慢性腎臓病(CKD)患者さんの栄養状態変化
※この記事は医療従事者向けです。
慢性腎臓病の患者さんに、ラコールNF経腸溶液の処方が出ました。
当薬局では普段あまりラコールが出ないので、監査中に調べたました。ラコールは高度腎障害の患者さんに禁忌なんですね。恥ずかしながら知らなかった。
今回は疑義紹介し、腎障害患者に慎重投与であるエンシュア・リキッドに変更して頂きました。
これまでの投薬で、もっと食事や栄養についてお話できたらよかった・・・。ということで、本日は慢性腎臓病患者さんが低栄養を起こさないために、何ができるのかを調べました。
慢性腎臓病でおこる栄養・代謝異常
慢性腎臓病患者では、体内のナトリウム、カリウム、リン、窒素代謝物の排泄障害が起こります。
ラコールNF経腸溶液が腎障害に禁忌の理由は、高窒素血症を起こす可能性があるためです。
高窒素障害は、尿素窒素(BUN)がクレアチニン(Cr)に比べて高くなり(BUN/Cr比の上昇)、腎臓の糸球体に負担をかける状態。倦怠感・呼吸困難・肺に水がたまる・嘔気・浮腫といった、尿毒症の症状が現れます。
尿毒症の症状を抑えるには、タンパク質制限が有効です。タンパク質を制限することにより、窒素代謝物の産生を抑制します。しかしながら、タンパク質が不足することにより低栄養・低エネルギー状態を引き起こしやすいことが知られています。
慢性腎臓病患者の栄養管理
慢性腎臓病患者の食事療法は、保存期と透析期で異なります。
①保存期
腎不全の進行を抑制し、透析導入までの期間を延長することが目標。
0.6-0.8g/kg/dayを基準にタンパク質摂取量を抑制し、食塩を3-6g/day以下に抑えることが重要です。
②透析期
透析に入った患者さんでは、低栄養の予防と尿毒症の改善・骨代謝異常の緩和が目標。保存期よりもタンパク質の摂取制限は緩和され、1.0-1.2g/kg/day(血液透析の場合)されています。食塩摂取の制限も、6g未満に変更。高カリウム制限と、リン制限が重要です。
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