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南予を旅したらとても好きになったという記録1 〜内子編〜

 ずっと行きたかった愛媛の南予に初めて行った。
 旅をした南予(今回行ったのは松山、内子、下灘、大洲、伊予長浜あたり)が大好きになったので記録を残したい

ごくあっさりとした一日目

 まず、この二泊三日の旅のメインの目的はバンド「八十八ヶ所巡礼」のライブを見ることだった。一日目の話だ。
 けれど二日目と三日目の「内子・大洲」周辺の観光はついでなんかではなく、「知らない土地を旅する楽しさ」に溢れていた。
 そもそも、でなければ二泊三日にしない。
(そのバンドのファンなら宇和島に行きたいのでは……? と思われるかも知れないが、宇和島は「松山市泊の二泊三日」だとちょっと難しい感じがする。行くなら宿から考えたほうがよさそう)

 なので、この記録では一日目は「東京から松山について道後温泉に入ってからライブ行って、すごく楽しかったです!」に留める。

旅行二日目、内子へ

 9月24日、晴れ。
 この日は内子と大洲、下灘を目指す。
 道中ずっとひとりの気ままな旅なので、予定は半分くらい未定みたいなものだ。
 そもそも全部が行ったことのない場所だし、旅行先で時間にあまり追われる気がない人間なので予定が立たない。

 起点としたのは松山のホテル。
 普段は朝起きれないのが嘘のようにすっきり起き、まずはJR松山駅へ。
 松山市の市内の観光地・駅等への移動手段は、路面電車がメイン。私は車酔いが激しく、バスでさえちょっと苦手なので、この路面電車の「半分電車」みたいな感じはありがたい。あとまるっこくてかわいい。
 線路があるので時間が大きくずれることもなく、本数も多い。速度も丁度良かった。

 JR松山駅から、まず内子を目指す。
 私は昔から「予讃線」「下灘駅」への憧れがあって、できれば特急より普通列車に乗りたいと思っていたので、ほぼほぼ今回の旅は普通列車で移動した。(車の運転ができず、特急やタクシーに乗るお金を節約したいこともある)

 その「予讃線」というのは松山⇔伊予大洲間が二つに別れている。
・内子を通る方(海辺を通らない、早い)※ここでは予讃線(山)とします
・伊予長浜・下灘を通る方(海辺を通る、本数がない)※ここでは予讃線(海)とします

 予讃線、まず私が「わー!」と思ったのは、
・無人駅もあるので整理券をお取りくださいシステムなこと
・その場合、ワンマン運転なのに運転手さんが運賃の管理もすること
(↑このふたつはバスっぽいと思った)
・席の色合いが緑と黄色でかわいい(全体的に愛媛のカラーリングはかわいい)
・出口が後ろと前しかないので、ひたすら座席が長いこと
・電車の中にゴミ箱があること
・風 景 が 好 き

 この日の朝に乗ったのは予讃線(山)。
 憧れの下灘駅は予讃線(海)の方にあるのだけど、それは帰りの予定だ。
 予讃線(山)も車窓を見るだけで嬉しく、癒され、この先が楽しみだなあと思った。
 なぜかアジカンの「ラストシーン」をずっと聞いていた。もっと明るいものはなかったのか。

↑松山駅の予讃線。好き。
また乗りたい。

内子につきまして

10:20 JR松山発→11:11 内子着

 今回、旅行にあたって「まっぷる」を買ったのだけれど、「内子座」「町並みが良いらしい」、この二点を見て内子に来た。これまでは全然知らない町。
 降りた駅前は、あまり観光地という感じではない。

 歩き始めると、光が「さんさんと」しているなぁと思った。普段の光よりなんとなく余分なものが少ないというか、これは植物とかみかんとか育ちそう……!
 愛媛の日差しは健康的な光だ。私だって光合成できちゃうかと思った。

 昭和っぽさの残る町並みを、のんびりとまずは最初の目的地である内子座まで歩く。
 内子座の外では外ではツアーのお客様たちが添乗員さんの詳しい説明を聞いていた。
 私は正直そういうのがあまり得意ではないので、するっと横を抜けて中へ。

