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2024年第1回定例会の個人質問

さいとう尚哉:日本維新の会北区議員団のさいとう尚哉です。


シティブランディングについて

シティブランディングの定義について

さいとう尚哉:第1のテーマはシティブランディングです。はじめに、シティブランディングの定義について質問いたします。先般開催された企画総務委員会で、シティプロモーション推進担当課が廃止され、シティブランディング戦略課が新設されることを御報告いただきました。報告資料によると、本組織改正は「区内の様々な魅力や資源を単にプロモーションしていくだけでなく、公民連携やアドバイザーの活用により一つひとつをブランディングしたうえで磨き」をかけることを目標にしており、プロモーションを重視するこれまでの戦略を、ブランディングも重視する戦略に転換させるものと理解しております。

一方、本組織改正については意図がわかりにくいという指摘がありますが、背景にはブランディングとプロモーションの差異が明確ではないという事情があります。例えば、愛媛県新居浜市が策定した『新居浜市シティブランド戦略』では、シティブランディングは「都市の名前から人々が思い浮かべる全体的な評価。その評価によって、そのまちの特産品を買いたい、観光に訪れたい、そのまちに住みたいといった効果が生まれる」こと、シティプロモーションは「広告や広報などを通じて、まちの魅力を市内外に発信すること」と定義されています。いずれにせよ、ブランディングとプロモーションの差異を明確にしたうえで、北区役所内外の多岐にわたる関係者がブランディングについて共通した理解があることが、シティブランディングの成功を確固たるものにします。

これらをふまえて、シティプロモーションとシティブランディングの差異を明確にしたうえで、シティブランディングの定義を御教授ください。

区長:今回の組織改正にあたっては、「シティプロモーション」を「北区の資源・サービス、魅力を広く認知させること」、一方、「シティブランディング」は、「他自治体と差別化され広く浸透された多様なイメージ・価値から構成される都市像を確立すること」と位置づけ、地域ブランディングを強力に推進しながら北区の付加価値を高めていくための事業展開を図るべく、この度の新組織を設置するに至ったものであります。

ご指摘のように、今後は「シティブランディング」への共通理解が図られることが重要であり、来年度策定する予定のシティブランディング関係のビジョンを通じて、区内外関係者への周知を図ってまいります。

ブランディング戦略アドバイザーの登用について

さいとう尚哉:次にブランディング戦略アドバイザーの登用について質問いたします。『令和6年度予算の概要』において、ブランディング戦略アドバイザーを登用するとの記載がありましたが、今後重要となるのが民間で卓越した実績のある専門家を登用することです。成長著しい千葉県流山市では、アメリカで都市計画コンサルタントをしていた市長と東京電力で14年間勤務してきたマーケティング課長が、市政を変革する原動力となりました。新潟県三条市では、NetflixやDAZNで活躍してきた最高マーケティング責任者が、ふるさと納税の寄付金額を7億円から50億円まで増加させることに成功しました。渋谷区の産官学民連携組織である渋谷未来デザインでシティブランディングを推進しているのは、Red Bullでマーケティング本部長を務めていた人物です。

いずれの事例にも共通しているのは、当該自治体での居住経験や自治体との業務経験等にこだわることなく、民間で卓越した実績がある専門家をフラットに登用しているということです。これらをふまえて、自治体での居住経験や自治体との業務経験にこだわることなく、民間で卓越した実績のあるブランディング戦略アドバイザーを登用するよう提言しますが、見解を御教授ください。

さいとう尚哉:民間で卓越した実績のあるブランディング戦略アドバイザーを登用するためには、北区がブランディング戦略アドバイザーを登用することを周知する必要があります。前述した新潟県三条市の最高マーケティング責任者の場合、人材紹介会社のビズリーチが提供するサービスを活用し、市長のインタビュー記事等が掲載された募集サイトを開設しました。また、プレスリリース配信サービスのPR TIMESでも情報発信した結果、『MarkeZine』のようなマーケティングの専門家が購読するオンラインメディアでも募集情報が拡散されました。応募数はあくまでもひとつの要素ですが、結果として314件からの応募を獲得することができたことは評価すべきです。

これらをふまえて、民間企業が提供するサービスを活用することも視野に、ブランディング戦略アドバイザーを登用しようとしていることそのものを認知されるよう施策展開すべきと提言しますが、見解を御教授ください。

