事になります。

自分はこの事柄に対してこういうメリットとデメリットがあると思うけれど、どう思うか、と相談者本人にも問う。
そして予測できないことがあるというそもそものリスクがあることも示す。

そうして提案したものに本人の価値観・判断基準で〇×をつけて選択していってもらえればいいのかなと思います。
相談したことで気付かなかった選択肢やメリット・デメリットに気付けた、というのは提案した選択肢が選ばれる・選ばれないに限らず嬉しいことで、そこに相談員が関わる意味があると思います。

まとめ

みなさんはお仕事の中で提案することってありますか?
その時、どんなことに気を付けているのでしょうか。
相談員の特徴は、その選択によって直接相談員が利益を得ることがないこと、つまり中立の立場、もしくはより本人の利益を考えた立場で提案できることだと思います。

例えば車のディーラーさんからの提案では、本人に利益があるからといって同業他社の車を勧めませんものね。
いや当たり前なのだけど。福祉の、特に相談員という中立の立場の人間って割とレアでは、と最近考えます。
別にディーラーさんが悪いと言うつもりはもちろんないですよ。

で、なんでこんな話題を、というところ。
訪問や面談の頻度を本人・企業と調整することを任せることも増えてきたのですが、その時に同僚からは「会社/本人としてはいつ訪問が必要ですか」と聞いて、それに従いすぎていると感じることがあるのです。

報告の中で「あれでよかったんですかね。もっと頻度短くてもよかったんじゃ」と相談されることもあるのですが、正直「じゃあそう言えばいいじゃん」と思う。思うというか伝えていますが。
「○○という理由から頻度が短くてもいいと思うがどうか」と提案して、反応をみればいいのです。

私の経験上(というと偉そう)、企業や本人は支援頻度をそこまで気にしていないし意見自体がない方もいます。「なんとなく」決める頻度より、なるべく根拠を持って頻度を決めませんか。そのために私たちの意見や提案が参考になるなら、どんどん提示しませんか。

提案が苦手、と福祉の人は言われがち(だと認識している)ですが、私はなるべくいろいろな提案ができるようになりたいです。
情報過多で困らせないか、という危惧を天秤にかけつつ。

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