内子座

 立派な劇場!!!!!! 今は劇場としては使われておらず、中を見学できる。

 木造の芝居小屋(小屋という規模ではないので劇場といったほうがいいかも)では、かつては歌舞伎や文楽が上演されていたそうだ。そのあとは映画が上映されていた時代もあったとか。
 足下の木の感じが心地よい。

 一階。やはり窓から差し込む光が優しい。

 中に他のお客さんがいなかったことから、いろいろなところから劇場を見る。
 花道から客席を。
 舞台の真ん中から客席を。
「これから花道から出て行く人が見ただろう景色」とか。
 客席も、枡席でも平席、本家席(そんなのあるのか・・・・・・)、桟敷、といろいろなところから見ることができる。
 この全部を、本当に見た「誰か」がいるんだなあと思うと楽しい。

↑舞台中央から見る客席と光

↑花道に出るところから見た舞台。

 和風の造りだが、映画館としても使われていたせいなのか天井の扇風機やシャンデリアは洋風だったりもする。そのへんはモダンに融合していた。

 地下にも行ける(いわゆる奈落)。

 普通にお芝居を見に行ったときには見れない裏方の場所が見れて嬉しい。
 石を固めたみたいな造り。すっぽんや回り舞台の下はこうなっていますよ、とか初めて見た!
 石造りのせいかほんのり涼しい。ひとりだったので暗がりがほんの少し怖かった。

 この上でお芝居をやっていたことを、上の劇場にいるときよりもリアルに感じる。

 その後、二階に。
 正直、資料館部分の「人より少し小さいくらいの大きめのお人形」は私は怖かったのだけど(うしおととらでそんなのあったでしょう・・・・・・)、二階のお席から階下の舞台を見たり。

 かつて、お芝居が好きなひとたちがわくわくした場所。今は静かだけども。
 最後は一階の縁側で少し休憩させてもらって、内子座をあとにした。

ビジターセンター
 内子座の近くにある案内所。元警察署だそうです。そういう建物の再利用が上手だ。
 最初にしっかり建てられているのもあるのでしょう。

酢卵
 もう少し歩くと、お目当ての「護国の町並み」・・・というところで「酢卵」の看板があった。

 酢卵ってなに……?

 売ってもいたのだけど、あまりに味の予想がつかなかったのでそっと通り過ぎる。健康飲料のようですね。初めて見ました。
 ……どんな味なんだろう-!
 飲めば良かったかな-!!
 今になると気になる-!!
 でも、私はひとくち飲んでで「だめだ」と思うと残すタイプの人間なのでやめておきました。

■八日市・護国の町並み

「護国の町並み」というのは建物ではなく、そのあたり一帯の名前。一帯の景観が守られている。

 この日は、「土・日・月の三連休の翌日」プラス「月曜定休(※ただし月曜祝日の場合は火曜に休みます)」プラス「火曜日というド平日」。
 更に時間も割と早い。
 ということで、とても静かな町。
 つまり、私的には最高だった!!! 独り占めですよ。

 風情のある白壁と、時間をしっかり経てきた木でできた家が並び、格子も屋根も丁寧に作られている。
 なまこ壁、懸魚とかもあって、ここの町は華美ではないけれど、とても豊かな時間があったのだろうなと思う。すごく素敵な町だった。

■町家資料館

 護国の町並みのあたりにある「入っていい商家」。

 この後にいった「上芳我邸」はとんでもない広さなので、それよりやや普通のおうちなのだと思う。(十分広いが)
 誰もいない家に並ぶひとつの家族分のお膳にちょっと緊張した。怪談脳で考えすぎである。

■木蝋資料館・上芳我邸

 豪邸というとどんなイメージだろうか。
 実は、私はちょっと成金ぽいイメージがある。
 なので、こういう「たたずまいのよい、華美でない、かといって建てるのに途方もないお金がかかってそうなすごい家」のことをなんと呼んだら適当なのかわからない。
 けど、ものすごかった。 感動したんだと思う。
 こんな丁寧なものがあることに。

