オッドタクシー 最終話感想

■終わった…

毎週のドキドキが、楽しみが、終わってしまった…。

アニメはなるべく見ないようにしているのだ。たった三か月や半年で終わってしまうのがつらいから。

進撃の巨人なんて11年楽しませてくれたというのに、アニメというやつは、美しくきれいに13話でフィニッシュして、私たちの心に多大なる感動とそれがロストしてしまう悲しみの爪痕を残していく。

その悲しみを埋めるために、私たちオタクは円盤を購入するのだ。

■オッドタクシー最終話

11話の時点でいろいろ考察をこねくり回していたけれど、当たっていたり外れていたりで楽しませてもらった。

最終話は怒涛の伏線回収!終息へ向けて猛スピードで走り抜けるストーリー!!

クライマックス、夜の海にタクシーが落ちるシーンに合わせて、各登場人物の現在と心象風景が重なっていくのは最高の演出だった。

あの日からずっと水底に沈んでいたままのような生。メイン登場人物の中で唯一、水中で活動できる動物だった主人公。雪とともに、一億円とともに、水底へ沈んでゆくそれぞれの想い。

そしてもう一度沈んでしまったさらなる底から、助けてくれた白い光。

本当の認識能力を取り戻し、人として再び生きられるようになった主人公。

それなのに、ああ、それなのに!!!!

殺人鬼の血まみれの爪が。そこに。

こ、ここで終わるかああああああああ!!!!!!!!!!?

たまらずオーディオドラマを聞く。

やまびこでの飲み会。ああ、これは次回予告のあれ。次回予告は飲み会で、全て終わってしまった後のような話し方だったからそうかなと思ってはいたけれどやっぱりそうだったのか。みんな幸せそうだ。ならば小戸川さんは助かったのか。

あ?なにここ?何?え?殺人鬼が…。

たまらずもう一度ラストシーンを見る。

持ってる、幸せのボールペン。持ってるうううううううう!!!!つまりはやまびこのママから奪った後ということ。

つまりは…?

うわああああああ!

たまらずもう一度和田垣さくらと母親の電話の会話を聞く。

「後は、あの時乗ったタクシーが見つかればなぁ、ちゅう感じじゃったんやけど。私、わかったかもしれん。ほんと偶然、ついちょるんよやっぱ。ノリにノっちょってね。詳しいことはまた話すけん、大丈夫大丈夫、今度もうまくやれる。こないだの年末の…あ、この話はまた後で」

この内容から察するに、母親は娘の凶行を知っているということだろう。

そして「あの時乗ったタクシー」には目星がついており、「今度もうまくやれる」自信があり、そしてまさに今、小戸川のタクシーを発見したということだ。

「どちらまで?」に対する沈黙と、あの笑顔。

これは…小戸川は殺されてしまったのではないだろうか。

小戸川をストーキングしていた白川さんが茂みから飛び出して和田垣を引きずり出し顔面にマルテイロをお見舞いするしか小戸川が助かる方法はない。

ど、思ったが、あの日のドライブレコーダーを警察に提出し、和田垣のことも警察に話していた…のであれば、ラストシーン全体をおとり捜査と(無理やりにでも)思うこともできる。

白川さんと幸せになってほしいから、私個人としてはこの無理やりなドリームを信じたい。

■山本と二階堂ルイ

あの日山本が死体の処理をヤクザに頼んだのが二階堂ルイの人生を狂わせた。なぜ山本はヤクザを呼んだのか。裏で和田垣と繋がっていたのか?

デビューを控えたミステリーキッスをダメにしたくないという気持ちで動揺していたのかもしれないが、警察を呼んでいれば少なくとも二階堂ルイと市村しほは名前を変えてデビューできたのに。

二階堂ルイの人生はもう、彼女が望んだようにはならないだろう。

ルイは山本を恨んでいい。ルイがかわいそうだった。馬場さんが今度は彼女を支えてあげて欲しいと思う。


*オフィシャルブック読みました。

山本が正規のルートで事務所を借りたのに、そこにたまたまヤノたちがいた…というのが山本の悲劇だった。バックに反社がいるので、簡単に警察を呼ぶことができなかった、というのがこの背景にあったことが判明した。

や、山本、かわいそすぎない?

■和田垣の謎

前の考察にも書いたが、あの晩彼女はどうやって事務所の中に入ったのか?まあその辺犯罪的な手段を使ってどうにかしたとしても、あんな夜中に事務所に潜み隠れて、標的が来たら一人ずつ殺していって?って、そんな、スネークさんじゃあるまいし。

ミステリーキッスの秘密も解明してないし、やっぱり山本に枕営業して繋がっていたのだろうか。

こちらもコミックで補完があるのかもしれないが、和田垣は本人の掘り下げをもう少し欲しかったと思うので、そこら辺も描かれるとよい。

■白川の謎

白川さんである。

白川さんはドブとの関係以外、特に秘密がなかった。

ditch-11だから11歳差で二人組のハンドルネームなのでは?とか、10話でどうやって小戸川のタクシーが到着した場所にいたのか?とか、全部何もなかった。

彼女は本当に小戸川が好きで、真冬の海に飛び込む胆力と、水中でカポエイラを炸裂させる脚力と、男性を抱えて浮上できる心肺能力とを併せ持った、スーパーウーマンだったのだ。

*オフィシャルブックにて、さらに海女として鍛えられた強靭な心肺能力があることも判明したという…。白川…。恐ろしい娘。

■押入れにいたもの

猫でしたね。

最初から答えが出ていたんですね。

ミスリードモリモリに狙ってたんですね。

でも弾痕で割れたガラスをふさぎながら「これで逃げられない」って言ってたのはなんだったのか?それは猫に言ってると見せかけながら、ドブに言っていたのかもしれない。

はいはいミスリードミスリード!!意味深な押入れのアップありがとうございました!!

■オッドタクシーとは

ぞっとする。

まず最終話を見てぞっとする。

オーディオドラマを聞いてぞっとする。

もう一度本編を見直してぞっとする。

オッドタクシーは群像劇だ。ヒューマンドラマだ。ミステリだ。サスペンスだ。そしてサイコロジカルホラーだった。

殺人鬼が野放しになっているというラスト。

その爪が、牙が、今まさに主人公の喉笛に、というラスト。

なんて、恐ろしい。

■オッドタクシーという毒

ファンとしては、漫画でもBRの得点でもファンブックでもいい。

喉から手がでるくらい、物語の裏が、補完が、欲しいのだ。

でもきっと、完全なそれは与えられないだろう。

小戸川実は助かりましたー!というのがわかってしまうより、今の恐ろしくて毒をたっぷり含んだ、絞ればじょばじょばと毒液がしたたりおちるような、今のラストシーンの方が胸にぶっ刺さって消えないからだ。

だからドリームな未来を信じつつも、この毒に侵されてその沼に身を沈めたままでいたいと思う。

まあコミックもファンブックも円盤も買うけどね!!!

矢野の新曲聞きたいね!


追記

矢野と関口、刑務所では別々に収監されるだろうし、お互いさみしいだろうな。