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母の背中

里帰り出産を終え、約2ヶ月ぶりに京都市内に帰ってきた。
帰ってきてまず行きたかった場所、それは美容院。

産後はお風呂、トイレ以外は息子とずっと一緒。
久々の1人時間を楽しみにしていた。

そういえば自転車にのるのも久しぶり。
自転車に乗るのが大好きで妊娠9ヶ月ぎりぎりまで自転車にのっていた。
息子にとったらいい迷惑だったかもしれない。
あの風を切る心地よさや自分のスピードで季節を感じられることが
自分にとっては日々の豊かさに繋がっていた。
お腹が大きくなると思うように漕げず、かなりスピードも低下していた。

久々にペダルを漕ぐ。前のめりになって自由に進める。
1人の身体であるという身軽さと
守りたい家族が1人増えたことで事故にはあえない危機感が
同時にやってくる。

美容院に着いたすぐは
1人時間に貴重さを噛み締めながらイメチェンできる喜びを感じていた。

デザインカラーとカットなどで時間がどんどんと進んでいく。
息子は頼りになる夫が見てくれていて大丈夫とわかっていても、
ぐずってないかとだんだんと不安になり、
そして早く会いたい気持ちも膨れてくる。

楽しみにしていた1人時間だったけど
想像以上に息子と離れることで不安と緊張感と寂しさの絡み合った感情でいっぱいになった。

帰りは安全に気をつけながらもびゅんびゅんと風を切り、家路を急ぐ。

小さいとき、私の母も用事で外へ出かけたときは
家に祖母がいてくれていたけど
帰ってきた母は小走りで息がきれていた。

せっかちな母だと当時は思っていたけど、
あの時の母と今の自分が重なって見えた。

小さな自分には見えていなかった母の姿が
これからは別の角度からどんどん見えてくるのだろう。

そうやって私は母の背中を見て自分も母になっていくのだろう。


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