エージェンシーの起用について

さいとう尚哉:次にエージェンシーの起用について質問いたします。マクドナルドやファミリーマートで最高マーケティング責任者を歴任し、顕著な実績をあげてきた足立光氏いわく、ブランドを構築するためにはあらゆる顧客接点で一貫したイメージや体験等を提供する必要があるとのことです。例えばアパレルブランドのユニクロのリブランディングを実施したことで有名な佐藤可士和氏は、ロゴから店舗設計、販売する商品からテレビのCMにいたるまで、あらゆる顧客接点で「新しいユニクロのイメージや体験等」を提供したことで、同社のブランド価値を急成長させた実績があります。

北区の場合も、ホームページからSNS、区役所窓口から区有施設にいたるまで、顧客接点は多岐にわたります。一方、ブランディング戦略アドバイザーのもと「今後北区に定着させたいイメージや効果的な情報発信の方針」が策定されたとしても、あらゆる顧客接点でそれらを形にすることができなければ、ブランディングは「絵に描いた餅」になります。そこで必要となるのが、ブランディング戦略アドバイザーのもと策定された方針にもとづいて「新しい北区のイメージや体験等」を形にするエージェンシーです。

ブランディング戦略アドバイザーの登用前ということもあり時期尚早かもしれませんが、先手先手でこうした検討を開始することがシティブランディングの成功を確固たるものにします。これらをふまえて、ブランディング戦略アドバイザーのもと策定された方針にもとづいて「新しい北区のイメージや体験等」を形にするエージェンシーを起用することを提言しますが、見解を御教授ください。

シティプロモーション推進担当課:ブランディング戦略アドバイザーは、これまで区が取り組んできたシティプロモーションを地域ブランディングにより、さらに深化させながら前へと進め、北区という都市イメージを確立するためのマネジメントを行うという重要な役割を担うものであります。

現在、登用に向けて契約方法や任用基準、業務内容など、検討を進めているところです。登用にあたっては、自治体での業務経験や居住実績など、不必要と思われる要件などは付すことなく、シティブランディングのノウハウや実績、能力に着目したアドバイザーの選定が可能となるよう、幅広く募集を行っていく考えです。

また、募集にあたっては、募集自体をブランディング戦略の一つと捉え、北区の取組みを幅広く周知できるよう、外部サービスの導入なども検討してまいります。

なお、現時点では、エージェンシーの起用については考えておらず、デザイン業務等も含めたアドバイザリー契約を想定しているところです。

動物愛護について

動物愛護の推進体制について

さいとう尚哉:第2のテーマは動物愛護です。はじめに動物愛護の推進体制について質問いたします。私は北区の動物愛護を強化していきたいとかんがえています。愛犬家の1人としてペキニーズと生活していることも理由のひとつですが、それ以上に動物愛護の社会的重要性が増していることが背景にあります。

三重県桑名市で開催されてきた「上げ馬神事」が動物虐待だと非難され、三重県教育委員会の勧告にもとづき、700年継続してきた神事の内容が一部変更されました。また、先般発生した羽田空港における航空機衝突事故においても、緊急脱出時にペットを機内に放置しなければならないことについて、大論争が発生しました。いずれの事案についても、背景にあるのは「動物を家族や社会の大切な一員として認識する」という中長期的なトレンドであり、こうしたトレンドは強まることはあれど、弱まることはないと想定しています。

一方、残念ながら『北区基本計画2024(案)』や『北区中期計画2024(案)』には動物という単語すら登場しておりません。2024年度予算において、飼い主のいない猫の不妊去勢手術助成金が拡充されることは評価できますが、依然として課題は山積しています。また、動物への対応をめぐり、地域コミュニティで軋轢が発生している現状もあります。先日も区立公園で飼い主のいない猫活動をめぐり住民同士の対立がありました。このような状態を放置すれば、北区が動物愛護後進地域として認識されるばかりか、地域社会にも悪影響をもたらしかねません。

こうした文脈で、先般開催された2023年第2回定例会において、動物愛護管理担当職員のような専任職員を設置すべきと提言したところ、まずは「課題の整理」に挑戦するという答弁をいただきました。その後、所管課と協議したところ、現段階では「専門職の確保や人事管理上などの課題」は解決しがたいという見解をいただいております。

