第41話 真のレッドオクトーバーはプーチンの歴史的な演説で始まった。なぜ、大手メディアはプーチン演説を隠すのか? 聞け! 日本人よ! (真のレッドオクトーバー解決編③)
2022年10月9日(日)19:20 晴れ
B大学 若草寮 スタディルーム103
初美たちはマルゲリータを食べながら、議論を続けていた。
オレンジ色の髪のレベッカが言った。
「【謎の人物(=悪役に見えるが、実は、正義の味方)】の第一候補は、プーチンでしょう。世界中のメディアが、プーチンが悪者だと言ってます。侵略者で、独裁主義だと。彼が正義の味方なら、映画『レッドオクトーバー』のどんでん返しと同じになるでしょうー」
トリサキが応じた。「たしかに、そやな。けど・・・」
「けど、なんでしょう?」
「そんなことは、これまでに何度も議論したやないか」
「しかし、です!」レベッカが強い口調で言った。
「しかし、なんや?」
「しかし、一般の人々の多くは、今でもプーチンが悪者と思ってまーす。しかも、プーチンの演説を見たでしょー。素晴らしい演説でした。あの演説は、9月30日でした。つまり、【レッドオクトーバー】が始まる前日に、プーチンはウクライナの4州の併合を宣言し、歴史的な演説を行ったのです!」
※独立系メディア E-WAVE TOKYOの全訳(10月1日)は、こちらから
※NHKの全訳(10月18日)は、こちらから
***
レベッカや初美たちの議論をマコは、ホワイキューブのスタディルームで聞いていた。一人だった。
この4月からB大学の大学院に進んだマコは歴史学科とGRSコースのダブル・メジャー(専攻分野を2つもつこと)に挑戦していた。
GRSコースは、学部生時代からの延長であり、マコは伸び伸びと発言したり、行動することができた。しかし、歴史学科はそう簡単ではなかった。
日本古来の語り部である森一族の末裔であるマコにとって、歴史は得意中の得意分野であり、これまで他人に遅れをとるようなことはなかった。
しかし、GRSコースで、『マコの世界システム論』という新しい分野を切り開く使命を悟ってから、どうも、旧来型の歴史を学ぶ人々とうまく議論することができなくなっていた・・・
(でも、時代は私の考えている方向に進んでいる。まちがいない)そう思いながら、マコは、新聞の記事を見つめていた。
今年の4月から日本の高校では、日本の近代史を必ず学ぶことになった、と記事は解説している。これまでは、必修ではなかった。
(そう、山城教授に言わせれば、「日本ではこれまで、意図的に近現代史を教えてこなかった。歴史は支配者が学ぶべき「王者の学問」であり、奴隷である国民に学ばせてはならない」という考え方だった・・・それが、180度変わった・・・革命的とも言える改革・・・)
記事には、従来の「世界史」が敬遠されていることも書かれている。年号の暗記ばかりで興味がわきにくく、しかも、現実の世界情勢を理解するのに全く、役に立たない。
しかるに、ロシアのウクライナ侵攻や中国の海洋進出など、激変する世界を理解するためには、(真の)歴史が欠かせないーーー
これこそ、マコがGRSコースの3年生のときから、主張していたことだった。
(そう、時代は私の読み通りに動いている・・・)
しかし、B大学大学院の歴史学科では、旧来型の歴史を信奉する人々が主流派を形成していた。
(だから、私は、『マコの世界システム論』を書き上げねばならない!)
4月から始まった「歴史総合」は革命的だが、まだ始まったばかりである。教える教師も、そしてテキストも、まだまだ、腰が引けている。そうだ、私が書かねば進まないのだ。真の歴史理解につながるテキストを。
・・・初美たちとのミーティングは最高に楽しいが、今、私がやるべきことは、他にある・・・そう思って、マコは一人で、スタディルームにこもって、『マコの世界システム論』を執筆していた。
しかし!!
