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変わらない好きな場所

里帰り出産のため実家で2ヶ月間過ごした。
社会人になってから子供ができるかわからないけど
できた時は里帰り出産と決めていて、人生の楽しみの1つにしていた。

実家で過ごす時間が好きだ。
大学卒業後、実家近くで就職すれば良かったと思うことも度々あるくらい。
でも自分の中では分かっていた。当分は実家には帰らないだろうと。
結局、大学時代過ごした広島を出て、兵庫県で就職。
徐々に実家に近づく形ではあるが、実家で過ごしたい気持ちを隠しながら
未だに実家から車で2時間半くらいかかる場所でもう3年過ごしている。

生まれてから高校卒業までの18年間、実家はその場所があるということが当たり前。もちろん、父と母と姉の存在も。
家は海と田んぼに囲まれ、車が必須の田舎。
近くに買い物できる場所や遊ぶ場所なんてなく、駅もバス停も遠い。

部活帰り、汗だくで軽トラに乗り、
取っ手をくるくる回して窓を開け(手動式)
稲がきれいに植えられた田んぼを見ながら夕方の風を感じて帰ったあの日。今でも思い出す、実家で過ごした日を象徴するような日。

私が地元に帰らない理由は、
この日を上書きしてしまうのが怖いから。
まだ特別な日として記憶していたい。

地元を離れてあの日が特別だったと気づいた。
自分の胸の中で今もまだ温めてしまっておきたい。

里帰り出産で実家で過ごした日々は
昔の記憶がどーっと思い出され何回も温かい気持ちに。

居間から見える洗濯物干し。
物干し場を固定している石の上に乗って遊んだ日々。

出産後、歯磨きをするのに
洗面台の横にある階段に座った。
ここは光が入らず、すこし薄暗い。
キッチンにいる母からも見えず、
家の中で少しの時間1人になれるような場所。

ふと座った時、思春期を思い出す。
悩みがあった時、なんかぼーっとしたい時
よくここに座った。
どんな顔をしていても誰からも見られず、ここに来れば落ち着いた。

今日、息子を抱っこしながら立って本を読んでいた。
どこかに浅く座りたい。
そんな気持ちで階段に腰をかけた。
今住んでいる家の階段は両方壁で挟まれている。
これがまた実家とは違うけど落ち着く場所だと初めて知った。

場所は違えど
私にとって階段の入口は特別な場所なのかもしれない。



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