一方、前述した動物をめぐる社会認識の変化や地域コミュニティでの軋轢等を考慮すれば、動物愛護を一層推進するためには専任職員がいることが望ましいことは否定できません。職員の定数が2,700人を超えるなか、動物愛護の専任職員を1名配置することは、高まる動物愛護の重要性を考慮すれば至極妥当な人材戦略であるといえます。この際、動物愛護管理担当職員にこだわることなく、関連分野等で経験のある職員を動物愛護の専任職員として配置するよう提言しますが、見解を御教授ください。専任職員を配置することが困難なようであれば、区民が納得できるだけの理由を明確に御提示ください。

生活衛生課:動物愛護管理法では、動物愛護管理担当職員は、その地方公共団体の職員であって獣医師等動物の適正な飼育及び保管に関し専門的な知識を有するものをもって充てるとされておりますが、専門職の確保などの課題もあると認識しております。

ご提案の、専門職にこだわることなく専任職員を配置することにつきましては、業務内容の整理などを進めながら、将来的な確保について検討して参りたいと思います。

ペットを同伴した避難所開設訓練等について

さいとう尚哉:次にペットと防災について質問いたします。先般発生した令和6年能登半島地震では、「どのようにペットと避難すればいいかわからない」という理由で避難を断念する事案が話題になりました。愛犬家の1人としても、平時からペットの同行避難訓練を実施することの重要性を再認識しております。

中野区では、東京都獣医師会中野支部と協働し、総合防災訓練において犬の同行避難訓練を実施しています。自身が愛犬家でもあり、同行避難訓練に参加したことのある中野区議会議員にヒアリングしたところ、「参加者数や訓練内容等には改善の余地があるものの、犬と避難するプロセスや課題を理解できた」との評価をいただいております。

ペットの同行避難訓練は近隣自治体にも広がりつつあります。埼玉県戸田市では、過去の台風発生時に避難所が大変混乱したこともあり、2023年からペットの同行避難訓練を開始しました。同行避難者カードの記入体験から獣医師による応急手当のレクチャー、ドッグトレーナーによるクレート訓練等が実施され、合計で約50匹のペットと約100人の住民が参加しました。同時にペット避難についてのパネル展示や避難時に必要な防災グッズの展示等を実施しており、同行避難訓練を啓発活動の機会にもしています。また、職業体験を実施している中学生等が作成したフォトスポットがあり、同行避難訓練の重要性をSNSで拡散できるように創意工夫を凝らしているところも評価できます。

一方、北区では現在にいたるまでペットの同行避難訓練は実現していません。2013年第3回定例会で、当時の危機管理室長が「ペット同行の避難訓練につきましては、大変有意義と考えますので、避難所運営訓練を実施する際の事前の説明会等で実施に向けての協力を要請してまいります」と答弁していましたが、前区長のもとでは約10年間進捗がありませんでした。だからこそスピード感を重視する現区長には期待しているところです。

埼玉県戸田市のようにペットのいる住民に特化した避難訓練を開催する事例もあれば、中野区のように通常実施している避難訓練にペットのいる住民が参加してもらう事例もあります。いずれにせよ「まず開始することが重要」という意識のもと、東京都獣医師会北支部等と協働し、ペットを同行した避難所開設訓練等を実施すべきだと考えますが、見解を御教授ください。

地域防災担当課: 現在、避難所開設訓練において、ペットの飼育スペースの設営などの訓練を行っておりますが、ペットの同行避難につきましては、区民の皆さまのご理解が不可欠であるため、まずは、皆さまへの理解促進に努めてまいりますが、今後、ペットの同行訓練について検討する際には、東京都獣医師会北支部からご意見を伺うなど、連携してまいります。

ペットの同伴避難について

さいとう尚哉:次に、ペットの同伴避難について質問いたします。環境省の『人とペットの災害対策ガイドライン』によると、同行避難は「ペットとともに安全な場所まで避難する行為」である一方、同伴避難は「被災者が避難所でペットを飼養管理すること」を意味します。先般発生した令和6年能登半島地震では、同行避難はできても同伴避難ができず、崩壊しかけている住宅や自家用車で避難生活を送らざるをえない事案が話題になりました。