レベッカが【プーチンの歴史的な演説】について話し始めるのを聞いて、マコは静かに立ち上がった。
スタディルームのテーブル広げていた資料の山を整理して、借りていた本は図書館に返却し、マコは歩き始めた。若草寮のトリサキルームへ。
(私の出番だ)
***
若草寮のトリサキルームでは、議論が続いていた。
「みんな、プーチンの演説の全文を読みましたか」レベッカが訊く。
「オレは読んだ。独立系メディア E-WAVE TOKYOの全訳が、ネットで出回っていた」
「それなら、俺も見たっす。でも、ロシア語が正しく訳されているか、裏トリできなかった。明らかなタイプミスもあったし・・・」
「ロシア語がわかる3年生に訊いたら、E-WAVE TOKYOの全訳は大丈夫と言っていた。完成度は高くはないが、速報として立派だし、フェークではないと」
「どうもな、ロシア語だと、信憑性がな・・・」
「私は、新聞しか読んでない。日経には、米国は核兵器を(日本で)2回使用した唯一の国であり、前例を作った、と出ていたのが目を惹いたけど・・・全文はでてなかった」
「そうです。日本のメディアは全文を知らせないように、意図的にしていると思いまーす!」
「意図的?」
「そうでーす。なぜなら、それほど、凄い内容だからです! 読めば、人々が目を覚ますような演説です! トランプが大統領に就任した時の演説と同じです。歴史に残るでしょう」
「そんなに重要なの?」初美が訊いた。
そのとき。トリサキルームのドアが静かに開いた。
「そうよ! 決定的に重要な演説だわ」
「マコ!」
「なんだよ、マコ、突然入ってきて・・・」笑いながら、クリスが言う。
「みんな、ごめん。スッゴイ興味深い議論してるなーと思って、ホワイトキューブからこの部屋の様子を見ていたの。本を執筆しながらだけど・・・で、ね、レベッカがプーチンの演説に言及したから、我慢できずに、すっ飛んできたの!」
「め、珍しいわね。マコが、すっ飛んでくるなんて」
「えへへ・・・でもね、この演説は凄い、内容なの。というか、私が新しい歴史のテキストとして、書きたいと思ってたことなの。書きたいけど、ここまで言い切って良いのか、ためらっていたことを、ズバッと、プーチンが全世界に向けて説明しているの」
「そ、そうなんすか?」
「そうなの!」
「でも、この全訳って、ほんとにあてにしていんすか?」
「大丈夫。歴史学科にロシアからの留学生がいて、彼に確認した。大丈夫。それより、そんな、うわべのことばかっり言ってないで、内容をみんなでみましょうよ、ね。レベッカ?」
「マコさん、ありがとー。最高にいいタイミングで登場してくれて!」
※下記は、独立系メディアのE-WAVE TOKYOさんの全訳ですが、信憑性を疑う方は、NHKの全訳をお読みください。どちらも、ほぼ同内容です。しかし、日付が全くちがいます。
日本の大手メディアは、プーチンがどのような演説したのかを知らせず、勝手な報道に終始しています。
例えば、日経2022年10月1日(3面)では、「時代錯誤な帝国主義に染まるロシアを許してはならない。民主主義陣営は今回こそ毅然と対処すべきだ」と書いています。
これから引用するプーチンの演説の一部を読めば、上記の日経の「もっともらしい」文章がいかにインチキであるか、どなたにも分かると思います。
それゆえ、NHKはプーチン演説の和訳を10月18日まで公表しなかったのでは、と疑いたくなります。
※独立系メディア E-WAVE TOKYOの全訳(10月1日)は、こちらから
※NHKの全訳(10月18日)は、こちらから
***プーチン演説より(独立系メディア E-WAVE TOKYOさんの全訳より、感謝して、引用させていただきます)***
アメリカは世界で唯一、核兵器を2回使用し、日本の広島と長崎を壊滅させた国である。ちなみに、前例がある。
第二次世界大戦中、アメリカはイギリスとともに、ドレスデン、ハンブルク、ケルン、その他多くのドイツの都市を、軍事的必要性もないのに廃墟にしたことを思い出してほしい。そしてそれは、軍事的な必要性もなく、実証的に行われたのだ。目的はただ一つ、日本への原爆投下と同じように、自国と世界を威嚇することであった。
米国は、野蛮な「絨毯爆撃」、ナパームや化学兵器によって、韓国とベトナムの人々の記憶にひどい傷跡を残した。
今日に至るまで、ドイツ、日本、大韓民国などを占領し、対等な同盟国だと皮肉っている。聞け!どんな同盟なんだろう。これらの国の指導者がスパイされ、国家元首がオフィスだけでなく自宅まで盗聴されていることは全世界が知っている。本当に残念なことだ。それをする人も、奴隷のように黙ってこの野暮ったさを飲み込んでいる人も、恥ずかしくなる。
***引用終わり***
「この文章を読むと、なんと言ったらいいか・・・じっとしていられない。なんか、私、プーチンが直接私に、「聞け!」と言っているように感じるの」とマコは言った。
「なんか、自分自身が、奴隷である・・・って気がして・・・」
「マコ・・・」初美が言った。
「・・・俺もそうす」トリサキが言った。
「こんな、おためごかしの、インチキな世の中が許せない。俺はロックのバンドマンだから、言わしてもらうと、ロックって、そういうことなんすよ。インチな社会への抵抗っす。でも、それが、なんていうか、プーチンがなんで、世の中がインチキなのか、一番分かりやすく教えてくれているって、ちょっと、信じられないっす」
「トランプも同じようなことを言ったわよね」初美が言う。
「でも、トランプはここまで、米国が過去に犯した罪を語ることができなかった」
「そうね。たしかに・・・」
「プーチンは「西側諸国」とか「米国」の悪事を語っているけど、これは、もっと直接的に言えば・・・」マコが言った。
