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ポッケからするめいか44

さらば、パジェロ。


長年パジェロを愛車として乗り回してきたしょうさん。


近年ではほとんど乗ることもなく、
軽トラでの家と畑の往復が日常となりました。


パジェロは、近所のしょうさんの実家の庭に駐車しておくことが増え、
しょうさん家には、パジェロの代わりにトラクターを駐車するようになりました。


10数年前までは、

自慢の愛車を乗りこなし、
隣県を跨ぎ、
市場に行ったり、
狩猟に行ったり、

運転を楽しんでいました。


ここ数年は老いを感じ始めたのか、
乗ることもなくなり、
ずっと庭に展示されていたパジェロ。


しょうさんのお孫さんは、
ミキさんの軽自動車ではなく、
しょうさんの軽トラではなく、

しょうさんのパジェロで、
たまに幼稚園までむかえにきてもらうのを、
とても喜んでいました。

じじ(しょうさん)が迎えに来るというと必ず、

「じじ、おおきい車で来てね!」

と、お願いしていました。

しょうさんもまた、
孫にそう言われるのがうれしかったのです。


老いはもとより、
銃もやめ、
旅行に行くことも減り、

このご時世の影響もあってか、

出かける際は、軽トラで事足りることが増え、

パジェロはお飾りとなっていた。

このパジェロを購入するときは大変でした。

ミキさんは猛反対。

身の丈に合わない車を持つなんて!
いくらかかると思ってるっ!?

色々揉めて笑
やっと手にしたパジェロ。


ミキさん的には、
維持費ばかりかかるので、乗らなければ早く売ってしまえと数年前から言い続けていました。


つい最近、
しょうさんの知人の息子さんがこのパジェロを買いたいと申し出てきました。



もう売っちまうか。


しょうさんは手放すことにしました。


なかなかの金額でパジェロは売れ、
あっさりと手放す日がきました。


知人の息子さんは東北に住んでいて、
パジェロを運転できるなんて、
特に寒い季節にはありがたい。


しょうさんとたくさん旅をしてきたパジェロは、
今度から東北を走り回る。

あまり遠出をしないようになったしょうさんの代わりに、

これからまたたくさんの景色を見るのでしょうか。新しい持ち主と一緒に。



さて、パジェロを売って臨時収入を得たしょうさん。

なにかの占いで火星人のしょうさんは、
宵越しの金は持たないので、

米収納冷蔵庫と高価なバリカンを買って、



3日も経たずに遣い果たしました。


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