『東京都北区避難所運営マニュアル』によると、ペットについては「原則として、体育館や校舎などの避難者居住スペースへの持込みを禁止」するとされており、「校庭等の指定の場所において、飼い主の責任により飼育」することが定められています。一方、区公式ホームページにはペットを飼育するのは「原則は雨風がしのげる場所としており、屋内で避難者の居住スペースから離れている学校の昇降口等になることが多い」と定められております。つまり、避難所においてペットは屋内・屋外のどちらで飼育すべきか、北区として明確な指針は提示されていません。避難所の状況に応じて、柔軟に飼育場所を設定すべきという意見もあるかもしれませんが、現場判断に依存することはむしろ混乱を誘発するため、避難所運営のルールについては「原則を定めたうえで例外を認める」ことが重要だと考えています。

こうした文脈において、注目すべきは目黒区の『ペット防災の手引き』です。「台風等水害の場合も考慮し、できるだけ建物内に飼育場所を確保することが好ましい。難しい場合は、屋外を中心にしつつ、屋内にも活用できるスペースを探しておく」と定められており、避難所におけるペットの飼育場所は原則屋内・例外屋外であることが明確化されています。気候変動の影響により豪雨・豪雪・猛暑・厳冬等が常態化するなか、ペットの安全安心を保護するという政策判断が背景にあります。

これらをふまえて、避難所においてペットの飼育場所は原則屋内・例外屋外であることを『東京都北区避難所運営マニュアル』で明示するよう提言しますが、見解を御教授ください。

地域防災担当課: 避難所ごとに状況が異なることから、屋内・屋外での飼育を明確にいたしておりませんが、次年度より改定に着手する、避難所運営マニュアルにおいて、他自治体の事例などを参考に、整理してまいります。

まちづくりについて

ドッグランのデザインについて

さいとう尚哉: 第3のテーマは「まちづくり」です。はじめにドッグランのデザインについて質問いたします。ドッグランのような公共空間において重要なのは、「利用者が空間を使いこなせること」です。北区では、赤羽公園や板橋駅東口噴水広場等の一定程度規模がある公共空間でも、ベンチのような固定された椅子がいくつかあるだけで、利用者は自由闊達に空間を使いこなすことが困難です。

先日南谷端公園で参与観察を実施したところ、子供達を遊ばせている母親5人が約2時間着座することなく会話をしていたことに驚きました。ベンチを利用すると5人で会話することができないばかりか、遊んでいる子供達との距離ができてしまうからです。一方、例えばパリのリュクサンブール公園には可動椅子が導入されています。アウトドア家具のメーカーが公園専用に開発したもので、公園内であれば自由自在に移動させることができます。これにより人数や場所等の利用条件に制限されることなく、公園空間を使いこなすことができます。もし前述した母親達がリュクサンブール公園にいれば、子供達が遊んでいるところに5脚の可動椅子を移動させ、リラックスした時間を過ごすことが可能となります。

可動椅子の導入がもたらす公共空間の変化については、建築学や都市計画学の分野で多数論文等も発表されています。例えば東京大学の副学長であり、都市計画学を研究している出口敦教授の研究室が、広場に可動椅子を設置することで、広場の利用実態がどのように変化するかを調査・実験をしました。結果をまとめた報告書によれば、可動椅子の導入により広場利用者の増加やアクティビティの多様化がもたらされたとのことです。

可動椅子には盗難等の課題があることも事実です。しかし、だからこそドッグランのようなある程度閉鎖された空間でこそ、可動椅子を社会実験的に導入すべきです。ドッグランで愛犬を遊ばせながら、日光が降りそそぐ場所に可動椅子を移動させてリラックスする。遅れてきた友達と隣同士になり、他愛もない会話をしながらのんびりする。パリのリュクサンブール公園にあるような優れたデザインの可動椅子が、”かわまちづくり”にともない変化する荒川河川敷のひとつのシンボルとなる—―こうした未来を実現したいと考えています。

これらをふまえて、荒川河川敷に整備されるドッグランについて、可動椅子を配置するよう提言しますが、見解を御教授ください。

道路公園課:区では、ドッグランを安全に管理・運営し、利用者が快適に利用できるようにするため、大型犬と小型犬を分けるフェンスや水飲み場などの整備内容の検討を進めておりますが、休憩用の椅子につきましては、ドッグランの安全面を考慮し、空間を阻害しない位置で固定式ベンチを考えております。

ドッグランのネーミングライツについて

さいとう尚哉:次に、ドッグランのネーミングライツについて質問いたします。ドッグランに可動椅子を配置するには予算が必要となります。北区の予算総額と比較すれば小規模な投資額にはなりますが、無駄のない行政運営は北区の最重要課題のひとつであることに異論はありません。