「ディープステートだ」クリスがかぶせて言った。
「それが、私の、世界ステム論」
「かっこいいっす」トリサキが言った。
「次に引用するところは、もっと凄い。こんな感じよ・・・」
***再び引用開始***
欧米のエリートは、国家主権や国際法を否定しているだけではない。彼らの覇権は、明らかに全体主義的、専制的、アパルトヘイト的な性質を持っている。
彼らは大胆にも、世界を自分たちの属国、いわゆる文明国と、今日の西洋の人種差別主義者の意図にしたがって、野蛮人や未開人のリストに加わるべきその他の人々とに区分している。
「ならず者国家」「権威主義政権」といった誤ったレッテルはすでに貼られており、国や国家全体に烙印を押しているのであり、これは何も新しいことではない。西洋のエリートは、植民地主義者のままである。彼らは差別をし、人々を「第一階層」と「第二階層」に分けている。
私たちは、このような政治的ナショナリズムや人種差別を決して受け入れてないし、これからも受け入れることはないだろう。そして、今、世界中に広がっているロシア恐怖症は、人種差別でなければ何なのか。
西欧が、自分たちの文明、つまり新自由主義文化が世界の他の国々にとって疑いようのないモデルであると信じて疑わないのは、人種差別でないとしたら何だろう。「われわれと共にない者は、われわれに敵する」。不思議な響きさえする。
欧米のエリートでさえ、自分たちの歴史的犯罪の悔い改めを皆に転嫁し、自国や他国の国民に、自分たちがまったく関係ないこと、たとえば植民地支配の時代について謝罪するよう要求するのである。
西洋は中世に植民地政策を開始し、その後、世界的な奴隷貿易、アメリカでのインディアン部族の虐殺、インドやアフリカの略奪、イギリスとフランスによる中国との戦争、アヘン貿易のための開港を強要したことを思い起こすとよいだろう。彼らがやっていたのは、民族全体を麻薬におぼれさせ、土地や資源のために民族全体を意図的に絶滅させ、人間を獣として狩るという本末転倒なことだったのだ。これは、人間の本性、真理、自由、正義に反する。
(中略)
そしてここで、西洋が20世紀初頭の矛盾から第一次世界大戦を経て出現したことを思い起こすに値する。第二次世界大戦の結果、アメリカは世界恐慌を克服し、世界最大の経済大国となり、世界の基軸通貨としてドルの力を地球上に印象づけることができたのである。西側諸国は、最後に崩壊し、バラバラになったソ連の遺産と資源を流用することで、1980年代の危機をほぼ克服し、危機は悪化したのである。それが事実である。
今、矛盾のもつれから抜け出すためには、他人の富をさらに略奪し、その代償として穴を塞ぐために、主権的発展の道を選ぶロシアやその他の国家を、ぜひとも打ち砕く必要がある。もしそうならなければ、彼らはシステムを崩壊させ、すべてをそのせいにしようとするだろうし、最悪の場合、よく知られている「戦争がすべてを帳消しにする」という公式を使うことになるだろうと私は否定しない。
ロシアは国際社会における自らの責任を理解しており、このような熱血漢を正気に戻すためにあらゆる手段を講じるつもりである。
現在の新植民地主義モデルが長期的には破滅的であることは明らかである。でも、本当の主人は、最後までそれにしがみつくであろう。彼らは単に、同じ略奪とゆすりのシステムを継続する以外、世界に何も提供しないのだ。
要するに、何十億もの人々、人類のほとんどの人々が持つ、自由と正義、そして自分たちの未来を決めるという当然の権利に唾を吐いているのである。彼らは今、道徳、宗教、家庭を徹底的に否定する方向に進んでいる。
自分自身のための非常にシンプルな質問に答えてみよう。
今、私が言ったことに戻って、会場にいる私の同僚だけでなく、すべてのロシア国民に語りかけたいと思う。私たちは本当に、パパとママの代わりに「ナンバー1」「ナンバー2」「ナンバー3」の親を持ちたいだろうか?私たちは、小学校の授業で子どもたちに、劣化や絶滅につながる倒錯を作り出すような教育を始めてほしいのだろうか。
女性と男性の他に、ある種の性別があることを教え、性転換手術を受けさせたいのだろうか。これが私たちの国や子どもたちのために望むことなのだろうか。このようなことは、私たちには受け入れられない。私たちには、自分たちの別の未来があるのだ。
繰り返すが、西側エリートの独裁は、西側諸国の国民を含むすべての社会に向けられている。みんなへの挑戦状だ。このような人間の完全否定、信仰と伝統的価値の破壊、自由の抑圧は、「宗教を逆手に取った」、つまり完全な悪魔崇拝の特徴を帯びているのだ。
イエス・キリストは山上の垂訓の中で、偽預言者を糾弾し、「その実によって、彼らを知るであろう」と言われた。そして、これらの毒の実は、わが国だけでなく、欧米の多くの人々を含むすべての国の人々にとって、すでに明白なことなのだ。
世界は革命的な変革期を迎えており、それは基本的なことだ。新しい開発拠点が形成されつつある。彼らはマジョリティを代表している。- 彼らは多極化の中に、自国の主権を強化する機会を見出し、それによって真の自由、歴史的展望、独立した創造的で独特な発展への権利、調和のとれたプロセスを獲得しようとする。
欧米をはじめ、世界中に志を同じくする人たちがいて、その支持を実感している。一極集中の覇権主義に対する解放・反植民地運動が、さまざまな国や社会で展開されている。その主観は増すばかりである。この力こそが、今後の地政学的な現実を決定するのである。
***以下次号***
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