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珍プレイなママと高プライな僕

インストラクター:あそこにある木からこっち側が愛知県、あっち側が長野県なんだよ。たまに、林に突っ込んじゃう人もいるんだけどね、そういうときは落ち着いて待っていてくれれば、すぐに迎えにいくから安心してくださいね。
ママ:そうなんですねー。
ママの心の声(林に突っ込むとかありえんだろう)

インストラクター:そうそう、あとね沼地になっているところもあるもんだからね、そういうところに落ちてしまうとこれまた大変なんですよ。
ママ:沼地もあるんですねー。
ママの心の声(これまたそんなことなかなかないだろう)

いざ、フライト!

ぼくは体重が軽すぎたようで思いっきり高く宙に行く。
空中にいってもあわてることもなく、きちんと目的地にいるインストラクターの旗印が見える。
空中で鼻歌だって歌えるぐらいだった。

僕のママはあんまり見えてないし、あんまり聞こえてない。
だから、「この人、本当に大丈夫かよ」と思っていた。
だって、目的地の旗印もみえないし、声での指示も聞こえないだろうから。

いよいよ、ママのフライト。

僕はスマホのカメラをビデオにセットして動画を撮影しはじめた。

1回目はなんだかうまく走り切れなかったのが顔面でスライディングして数メートル。
それでも、やめずに2回目の挑戦で思ったよりしっかり空中へと飛び出した。
翼もきれいにひらいていたけど、どんどんママが長野県と愛知県の県境にある木にむかっていっている。
ぼくは思わず、
「ママ、そっちは危ない!木だよ!」
と叫んだ。
だけど、やっぱりママには見えてないし、聞こえてなかったみたい。
多分、上空では音が聞こえないだろうからと自分だけ無線機をもらっていたのに、その声も聞こえていないみたいで予想通りママは木に激突。

なんと、激突した木の下は沼地だったらしく、木にぶつかり沼地にずっぽりはまるという珍プレイ。

ママは満面の笑顔で
「珍プレイ、すげーだろう!」
という。
僕にはこのお母さんのメンタルがよくわからない。

初めてのパラグライダー体験であった。

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