半分

髪の毛を切りに行った。

緊急事態宣言が出る前、3月下旬に切りに行って以来なので2か月半ぶりくらい。そのときにショートカットにしてもらい、伸ばしていた前髪も切りそろえた。

もともと髪が伸びるのが早い。なので1カ月に1度くらいはメンテナンスに行きたいところだが、予想外の事態になりすっかり間が空いてしまった。オンライン授業や会議などで画面に映し出される自分を見るたびにもさっとしてんな...なんてちょっと気分がさがったり、毛量が多くて暑かったり思っていたよりも髪の毛に気分が左右される自分がいた。

宣言が解除されたとはいえ、まだまだ油断できない。通っている美容院は乗り換えが必要な場所にあり、人が多いターミナル駅を通らなくてはならないので、行こうかどうかかなり悩んだが、朝はやくのまだ街にも人が出てこないような時間に予約をとり向かうことにした。


日曜日だったので予想通り朝は人が少ない。歩行者もあまりいないので、たまにマスクをずらしてもいいくらいだった。


美容院についた。

到着した瞬間から予防が徹底されていることが見て取れた。
まずいつも閉じているドアが開け放たれている。そして入ったらスタッフさんによる検温、そして手を洗うよう促される。

カットとカラーをお願いしていたが、施術中もマスクをしたままだった。マスクの紐がカラー剤で汚れてしまうが、施術終わりに新しいマスクと交換してくれた。布マスクや洗えるマスクをしてきた人はジッパー付きの袋に入れて保管し、紙マスクを渡されるようだった。

お客さん同士の距離も取られていたので距離的な心配もなく終了した。


ショートカットからショートカットになったわけだが、かなり短くなった。量もだいぶ減った。半分くらい減った気がする。とてもすっきり。


大変なリスクを負いながら仕事をしてくれた美容師さんには感謝しかない。こんな時にも来てくれてありがとう、と言われたがありがとうはこちらの台詞だ。本当にありがとうございました。


帰るとき、駅には人が溢れていた。

おそらく私が帰ろうと駅に向かう時間は人々が遊びに出かける時間だった。もちろん中には仕事に行かなければいけない人、どうしても片付けなければいけない用事のある人など様々な事情を抱えている人がいるんだろう。


帰りの電車は来る時以上にガラガラでソーシャルディスタンスは取り放題だった。


髪の毛を切るだけでこんなにいろいろなことに気を遣う日がくるとは思いもしなかった。美容院に行った日は大体気分があがっているので、買い物をしたりカフェでゆっくりしたり、友人と食事をしたりするのだが、何もする気になれなかった。暑くて疲れていたのももちろんあったと思う。しかし、こんなにもやる気になれないのは珍しくちょっと悲しい。


この新しい髪型を見てくれるのはスーパーの店員さん(もちろん話したりはしない)とオンライン授業で会う友人くらいになるだろう。

ほんとうは360度どこからみてもかわいいからみてよ!と言いたい。


いつか再びそう言える日が来るまでまたおとなしくしているしか私にできることはない。とにかくまだ気は抜けない。

あとひさしぶりにしっかりとした外出をしたら外の気温に体が順応できなくてとても大変だったので、もう今年の夏は家の中でおとなしくしていようと誓ったのだ。もともと暑いのは苦手だから。


美容師さん、かわいくしてくれてありがとう。

お仕事してくれる皆さん、本当にありがとう。




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