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二泉映月を弾く

こんにちは。フモジェンヌ投稿です♪
ヤンさんの記事「二泉映月」を読んで
作者阿炳(アービン)の事を少し身近に感じることができたように思います。本人にしか真実は存在しないので、私たちが見聞きしているものは周りが作ったものに過ぎませんが、二胡の名曲と言われ大切にされている曲。
日本人の私たちがそれを語るにはあまりにも未熟過ぎるのでしょうが、ご縁あって私たちがこの曲に出会い、二胡で奏でると言うことを通し、感じたことを書き留めてみようと思います。
これからこの曲に出会う方に、少しでも理解を深めるきっかけとなれたら嬉しいです。


二泉映月を演奏して思うこと

「曲が喋っているみたいだな」と私は感じています。
弾けば弾くほど美しい旋律が体に染み込んできて、涙が出てしまうことがあります。
どうしたらこんなメロディーが書けるのだろうか。

二胡を弾くなら通っておきたい一曲です。

華やかで軽快なメロディーがある曲ではないけど、作者の心の会話や見えているであろう景色が想像できるような思いになります。

この曲は音と音の繋ぎ方がとても繊細です。
譜面をなぞるだけなら、そんな時間はかからないけど、指の使い方、弓の使い方、これは伝授頂かないと到底わかりません。表現が深い。とにかく深い。
練習を重ねながら、弾けば弾くほど、そうかこう言うことかと理解が深まってくる。ゆっくりな曲だからこそ、弓の長さ、頭の付け方が際立ってくる。
一音の音の揺れが切なくて、大切に弾きたいと思える。
沢山の気づきが起こり、表現がとても豊に増えていきます。
自分の弾き方ができるまで、きっと何年もかかるのだろうと思います。

演奏動画は一番多く出てくる作品

動画を検索すると、沢山の奏者の演奏動画が出てきます。十人十色の演奏表現方法。100人いれば、100人皆さん同じ弾き方をしていないと言うこともわかります。
音楽とはそう言うものだと思いますが、ここまで表現解釈が違うのかと感心します。

まずは、作者阿炳(アービン)ご本人のオリジナル演奏から聞いてみましょうか。
6曲録音に成功した中の一つです。
阿炳胡琴獨奏《二泉映月》1950年原版錄製

https://youtu.be/PgYAj0KL4fA?si=FyHf98UruSNR05vl

この演奏を初めて聞いた時は、自分の勉強不足もありますが感動には至らずでした。
この曲に向かい合おうと決めて、色々調べたりしていくうちに自分の中でも色々な解釈が生まれてきました。そして、今回ヤンさんの記事を読んでから聞くと、悲哀だけではなく、辛さの中にも音楽が彼に希望をもたらし、言葉ではなく音で世界に共感や振動を与えていたユニークさが見えてきました。
人にも作品にも必ず時代、背景、物語があります。伝聞での物語は、もはや何が真実かということは重要ではないかと思えてきます。
話したいように話し、聞きたいように聞く と言うのが人間ですから。
そこに印象が加われば、さらに脚色もされていきます。
聞く側の人生の経験値でも大きく受け止め方が変わってくるだろうし、
私は、こう言う風に聞いた、受け止めた、で十分ではないでしょうか。

次は、小澤征爾さんが初めて聞いた17歳の少女の二泉映月の演奏に感銘を受けたというエピソードの姜建華(ジャン ジェンファン)さん。
こちらの演奏は2008年のものなのでもう17歳ではありませんが、小澤征爾さんが聞いている姿も写っています。
https://youtu.be/7zQFWWDTo4I?si=Vc79ERaMPZHimvQW

私自身は陈春园(チン シュンエン)さんの演奏が最も刺激を受けました。
一番聞いたし、擦り切れるほど(きれないけど・・)動画を見ました。

陈春园さん 学生の頃の演奏
https://youtu.be/HVumvrG0n1o?si=woofsJwCpxIUkXhf

陈春园さん オーケストラバージョン
https://youtu.be/qKFlb5LJqbg?si=_VnNkSSL2P8s2oHa


中央音楽学院の副院長まで上り詰めた 于红梅(ユ ホンメイ)さん きっと死ぬまでこの美しさを保つのではないかと思う、まさに才色兼備とはこの方のためにある言葉なのでは。演奏力・容姿を兼ね備え音楽家としての最高の権威を持つこのお方。政治力もあるのだろうと推察してしまいますね。
https://haokan.baidu.com/v?pd=wisenatural&vid=10532772716415717013

そうそう!どの演奏者もそうですが、演奏時の姿勢も注目して見てください。どっしりと構えたその御御足。ロングスカートでないともはや演奏はできませんね!

どの二泉映月を選んだらいいのか

譜面もそれぞれ。誰の運指法か?と言うので表現が大きく変わるところだと思いますが、一番多く使われている譜面はやはり閔惠芬(ミン・ホイフェン)さんでしょうか。
https://youtu.be/TUBuUTTnTRA?si=W1J4x6mDjvZ07TB3

私も例に漏れず閔惠芬さんの譜面を手にしましたが、沢山の奏者の演奏を聞いていると・・・はて?となります。
一体どなたをお手本にすれば良いものかと。
大きく引いて曲を聞けば全て二泉映月ですが、表現方法は本当にそれぞれで。どれがスタンダードかなんてことを考えるのはもはや愚かしいことだと思えてきます。
淡々と弾く演奏もあれば、ものすごくドラマティックな演奏もあれば、本当にそれぞれです。そもそも原曲から見たらもはや違う作品なのではないかとも。
こう言うことは正解などはあろうはずもなく、これは、まず習っている先生の二泉映月を学ぶ。そして、好きな奏者の演奏を取り入れながら、自分の内面の成長とともに曲を育てていく。音楽ってジャンル問わずそういうものだと感じます。
だから、その時の師と言うのはもはや運命のご縁!です。
今は、動画がありますから、いくらでもエッセンスをいただける。
学びたいなら、国境を超えていくらでも学べる有難い時代です。

そして・・暗譜がね〜〜⤵️

この曲で一番苦労したのが、暗譜がなかなかできなかったこと。
私だけじゃないよね??(皆もそうだ!と言ってほしい)
西洋音楽に耳慣れていると中国曲ってメロディーの展開が想像できないことが多く、こうくるか!そうくるか! でどこ弾いている?とわからなくなり迷走(笑。実際、プロの奏者でも本番で間違って弾いてしまうところも何度か目にしました。

自分なりの暗譜法は持っているのですが、この曲はひたすら弾く反復あるのみでした。


いや〜〜二泉はまだまだ話せそう。
それだけ、物語が多い曲なのだね。
これからも精進していこうと思います!

ここまで長い文章を読んでくださりありがとうございます。
皆さんそれぞれの思いが溢れてこその音楽ですから、共感できるところが一つでもあったなら、とても嬉しいことです。
また、次も遊びにきて下さいね。

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