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yotaノート03:マガジン機能でキュレーションは可能か?

マガジン機能がリリースされてから、マガジン機能をキュレーションの一形態として紹介する記事をいくつか目にした。PoCの加藤さん自身も、マガジン機能の紹介の中でキュレーションという言葉を使われている。しかし、私の中ではこの言葉と、マガジン機能ができることの間に微妙な違和感を覚えた。

このため今回は、キュレーションについて本質的な意味を整理し、そこから現行のマガジン機能がキュレーションとしての役割を果たせるどうかを考察したい。

そもそも、キュレーションとは何か?本来その定義は曖昧ではあるが、現在の日本においては、キュレーションメディアの最大手にあたる「NAVERまとめ」の利用者が、PV稼ぎを主な目的として、トレンドになっている話題に関連したリンクや画像をリストアップしただけのコンテンツが大量に生産されたため、「あるタイトルに沿って関連したコンテンツを集めること」=「キュレーション」ということになっている様子である。最近は大雑把なテーマに分類したニュースを、編集側の「面白い」とか「価値がある」という物差しでピックアップし表示するサービスまで、キュレーションメディアなどと言われていて、それはアグリゲートと何が違うんだよとツッコミを入れてしまうこともしばしばである。

しかし元来、キュレーションという言葉は、美術館の学芸員をキュレーターと呼んだことから来ており、そのキュレーターが特定のテーマを元に展示会を企画する際に行う、作品の選定、展示方法の検討、補足文の作成など、テーマが持つコンテキストをオーディエンスと共有するための一連の業務を、「キュレーション」としてwebの世界に持ち込んだのが始まりである。これは2008年ごろにアメリカにて登場したようである。( 参考:キュレーションはメディアを救えるか? )

そして2010年に佐々木俊尚氏がブログ上で言及し、その後出版した「キュレーションの時代」でマーケターを中心に広まり、ほぼ同時期に登場した「NAVERまとめ」、あるいはキュレーションが日本に紹介される前から運営されていた「Togetter」の普及に伴い、一般化したものと推定される。

では、日本にキュレーションを紹介した佐々木氏や、NAVERまとめを立ち上げた森川氏は、キュレーションをどのように理解していたのか?それは以下の通りである。

キュレーションという言葉に、的確な日本語訳はない。私はこう定義している。「キュレーションは情報を収集し、選別し、意味づけを与えて、それをみんなと共有すること」。 

キュレーション・ジャーナリズムとは何か
http://pressa.jugem.jp/?eid=181
さきほど、主観を排しているとお話ししましたが、何をどうまとめるかという括りにはコンテキスト(文脈)は生じています。一次情報をまとめて二次情報が作られていくわけですが、その順番を含めてそこには文脈がやはり存在するのです。たとえばアイドルのデビューから順に顔を並べていくまとめがあると、「どんどんキレイになる」というコンテキストが生じるといった具合ですね。

キュレーションって何ですか? NAVER森川社長に聞く
http://ascii.jp/elem/000/000/584/584037/index-4.html

つまり、両氏はキュレーションについては微妙に定義は異なるものの、コンテンツを集めてそこに新たな意味(コンテキスト)をもたらす点に、価値を見出しているところは共通している。では、それらの認識を正としてマガジン機能を見たとき、それはキュレーションができると言えるだろうか?

答えは限りなくNOである。

なぜなら、マガジン機能には展示の仕方について、キュレーターが介在する余地がほとんどなく(バグのせい?)、その上補足文を差し込む機能もない。どちらかといえば、気になる情報をストックするという点に特化していて、機能面ではいわゆるソーシャルブックマークのそれとほぼ同一と言える。それはそれで便利なのでありがたいが、結果として、ユーザーに対しコンテンツの価値を訴求するためのコンテキストを共有することはできていない。

例えば、私が作っているマガジン「note便利帖」は、note内の困ったシチュエーションに応じてグルーピングして並べ、ひとつひつとつのコンテンツがどういう課題を解決するかの補足文をつけてこそ、私が望むコンテキストが共有されそれぞれのコンテンツの価値が訴求できるものなのだが、現時点では何となくそこを見ておくと新たに役立つ情報が入ってくるだろう的な位置づけにしかなっていないように思え、フォローしていただいてる方々には、充分な価値を提供できていないと認識している。

このためマガジン機能には、本来的なキュレーションを実現するための機能を備えて欲しいと願っており、今後は、マガジン内を小分類ごとに並べられるといった制御が可能になったり、作品または作品群について補足文を添えられるといった形で発展していく未来を夢想している。その結果、コンテンツの価値が再認識され、コンテンツの作者の元に新たなオーディエンスが流入する。それが実現できて初めて、マガジン機能はキュレーションができる機能と言えるのではないだろうか。

以上。長文を読んでいただき感謝!

ちなみに、そんなのはお前のキュレーション力の問題であって、現行のマガジン機能でもコンテキストを含んだ真っ当なキュレーションができるんだぜ!というツッコミとかあると嬉しいです。

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