CDG

空港に着いたのは真夜中だった。

わくわくしながら入国審査を通って、かわいいトイレに感動して、荷物を受け取りに行くところまではよかった。荷物があってよかった…とほっとしたのも束の間、現実に引き戻された。

さて、どうしよう。
深夜だったことに加えてストライキ中だったこともあって、市内への交通手段がほとんどなかった。もともと夕方に着いたら使おうと思っていた高速バスや電車は動いているかわからないし、空港はスタッフがほとんどいなくて誰にも聞けない。タクシーはあるけど高い。

とりあえずバス乗り場に行ってみようと思って歩いてみたけれど、建物の外を遠回りしないと行けないところにあって(外は極寒)、たどり着いたとして何十分も待つことになったら辛いからやめた。そしてなにより、バスでどこまで行けるかわからなかったのが怖かった。ホテルのすぐ近くまで行くバスはないし、途中まで行った後に電車があるかわからない。深夜1時に知らない土地で女子ひとり、タクシーを呼べるまで歩くことを想像したら怖くて、結局さっきまで何人もの声かけを断ったタクシー乗り場に戻った。

案内されたタクシーの運転手のお兄さんが少しいかつめで怖くて、(さっき素直に乗っておけばよかった)なんて思ったけど、車内は暖かくておだやかで、カーステレオから流れるフランス語の音楽が心地よかった。
真っ暗な景色を眺めながら、変なところへ連れていかれてないか時々Googleマップで確認しながら(お兄さん疑ってごめん)、真夜中のドライブを楽しんだ。

(誰もいない深夜のシャンゼリゼ通り)(たぶんシャンゼリゼ)

タクシーは無事ホテルのある通りに着いて、運転手さんがさっと荷物を出してくれた。こぢんまりとしたホテルのフロントにはまだちゃんとスタッフがいて、それだけですごいほっとした。(前に行った旅行の時は宿泊代を安く済ませたくて、ドミトリーとか、フロント不在のアパートみたいなところに泊まっていろいろ大変だったから、今回は「フロント24時間対応」を条件に泊まるところを選んでた)

古くてかわいいエレベーターで部屋に上がったらさらに安心して、飛行機の遅延もパリについてからの不安もひとりの寂しさも、明日電車動いてるかななんて心配も、全部忘れてぐっすり眠った。

                  つづく

追記

こちらが古くてかわいいエレベーター。最終日に記念に撮った。

こちらはタクシーの中で流れていた曲たち。こうやってわからない言語の曲も調べて後から聴き返せるなんてすごく便利だな。

ちなみにすごくどうでもいいんだけど、CDGという表記を見るといつもコムデギャルソンとかコートダジュールが先に出てきちゃって、シャルルドゴールだと思うのに数秒かかっちゃう。(しかもコートダジュールはCôte d'Azurらしくて全然CDGじゃない)
ホテルの人に話す時とか一瞬出てこなくてシー・ディー・ジー エアポート で逃げたりしてた。

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