沖田×華「不浄を拭うひと」が面白かった。
ずっと気になってた漫画で第一話だけ試し読みができたので読んで以降、悩んでたんだけど、今日、「めちゃコミ」に登録して全話読んだ。
内容はいわゆる特殊清掃会社のお仕事を描いたもの。特殊清掃ってのは、かいつまんでいうと、一人暮らしの人が不慮の事故で亡くなって、遺体が発見されないまま数日がすぎると死体の腐臭が部屋についてしまうので、それを消毒して匂いを除去したり、遺品の整理やごみ屋敷の清掃をするというお仕事。基本的には大家さんから依頼されるケースが多い。
一人暮らしというか単身家庭が増えていけば、最終的に起こる問題で、自分なんかも他人事じゃない。それで時々、特殊清掃とか遺品整理みたいのは調べてたんだけど、一番知りたい題材だから食い入るように読んだ。物語はお仕事モノの要素にオカルトのテイストも入ってるけど、これがシームレスに繋がってるのが面白い。
原案に入ってる天地康夫さんは特殊清掃会社の代表らしい。
沖田さんはドラマ化された『透明なゆりかご 産婦人科医院 看護師見習い日記』を手掛けてる方で、めちゃコミにも何作か置いてあるので、ちょびちょび読んだけど、さくらももこが社会派のテーマをがっつり書いたらこんな感じになるのかなぁという作品がたくさんある。えげつないネタが多いって意味では西原理恵子の方が近いのかもしれないけど、西原にある無頼派感があんまりなくて、本当に等身大でクール。そこらへんはご自身が発達障害だった(それを題材にした漫画もある)こととかもあるのかもな。
印象としてはやっぱり絵が救ってるなぁと感じる。これを『多重人格探偵サイコ』とか『闇金ウシジマくん』の絵でやられたら、やりきれないと思う。
ドラマ版『透明なゆりかご』の場合は、実写に置き換えることで負荷が強い作品になって、そのぶんだけ感動テイストが上がったけど、この人の持ち味は、やっぱあの絵でリアルな題材を描いた時に生まれるユーモアなんだろうなぁと思う。
まだ始まったばかりで単行本化されてないけど、どの話もハズレなし。広告で気になった人は読んで損はないと思う。
昨日、会社モノが増えてるって話を描いて、ドラマ評論家としては面白く見てるけど、実際の自分の立場からすると正社員の人たちの悩みってどこか別世界というか、そこに自分がいるって実感があまり持てないんだよね。
だから、特殊清掃の人の話の方が自分事として見れる。
10年前くらいに派遣のバイトに登録して担だけど、その時によくわからないバイトを何度かしてるんだよね。その中の一つが散らかった部屋の片付けのアシスタントみたいな仕事で、荷物を片付けて、高価そうなものを物置に移動させたのを覚えてる。内容は聞かなかったけど、部屋の住人が失踪したかなんかだと思う。事件性は感じなかったから特殊清掃ではないと思うけど、こういう仕事があるんだってのは新鮮だった。
今、たまたまマスコミ界隈の端っこみたいなトコにいるけど、10年前のことを考えると、ギャップが激しいなぁと思う。地方に住んでたことも含めて、どこかで、あっちの世界の方が本当だったら自分が働いてた場所なんじゃないかと思う。だからまぁ原稿書くときもそういう気持ちでやってる。
そんなことを考えてたら『わたし、定時で帰ります。』の最新話で派遣のデザイナーの女性が登場して来週は多分、彼女を主役にセクハラの問題と派遣社員と正社員の待遇の格差(派遣だからって理由でいいように使われてしまったり、社長に食い物にされるんじゃないか?)が描かれるんじゃないかと期待してる。彼女(清水くるみが演じてた)は、気の利く人として周囲から褒められるけど、見ていて思ったのはあれは、派遣だから気配りができないとやってけないってこともあるのかなぁと思って、結構辛かった。彼女をどう描くのかは楽しみ。大丈夫とは思うけど、変な形で悪役にしないで欲しい。
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