こうした文脈において、注目すべきはネーミングライツです。『京都市ネーミングライツ市民等提案制度』がある京都市では、京都動物愛護センターのドッグランにネーミングライツが導入されており、日本ヒルズ・コルゲート株式会社がネーミングライツパートナーに選定されています。これにより、京都市は10年間で500万円の対価を獲得できるだけでなく、同社から犬・猫譲渡事業の支援等も受けられるようになりました。「人とペットの深い絆をより豊かに、より永らえることに貢献する」ということを使命とする同社において、ネーミングライツは社会貢献活動のひとつでもあります。

区長公約である『150の政策』にも「未利用地・公共空間などの利活用の最大化で区政収入を増やし、稼ぐ区役所へ」という記載がありますが、新設されるドッグランにネーミングライツを導入することが、北区として「稼ぐ区役所」のノウハウを蓄積することにもつながります。限られた歳入効果かもしれませんが、こうしたチャレンジに前向きであるそのものが今後の区政において大変重要だと考えています。

この際、荒川河川敷に整備されるドッグランにネーミングライツを導入するよう提言しますが、見解を御教授ください。

道路公園課:ドッグランの管理・運営の詳細につきましては、荒川下流河川事務所や運営予定の指定管理者等と協議・調整を図りながら定めてまいりますので、その過程において、導入の可能性について研究してまいります。

多文化共生について

食をテーマにしたイベントの開催支援について

【さいとう尚哉】 最後のテーマは多文化共生です。多文化共生推進施策について質問いたします。北区では外国人数が急増しています。最新の『人口統計表』によると、2024年2月1日時点で27,566人の外国人がおりますが、10年前の14,670人と比較すると約1.9倍に急増しています。外国人が増えることにはメリットもありますが、地域に緊張感をもたらすという側面があることも否定できません。例えば埼玉県川口市では、外国人による乱闘行為・ゴミのマナー違反・騒音問題・女性への迷惑行為・危険運転等が、長年地域で生活してきた住民とのあいだに緊張感をもたらしており、市長が政府に強制送還等を要望する事態に発展しています。こうしたなか、北区では『北区中期計画2024(案)』に「多文化共生のまちづくりの推進」が施策としてあげられています。

多文化共生を推進するには多種多様な手段がありますが、私は「食」をテーマにしたイベントが有効だと考えています。代々木公園で開催されたベトナムフェスティバルや東京タワーで開催された台湾祭を想像してみてください。仮設店舗やフードトラックで、各国の料理や文化を堪能することができるイベントです。東京23区の事例でいえば、インド出身者が多数在住している江戸川区では、インド料理をテーマにした「えどイン・フェス」が開催され、25店舗の出店がありました。

「食」をテーマにしたイベントを推奨する背景には、4つの理由があります。第一に、「食」は日本人に親和性のあるコンテンツであり、異文化理解の最初のきっかけになりやすいということ。第二に、異国で生活する外国人からすれば、日本人が出身国の「食」に興味をもつことで、「自分たちが理解・共感されている」という感覚をもてること。第三に、町会関係者や行政関係者等がイベントを共同で開催することで、外国人コミュニティとの関係構築ができること。第四に、SNSや雑誌等で「ガチグルメ」という言葉が話題になるなか、本場さながらの「食」は関係人口増加に貢献すること。

これらをふまえて、北区で多文化共生のまちづくりを推進するにあたり、「食」をテーマにしたイベントを積極的に支援する制度を構築することを提言しますが、見解を御教授ください。

総務課: 北区の外国人人口は、今後も増加していくものと認識しています。日本人区民と外国人区民がお互いの文化や立場を尊重し、地域で安心して生活できる多文化共生社会の実現は区として大きな課題です。

この課題に対応するため、区ではこれまで、北区多文化共生指針も策定し、地域における多文化共生社会の実現に向けて取り組んできたところです。
ご紹介の「食」をテーマとしたイベントでは、毎年10月に開催される区民まつりで、区が主体となってボランティアの皆様と連携しながら「国際ふれあい広場」を開催し、ここでは10か国の料理をご来場者が楽しむ機会として好評を得ています。

このほか、東京都の地域の底力 発展事業 助成金を活用して町会自治会や大学が実施する料理イベントを支援し、外国の料理を味わいながら日本人区民と外国人区民が交流を図っているところです。

区では引き続き、食を通じたイベントを主催していくとともに、地域における交流イベントを支援してまいります。

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