 大きく分けて
「主屋+周囲の部屋+中庭」
「離部屋(非公開)」
「炊事場など」
「木蝋資料館」
「庭」
「井戸屋形と蝋絞り小屋」
「土蔵(カフェ併設)」
くらいあるのだけど、私は最初の「主屋+周囲の部屋+中庭」を見ただけで「これで全部だろう」と思った。
 そのくらいのボリュームがある。
 勿論、ここは元々「邸宅」であるだけでなく「木蝋を作る工場、その他商談もする事務所」でもあったようだからかもしれない。

 主屋の欄間、格子、家具、中庭の見え方のすべてが丁寧。落ち着きのある佇まい。

 主屋からすぐのところに「仕舞部屋」と呼ばれる部屋があり、鏡と箪笥とミシンが置かれている。ここは「着替えたりするための部屋」。

 その奥に「産部屋」、「離れ座敷」。中庭を囲んでいるこれらのすべてが外から美しく光が入る。
 中庭には小さなお社がある。

 二階は造り途中で中止したらしく、逆に完成してないので柱などがどうなっているかがわかりやすかった。

 資料館や蝋しぼり小屋、炊事場を回って土蔵を改装したカフェでゆっくりさせてもらった。
 じゃばらサイダーという見慣れぬお名前。

 じゃばらというのは柑橘類で、「邪」を「払」で「邪払」みたい。
 はじめて飲んだけど、すっきりして甘すぎず、酸味が爽やかで、炭酸とよくあって美味しかったです。
 雰囲気が素敵で、彼岸花がテーブルに置かれている。
 ここで、丁寧に書かねばならないと思っていたお手紙を書きました。

 なーんてやってたら、思ったより時間が経ってしまった。
「今日は内子と大洲を回って帰りは下灘で降りよう、三日目はまだ決めてないっ!」
と思ってたけど、大洲をまるっと諦めて内子をゆっくり見て下灘に行くことに変更。
 なお、これはフラグです。

■高昌寺

 護国の町並みを抜けたあたりにあるお寺。
 予定していた電車の時間に間に合わないのなら、と予定外に足を伸ばすと、大きな涅槃像が横たわっていた。
 内子駅からここまではぐるっと回るのではなく、ほぼ一方向に進んで来る形になる。
 随分遠くまで来ていた。
 タクシーが苦手なこともあり、歩くのを考えて入り口の涅槃像とおみくじだけで失礼することにする。

 そのおみくじ(花みくじ)なんですけども。
 まず、お金を入れるとこの灯りが点く。
 ぺか、って。

「えーー! 面白い!」って思って、出てきたのを見たら項目も面白くて。

「願いごと、進学、就職、デイト、恋愛、縁談、結婚、お産、病気、家庭、事業」。

 ・・・・・・「デイト」!?

 何度見てもデイトだ・・・・・・。
「お互いの気持ちを大切に」。
 はい。お相手はいないけどわかりました。
 そのほかも恋愛関連の、どちらかというと女性向けの項目が多かった。

 涅槃像は大きかった-!日本最大級らしい。

■内子駅への帰途

 私は歩くのが遅いし、こういうときは町をゆっくり見るし、写真は撮るしで内子駅まで帰るのも随分かかった。
 四人とかなら本当に(行きか帰りかどちらか)タクシーもありかも。バスはないみたいです。
 ただ、行きと帰りは微妙に景色が違う。
 なので私はゆっくり歩けて良かった。それも贅沢なことだと思う。
 ・・・・・・これは強がりではない・・・・・・!

■内子から下灘へ、の失敗

 最初の方を読んで「この人軽度の鉄オタなのかな」と思ったかもしれないけど、私は「鉄オタの知識量はすごい」と思っているので自分は「電車がちょっと好きなひと」という感じで自分をとらえている。
 でもそれもあって、電車とかの乗り換えは、別に不得手ではないですし・・・・・・?

 と、自分でも思っていたのだけど、それは都内の知ってる路線の乗り換えとか、新宿駅構内とか、乗ってて楽しいとか、そういう話なのだ。
 単線に乗ったことがほとんどない私は「同じ時間に駅ですれ違うためほぼ同じ時間に出発する電車」にはまったく慣れていなかった。

 まんまと逆に乗る。笑

 はたして私は下灘の夕陽を見ることができるのか。
 とりあえず伊予大洲に向かうまでで一旦切ります。

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